三章
夢小説設定
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「椎名!頼まれてくれ!」
任務に向かう杏寿郎に切羽詰まった顔でそう切り出され椎名は目を丸くした。聞けば千寿郎が風邪を引き込みうなされているとの事。食事や洗濯など家のことに関しては隠が来ているそうだが、千寿郎の気落ちぶりが心配だと杏寿郎は眉を下げた。
「良いわよ。千寿郎が元気になるまで傍にいるわ」
(任務を代ろうか?は流石に駄目よね)
杏寿郎だって千寿郎の傍にいたいのは山々なのをこうして椎名に頼んでいるのだ。杏寿郎の鬼殺に対する誇りを無視できない。
「ありがとう椎名!俺もなるべく早く帰るよう努める!」
「怪我しないようにね。それこそ千寿郎が心配するわよ」
「そうだな!では行ってくる!」
杏寿郎は幾分か安心した顔をすると任務へと向かった。
(熱い……けど、寒い………)
千寿郎はぼんやりとした意識のままでうっすらと目を開けた。自分の枕元に誰かが座っている。
(誰…?)
目を凝らして見ようとするが、眠ろうとする体が許さない。朦朧とする意識の中で千寿郎は思わず呟いた。
「はは…う、え…?」
「………」
千寿郎の呟きに椎名は読んでいた本から顔を上げた。眠ったままの千寿郎の目尻に溜まった涙を手拭いでそっと拭う。うぅ…とうなされている様子の千寿郎に眉を寄せる。
(眠れるときは眠ったほうが良いけど…)
うなされているなら可哀そうだ。椎名は少し考えると千寿郎の胸のあたりを布団の上からトントンと小さく叩いた。
――夜空の星も眠る頃 星も鳥も身を寄せて
明けの空へと待つ太陽の 明るさ夢見て月の上――
杏寿郎が子供の頃に母親に歌ってもらった子守唄だというそれを思い出しながら口ずさむ。千寿郎の顔から険しさが幾分和らぎほっとして微笑む。
「おやすみ千寿郎」
「………」
廊下にいた愼寿郎はしばらくその場に立ち尽くしていた。
(杏寿郎の奴め)
懐かしい歌に悲しさと寂しさに少しの苛立ちが混じる。
「…フン」
愼寿郎は鼻をならすとその場を離れたのだった。
任務に向かう杏寿郎に切羽詰まった顔でそう切り出され椎名は目を丸くした。聞けば千寿郎が風邪を引き込みうなされているとの事。食事や洗濯など家のことに関しては隠が来ているそうだが、千寿郎の気落ちぶりが心配だと杏寿郎は眉を下げた。
「良いわよ。千寿郎が元気になるまで傍にいるわ」
(任務を代ろうか?は流石に駄目よね)
杏寿郎だって千寿郎の傍にいたいのは山々なのをこうして椎名に頼んでいるのだ。杏寿郎の鬼殺に対する誇りを無視できない。
「ありがとう椎名!俺もなるべく早く帰るよう努める!」
「怪我しないようにね。それこそ千寿郎が心配するわよ」
「そうだな!では行ってくる!」
杏寿郎は幾分か安心した顔をすると任務へと向かった。
(熱い……けど、寒い………)
千寿郎はぼんやりとした意識のままでうっすらと目を開けた。自分の枕元に誰かが座っている。
(誰…?)
目を凝らして見ようとするが、眠ろうとする体が許さない。朦朧とする意識の中で千寿郎は思わず呟いた。
「はは…う、え…?」
「………」
千寿郎の呟きに椎名は読んでいた本から顔を上げた。眠ったままの千寿郎の目尻に溜まった涙を手拭いでそっと拭う。うぅ…とうなされている様子の千寿郎に眉を寄せる。
(眠れるときは眠ったほうが良いけど…)
うなされているなら可哀そうだ。椎名は少し考えると千寿郎の胸のあたりを布団の上からトントンと小さく叩いた。
――夜空の星も眠る頃 星も鳥も身を寄せて
明けの空へと待つ太陽の 明るさ夢見て月の上――
杏寿郎が子供の頃に母親に歌ってもらった子守唄だというそれを思い出しながら口ずさむ。千寿郎の顔から険しさが幾分和らぎほっとして微笑む。
「おやすみ千寿郎」
「………」
廊下にいた愼寿郎はしばらくその場に立ち尽くしていた。
(杏寿郎の奴め)
懐かしい歌に悲しさと寂しさに少しの苛立ちが混じる。
「…フン」
愼寿郎は鼻をならすとその場を離れたのだった。