三章
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那田蜘蛛山での鬼との戦いの後、善逸と猪之助は蝶屋敷に運び込まれていた。
(炭治郎と禰󠄀豆子ちゃんはどこ行ったんだろう)
心配はしてみるが、当の本人が一番重症なので寝ている事しかできない。というか力の限り叫んでいた。
「もうこのすっごく苦い薬なんとかならないの!?もうねもうね!舌が馬鹿になるのよ!ご飯の味とかしないし!!って言うかこの薬ホントに効いてる!?これ治るの!!?」
「静かにして下さーい」
すみが善逸を制止するが止まらない。
「これ飲んでるだけで良いの!?他にもなんか方法ないの!!?一日5回とかキツイんですけど!!」
「元気ねぇ」
畳まれた洗濯物を手に椎名が病室に入ってきた。すみにそれを渡すと入れ替わりで善逸のそばに来る。善逸はだってぇぇ!と泣きついた。
「この薬ホントまずいの!!苦すぎて口の中麻痺しそうになんの!こんなん一日5回も飲んでたらお腹タプタプよ!?」
蝶屋敷に来た当日椎名の存在に既にひとしきり驚き終わった善逸はすっかり馴染んでおり、いやぁぁぁ…と涙と鼻水を流した。
「ねぇこれ、ホントに治るの!?手足短いとか最悪なんだけど!!薬飲んでるだけで治るもんなのこれ!!ってか飲まなかったら一生このまま!?」
「……」
善逸の泣き言を椎名は黙って見守った。一切口を挟まずただじーっと善逸を見る。ギャーギャー喚いていた善逸がみるみるトーンダウンした。
「…やっぱり飲まなきゃ駄目、だよね?」
「そうね」
(俺、この人には勝てないや)
腹を括り薬湯を口に運びながら善逸はそう思った。
(この人、俺が最後は絶対観念するの分かってて待ってるんだもん)
これが反論してきたり説得してくる相手なら善逸はいつまでも騒いだだろう。相手の言葉というのは善逸の次の言葉への燃料のようなものなのだ。それがある限り善逸は相手が折れるまで叫び続ける自信がある。
(ホントこの人って何者なんだろう?)
隊服は着ていないけれど日輪刀は持っている。蝶屋敷の人間とも親しいようだし、隠とも顔馴染みのようだ。
(この人の音って普通の人とちょっと違うんだよな)
大きな木の葉擦れのような優しい音がして、善逸はいつもウトウトと眠くなる。
「…飲んだ」
「うん、良くできました。これでも苦さはギリギリまで緩和してあるのよ」
「えぇ?これで?」
湯呑みを椎名に渡すと善逸は布団に潜り込んだ。
「これ以上甘露草を入れると薬の効き目がなくなるの。手足が短いままは嫌でしょう?」
「それは…いや、だ…」
すぅと寝てしまった善逸の布団をかけ直すと椎名は伊之助の方へ向かった。薬の残量を確認すると喉に手を当てる。
「きちんと静かにしていられて偉いわね。喉が熱くなるようなら言うのよ?」
「…ウン」
(奇抜な格好をしてた割には大人しい子ね)
落ち込みすぎて伊之助が別人と化している事を知らない椎名はポンポンと猪の頭を撫でるとその場を後にした。
「なぁ、善逸。椎名さんって普通の人とちょっと違うと思わないか?」
蝶屋敷での療養に一歩遅れて加わった炭治郎は、そう善逸に切り出した。震えながら薬湯を飲み終えた善逸がんー、と生返事を返す。
「なぁったら。鬼の匂いとは違うけど、人間の匂いともちょっと違うんだよ。森の奥深くで深呼吸するような不思議な感じなんだ」
「あー、それはなんか分かる。あの人昔どこかで見た御神木みたいな大きな木みたいな音させるんだよね」
「伊之助はどう思う?」
「……ゴメンネ。ワカラナイ」
「「………」」
まだまだ落ち込んでいる伊之助の返事に二人でドン引く。でも…と善逸が口を開いた。
「優しい音だし、あの人凄い良い人だよ。今日もここの女の子達に絡んでた奴追っ払ったりしてたし」
「それは分かる。昨日夜中に起きた禰󠄀豆子をわざわざ連れてきてくれたんだ」
人を喰ってはいなくても鬼は鬼。もっと冷たくあしらわれる事を覚悟していた炭治郎には椎名の禰󠄀豆子相手でも変わらない態度は素直に嬉しかった。
(今度見かけたら話しかけてみよう)
ホワンと胸が暖かくて、穏やかな気持ちで眠りにつく炭治郎だった。
(炭治郎と禰󠄀豆子ちゃんはどこ行ったんだろう)
心配はしてみるが、当の本人が一番重症なので寝ている事しかできない。というか力の限り叫んでいた。
「もうこのすっごく苦い薬なんとかならないの!?もうねもうね!舌が馬鹿になるのよ!ご飯の味とかしないし!!って言うかこの薬ホントに効いてる!?これ治るの!!?」
「静かにして下さーい」
すみが善逸を制止するが止まらない。
「これ飲んでるだけで良いの!?他にもなんか方法ないの!!?一日5回とかキツイんですけど!!」
「元気ねぇ」
畳まれた洗濯物を手に椎名が病室に入ってきた。すみにそれを渡すと入れ替わりで善逸のそばに来る。善逸はだってぇぇ!と泣きついた。
「この薬ホントまずいの!!苦すぎて口の中麻痺しそうになんの!こんなん一日5回も飲んでたらお腹タプタプよ!?」
蝶屋敷に来た当日椎名の存在に既にひとしきり驚き終わった善逸はすっかり馴染んでおり、いやぁぁぁ…と涙と鼻水を流した。
「ねぇこれ、ホントに治るの!?手足短いとか最悪なんだけど!!薬飲んでるだけで治るもんなのこれ!!ってか飲まなかったら一生このまま!?」
「……」
善逸の泣き言を椎名は黙って見守った。一切口を挟まずただじーっと善逸を見る。ギャーギャー喚いていた善逸がみるみるトーンダウンした。
「…やっぱり飲まなきゃ駄目、だよね?」
「そうね」
(俺、この人には勝てないや)
腹を括り薬湯を口に運びながら善逸はそう思った。
(この人、俺が最後は絶対観念するの分かってて待ってるんだもん)
これが反論してきたり説得してくる相手なら善逸はいつまでも騒いだだろう。相手の言葉というのは善逸の次の言葉への燃料のようなものなのだ。それがある限り善逸は相手が折れるまで叫び続ける自信がある。
(ホントこの人って何者なんだろう?)
隊服は着ていないけれど日輪刀は持っている。蝶屋敷の人間とも親しいようだし、隠とも顔馴染みのようだ。
(この人の音って普通の人とちょっと違うんだよな)
大きな木の葉擦れのような優しい音がして、善逸はいつもウトウトと眠くなる。
「…飲んだ」
「うん、良くできました。これでも苦さはギリギリまで緩和してあるのよ」
「えぇ?これで?」
湯呑みを椎名に渡すと善逸は布団に潜り込んだ。
「これ以上甘露草を入れると薬の効き目がなくなるの。手足が短いままは嫌でしょう?」
「それは…いや、だ…」
すぅと寝てしまった善逸の布団をかけ直すと椎名は伊之助の方へ向かった。薬の残量を確認すると喉に手を当てる。
「きちんと静かにしていられて偉いわね。喉が熱くなるようなら言うのよ?」
「…ウン」
(奇抜な格好をしてた割には大人しい子ね)
落ち込みすぎて伊之助が別人と化している事を知らない椎名はポンポンと猪の頭を撫でるとその場を後にした。
「なぁ、善逸。椎名さんって普通の人とちょっと違うと思わないか?」
蝶屋敷での療養に一歩遅れて加わった炭治郎は、そう善逸に切り出した。震えながら薬湯を飲み終えた善逸がんー、と生返事を返す。
「なぁったら。鬼の匂いとは違うけど、人間の匂いともちょっと違うんだよ。森の奥深くで深呼吸するような不思議な感じなんだ」
「あー、それはなんか分かる。あの人昔どこかで見た御神木みたいな大きな木みたいな音させるんだよね」
「伊之助はどう思う?」
「……ゴメンネ。ワカラナイ」
「「………」」
まだまだ落ち込んでいる伊之助の返事に二人でドン引く。でも…と善逸が口を開いた。
「優しい音だし、あの人凄い良い人だよ。今日もここの女の子達に絡んでた奴追っ払ったりしてたし」
「それは分かる。昨日夜中に起きた禰󠄀豆子をわざわざ連れてきてくれたんだ」
人を喰ってはいなくても鬼は鬼。もっと冷たくあしらわれる事を覚悟していた炭治郎には椎名の禰󠄀豆子相手でも変わらない態度は素直に嬉しかった。
(今度見かけたら話しかけてみよう)
ホワンと胸が暖かくて、穏やかな気持ちで眠りにつく炭治郎だった。