三章
夢小説設定
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「と、言う訳で第二回柱対抗腕相撲大会〜」
「…へ?」
甘露寺の明るい声が蝶屋敷に響いた。事態を飲み込めず目を丸くする椎名にしのぶが説明する。
「実は以前柱合会議の時に一度腕相撲大会をしたんです。今回柱がここに集まる事になって折角なので第二回をやろうとなったんですよ」
「へぇ、ちなみに第一回の時の結果は?」
「一位が悲鳴嶼さんで2位が宇髄さん。3位から6位までは僅差でしたが上から煉獄さん、不死川さん、冨岡さん、甘露寺さん。その次が時透君、伊黒さんで私は最下位でした」
しのぶが若干寂しそうにするのに頭を撫でる。もう慣れたものでしのぶもふふ…と笑うだけだ。
「よぉし、誰からやる?」
天元が腕を回しながら全員を見回す。用意された机の前にどっかりと座り込んだのは実弥だった。
「宇髄ぃ、今回こそテメェを叩き潰してやるぜぇ」
「おっ、そういう事は煉獄に勝ってからの方が良いんじゃねぇの?」
「うむ!前回は俺が不死川に勝ったからな!」
「うるせぇ!僅差だったろうがぁ!」
軽口を叩きながらも天元が実弥と向かい合って座る。しのぶが審判として真ん中に位置取った。
「始め!」
「うぉぉぉぉぉっ!!」
「あぁぁぁぁぁっ!!」
ドガン!!
腕相撲ではあり得ない音がして実弥の手が机に叩き付けられる。
「だぁっ!くそぉ!!」
「はっはっは!派手な勝利だな!!」
「…ガチが過ぎる」
本気で悔しがる実弥とガッツポーズを決める天元に椎名は呆れて呟いた。杏寿郎が羽織を脱ぐと椎名に渡す。
「本気でやることに意味があるからな!冨岡!勝負だ!!」
実に楽しそうである。指名された義勇も無言で位置についた。
「(俺がお前に)勝てるとは思えんな」
「言ってくれたな!」
(行間、行間)
何となく会話が噛み合ってないのがわかって椎名は小さく笑った。
「では始め!」
「「っ!!」」
組み合った腕にビキキッと血管が浮き上がるがお互い微動だにしない。睨み合う二人に声援という名のヤジが飛ぶ。
「行けぇ!煉獄ぅ!!冨岡のすかし面ぶち破れ!!」
「冨岡!派手に負けんじゃねぇぞ!!煉獄の腕へし折る気で行けーっ!」
「きゃー!二人とも頑張って!!」
それぞれの応援にふと椎名はふと悪戯心が湧いた。
「義勇ー、勝ったら鮭大根奢ったげるよー」
「「!?」」
カッと両者の目が見開かれ、義勇の腕が僅かに優勢を取った。おお!と上がるどよめきの中、天元、実弥、しのぶの顔が引き攣った。
「……」
踏みとどまった杏寿郎はしかし既に義勇のほうを見ていなかった。じーっとただひたすらに椎名を凝視する。
「え…」
椎名は思わず半歩下がった。それと同時に机に嫌な音が立ちヒビが入る。
「水入り!」
しのぶがストップをかけると二人は手を離した。ため息をついて手を振る義勇を他所に、杏寿郎は立ち上がると椎名の横に立つ。
じぃーーーーーーーー。
貼り付けた笑顔のままこちらを凝視してくる杏寿郎に椎名の背を冷や汗が流れた。
「……あの」
「ん?」
「!!」
ちらりと杏寿郎の顔を見ればいい笑顔が返ってくる。だが笑顔なのに一つも笑ってなくて、椎名は自分がやらかしたことを悟った。視線でしのぶに助けを求めるが、目を逸らされてしまう。
(薄情者!)
(自業自得です)
「どうした椎名?言いかけて止める事はないぞ?」
「っ!………いや、その…」
見なくても感じる真横からの凄まじい圧にジリっと椎名が後ろに下がる。杏寿郎がその分を当然のように詰めてくる。
「椎名?」
「………ゴ、ゴメンナサイ…」
「それは何に対する謝罪なのか聞こうか」
(ひぃぃぃぃっ!)
杏寿郎の笑顔怖い。椎名は更に下がりながら口を開いた。
「ぎ、義勇を応援したから…」
「それから?」
「それから!?…鮭大根奢るって言ったから?」
そんな何個も怒りポイントがあると思わなかった椎名が、首を傾げながら答える。
「それから?」
「そ、れ…から………」
(思いつかない)
トンと背中に襖がぶつかり椎名は驚いて後ろを見た。杏寿郎がその襖を開けると椎名を中に押し込む。
「俺達はこれで失礼する!」
肩越しにそれだけ告げると杏寿郎も襖の向こうへ姿を消す。椎名の戸惑ったような声と足音が遠ざかっていきしのぶがため息をついた。
「まぁ、そうなりますよね」
「だろうなァ」
「ありゃあ派手に椎名が悪い」
実弥と天元の同意が続き、第二回柱対抗腕相撲大会は有耶無耶のまま幕を閉じた。
「…へ?」
甘露寺の明るい声が蝶屋敷に響いた。事態を飲み込めず目を丸くする椎名にしのぶが説明する。
「実は以前柱合会議の時に一度腕相撲大会をしたんです。今回柱がここに集まる事になって折角なので第二回をやろうとなったんですよ」
「へぇ、ちなみに第一回の時の結果は?」
「一位が悲鳴嶼さんで2位が宇髄さん。3位から6位までは僅差でしたが上から煉獄さん、不死川さん、冨岡さん、甘露寺さん。その次が時透君、伊黒さんで私は最下位でした」
しのぶが若干寂しそうにするのに頭を撫でる。もう慣れたものでしのぶもふふ…と笑うだけだ。
「よぉし、誰からやる?」
天元が腕を回しながら全員を見回す。用意された机の前にどっかりと座り込んだのは実弥だった。
「宇髄ぃ、今回こそテメェを叩き潰してやるぜぇ」
「おっ、そういう事は煉獄に勝ってからの方が良いんじゃねぇの?」
「うむ!前回は俺が不死川に勝ったからな!」
「うるせぇ!僅差だったろうがぁ!」
軽口を叩きながらも天元が実弥と向かい合って座る。しのぶが審判として真ん中に位置取った。
「始め!」
「うぉぉぉぉぉっ!!」
「あぁぁぁぁぁっ!!」
ドガン!!
腕相撲ではあり得ない音がして実弥の手が机に叩き付けられる。
「だぁっ!くそぉ!!」
「はっはっは!派手な勝利だな!!」
「…ガチが過ぎる」
本気で悔しがる実弥とガッツポーズを決める天元に椎名は呆れて呟いた。杏寿郎が羽織を脱ぐと椎名に渡す。
「本気でやることに意味があるからな!冨岡!勝負だ!!」
実に楽しそうである。指名された義勇も無言で位置についた。
「(俺がお前に)勝てるとは思えんな」
「言ってくれたな!」
(行間、行間)
何となく会話が噛み合ってないのがわかって椎名は小さく笑った。
「では始め!」
「「っ!!」」
組み合った腕にビキキッと血管が浮き上がるがお互い微動だにしない。睨み合う二人に声援という名のヤジが飛ぶ。
「行けぇ!煉獄ぅ!!冨岡のすかし面ぶち破れ!!」
「冨岡!派手に負けんじゃねぇぞ!!煉獄の腕へし折る気で行けーっ!」
「きゃー!二人とも頑張って!!」
それぞれの応援にふと椎名はふと悪戯心が湧いた。
「義勇ー、勝ったら鮭大根奢ったげるよー」
「「!?」」
カッと両者の目が見開かれ、義勇の腕が僅かに優勢を取った。おお!と上がるどよめきの中、天元、実弥、しのぶの顔が引き攣った。
「……」
踏みとどまった杏寿郎はしかし既に義勇のほうを見ていなかった。じーっとただひたすらに椎名を凝視する。
「え…」
椎名は思わず半歩下がった。それと同時に机に嫌な音が立ちヒビが入る。
「水入り!」
しのぶがストップをかけると二人は手を離した。ため息をついて手を振る義勇を他所に、杏寿郎は立ち上がると椎名の横に立つ。
じぃーーーーーーーー。
貼り付けた笑顔のままこちらを凝視してくる杏寿郎に椎名の背を冷や汗が流れた。
「……あの」
「ん?」
「!!」
ちらりと杏寿郎の顔を見ればいい笑顔が返ってくる。だが笑顔なのに一つも笑ってなくて、椎名は自分がやらかしたことを悟った。視線でしのぶに助けを求めるが、目を逸らされてしまう。
(薄情者!)
(自業自得です)
「どうした椎名?言いかけて止める事はないぞ?」
「っ!………いや、その…」
見なくても感じる真横からの凄まじい圧にジリっと椎名が後ろに下がる。杏寿郎がその分を当然のように詰めてくる。
「椎名?」
「………ゴ、ゴメンナサイ…」
「それは何に対する謝罪なのか聞こうか」
(ひぃぃぃぃっ!)
杏寿郎の笑顔怖い。椎名は更に下がりながら口を開いた。
「ぎ、義勇を応援したから…」
「それから?」
「それから!?…鮭大根奢るって言ったから?」
そんな何個も怒りポイントがあると思わなかった椎名が、首を傾げながら答える。
「それから?」
「そ、れ…から………」
(思いつかない)
トンと背中に襖がぶつかり椎名は驚いて後ろを見た。杏寿郎がその襖を開けると椎名を中に押し込む。
「俺達はこれで失礼する!」
肩越しにそれだけ告げると杏寿郎も襖の向こうへ姿を消す。椎名の戸惑ったような声と足音が遠ざかっていきしのぶがため息をついた。
「まぁ、そうなりますよね」
「だろうなァ」
「ありゃあ派手に椎名が悪い」
実弥と天元の同意が続き、第二回柱対抗腕相撲大会は有耶無耶のまま幕を閉じた。