三章
夢小説設定
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「「………」」
部屋に敷かれた布団の上、夜着に身を包んだ二人は向かい合って座り、俯いて黙り込んでいた。
突然の祝言の後、誰も彼もが帰路につき二人きり。
意を決して顔を上げた杏寿郎の手が椎名の頬に伸び、触れる前に引いていった。
「情けない。緊張が過ぎて君に触れるのもままならない」
椎名が顔を上げれば杏寿郎が自分で掴んでいる手は小さく震えていた。それがたまらなく愛おしくて椎名の方から手を伸ばす。
震える手に触れて指を絡めるとグイと引かれ、椎名は杏寿郎に抱き締められた。
「椎名……椎名…」
「杏、寿郎…」
男らしい無骨な手がそっと椎名のおとがいを上げる。唇を重ねると椎名もまた震えていることに杏寿郎は気付いた。
「…実は俺はこう言うことにはとんと無知でな。宇髄に艶本で教えを受けた」
「………」
杏寿郎の突然の暴露に椎名はキョトンとしてその顔を見上げた。杏寿郎も自分の告白に呆然としている。
その顔があまりにこの状況にそぐわなくて椎名は小さく吹き出した。
「ふ…ふふっ、何それ。自分で言ってビックリしないで」
「いや、なぜ今口走ったのか自分でも驚きだ」
顔を見合わせて二人静かに笑う。
あぁ、幸せだーーと杏寿郎は心から思った。椎名の表情からもそれが十分読み取れる。
杏寿郎は椎名の背に手を回すと、その体を静かに横たえた。
「宇髄の言った通りだ」
「また天元?」
この後義勇の名前でも出てきたら爆笑してやろうと思いつつ椎名は自分に覆い被さってくる男の体を抱きしめた。
暖かいーーよりも熱い。
「あぁ、俺はただ君の全てに触れたいだけなんだ」
「じゃあ…そうして」
重なり合い、熱を分け合って、溶けていくーー
その日、椎名は煉獄杏寿郎の妻になった。
部屋に敷かれた布団の上、夜着に身を包んだ二人は向かい合って座り、俯いて黙り込んでいた。
突然の祝言の後、誰も彼もが帰路につき二人きり。
意を決して顔を上げた杏寿郎の手が椎名の頬に伸び、触れる前に引いていった。
「情けない。緊張が過ぎて君に触れるのもままならない」
椎名が顔を上げれば杏寿郎が自分で掴んでいる手は小さく震えていた。それがたまらなく愛おしくて椎名の方から手を伸ばす。
震える手に触れて指を絡めるとグイと引かれ、椎名は杏寿郎に抱き締められた。
「椎名……椎名…」
「杏、寿郎…」
男らしい無骨な手がそっと椎名のおとがいを上げる。唇を重ねると椎名もまた震えていることに杏寿郎は気付いた。
「…実は俺はこう言うことにはとんと無知でな。宇髄に艶本で教えを受けた」
「………」
杏寿郎の突然の暴露に椎名はキョトンとしてその顔を見上げた。杏寿郎も自分の告白に呆然としている。
その顔があまりにこの状況にそぐわなくて椎名は小さく吹き出した。
「ふ…ふふっ、何それ。自分で言ってビックリしないで」
「いや、なぜ今口走ったのか自分でも驚きだ」
顔を見合わせて二人静かに笑う。
あぁ、幸せだーーと杏寿郎は心から思った。椎名の表情からもそれが十分読み取れる。
杏寿郎は椎名の背に手を回すと、その体を静かに横たえた。
「宇髄の言った通りだ」
「また天元?」
この後義勇の名前でも出てきたら爆笑してやろうと思いつつ椎名は自分に覆い被さってくる男の体を抱きしめた。
暖かいーーよりも熱い。
「あぁ、俺はただ君の全てに触れたいだけなんだ」
「じゃあ…そうして」
重なり合い、熱を分け合って、溶けていくーー
その日、椎名は煉獄杏寿郎の妻になった。