一章
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「あっはっは、辛辣だね」
頭を下げたまま胡蝶しのぶは目を丸くした。
(お館様があんな大声で笑われるなんて)
柱となって一年と少し。初めて聞いた。横目に様子を窺えば、宇髄も同じだったのだろう、びっくり顔のままで目があった。
(悲鳴嶼さんは…参考になりませんね)
何があっても無くても泣いている悲鳴嶼は、今も平伏したまま涙を流しており、何を考えているのかわからない。
「椎名、座るといい。皆も楽にしてくれ」
耀哉の言葉に頭を上げれば椎名の姿がすぐ目に入ってきた。
(綺麗な人)
きらめく銀髪に深い森の色の瞳。スラリとした長い手足に背も高い。
(羨ましい)
しのぶは素直にそう思った。長い手足も高い背も自分がどれだけ欲しても手に入らなかったものだ。
そんな想いを飲み込みつつ見ていると、椎名は少し考えた後、靴を脱ぐと縁側に上がり正座した。
(姿勢に無理がない。異国の人だと思ったけれど)
違うのだろうか?しのぶのそんな疑問をよそに耀哉が口を開く。
「皆、驚かせてすまなかったね。紹介するよ」
耀哉はわずかに見える目を椎名へ向けた。
「彼女は椎名。産屋敷家に長年に渡って様々な技術を与えてくれている、協力者だ」
「長年、ですか」
宇髄の問いに耀哉が頷く。
「そう。記録にある限り200年以上」
しのぶは思わず息を飲んだ。目前の女性はどう上に見ても20代にしか見えない。悲鳴嶼が涙を流しつつ手を合わせる。
「お言葉なれどお館様。人は100年を超えては生きる事さえ叶わぬ生き物です。そこの御仁は人ではないと申されるのでしょうや」
「そうだね。人とは違う種族である、とは聞いているよ」
耀哉の言葉に視線の全てが自分の方を向いても椎名は涼しい顔だ。あるいはそういう目を向けられることに慣れているのかもしれないとしのぶは思った。
「協力とはどのようなものでしょう?」
「そうだね。一つ分かりやすいものはそれだよ」
不死川の疑問に答え、耀哉はその来ている隊服を指した。
「一昔前の鬼殺隊の隊服は一般と同じ生地で作られていた。故によく破れ、燃え、体を守ることは全く叶わなかった」
耀哉の話にしのぶは自分の隊服を少し引っ張ってみた。確かに普通の衣服より光沢がある気はする。
「だが、椎名が持ち込んだ布地により隊服は大きく変わった。破れにくく、燃えにくい。水に濡れてもすぐ乾き、驚くほど軽く柔らかく隊士の動きを妨げない」
(そんなに…)
しのぶはひどく感心した。確かに多少転んだ程度では生地が擦り切れたことがない事を思い出す。
「隊服が新しくなり若い隊士達の死亡率が著しく下がった。生きて帰れる者が増え、戦いに戻れずとも隠や刀鍛冶、他の役目につく物が増え隊士が鬼との戦いに集中できるようになった」
こほん、と小さな咳をした耀哉に椎名は立ち上がるとその横に膝をついた。
「今日はここまで。長話しすぎよ」
「椎名、私が今日君をここに呼んだのは…」
「耀哉」
「椎名」
話すのを止めさせようと伸ばした手を思いもよらぬ強い力で握られ、椎名は口を閉じた。一呼吸の後、耀哉は手の力をそっと抜き再び話し出す。
「会わせたかったんだ私の子ども達に。君の持つ沢山の知識はきっとこの子達の力になってくれる」
「…そんな気がする?」
「その通り」
穏やかに微笑む耀哉の勘に外れがない事を柱達はもちろん椎名もよく知っていた。
「柱合会議は半年に一度しか無い。少し皆でお喋りしてみるのも悪くないと思うよ」
そう言い残すと耀哉は控えていた隠の手を借り、部屋を出ていった。
頭を下げたまま胡蝶しのぶは目を丸くした。
(お館様があんな大声で笑われるなんて)
柱となって一年と少し。初めて聞いた。横目に様子を窺えば、宇髄も同じだったのだろう、びっくり顔のままで目があった。
(悲鳴嶼さんは…参考になりませんね)
何があっても無くても泣いている悲鳴嶼は、今も平伏したまま涙を流しており、何を考えているのかわからない。
「椎名、座るといい。皆も楽にしてくれ」
耀哉の言葉に頭を上げれば椎名の姿がすぐ目に入ってきた。
(綺麗な人)
きらめく銀髪に深い森の色の瞳。スラリとした長い手足に背も高い。
(羨ましい)
しのぶは素直にそう思った。長い手足も高い背も自分がどれだけ欲しても手に入らなかったものだ。
そんな想いを飲み込みつつ見ていると、椎名は少し考えた後、靴を脱ぐと縁側に上がり正座した。
(姿勢に無理がない。異国の人だと思ったけれど)
違うのだろうか?しのぶのそんな疑問をよそに耀哉が口を開く。
「皆、驚かせてすまなかったね。紹介するよ」
耀哉はわずかに見える目を椎名へ向けた。
「彼女は椎名。産屋敷家に長年に渡って様々な技術を与えてくれている、協力者だ」
「長年、ですか」
宇髄の問いに耀哉が頷く。
「そう。記録にある限り200年以上」
しのぶは思わず息を飲んだ。目前の女性はどう上に見ても20代にしか見えない。悲鳴嶼が涙を流しつつ手を合わせる。
「お言葉なれどお館様。人は100年を超えては生きる事さえ叶わぬ生き物です。そこの御仁は人ではないと申されるのでしょうや」
「そうだね。人とは違う種族である、とは聞いているよ」
耀哉の言葉に視線の全てが自分の方を向いても椎名は涼しい顔だ。あるいはそういう目を向けられることに慣れているのかもしれないとしのぶは思った。
「協力とはどのようなものでしょう?」
「そうだね。一つ分かりやすいものはそれだよ」
不死川の疑問に答え、耀哉はその来ている隊服を指した。
「一昔前の鬼殺隊の隊服は一般と同じ生地で作られていた。故によく破れ、燃え、体を守ることは全く叶わなかった」
耀哉の話にしのぶは自分の隊服を少し引っ張ってみた。確かに普通の衣服より光沢がある気はする。
「だが、椎名が持ち込んだ布地により隊服は大きく変わった。破れにくく、燃えにくい。水に濡れてもすぐ乾き、驚くほど軽く柔らかく隊士の動きを妨げない」
(そんなに…)
しのぶはひどく感心した。確かに多少転んだ程度では生地が擦り切れたことがない事を思い出す。
「隊服が新しくなり若い隊士達の死亡率が著しく下がった。生きて帰れる者が増え、戦いに戻れずとも隠や刀鍛冶、他の役目につく物が増え隊士が鬼との戦いに集中できるようになった」
こほん、と小さな咳をした耀哉に椎名は立ち上がるとその横に膝をついた。
「今日はここまで。長話しすぎよ」
「椎名、私が今日君をここに呼んだのは…」
「耀哉」
「椎名」
話すのを止めさせようと伸ばした手を思いもよらぬ強い力で握られ、椎名は口を閉じた。一呼吸の後、耀哉は手の力をそっと抜き再び話し出す。
「会わせたかったんだ私の子ども達に。君の持つ沢山の知識はきっとこの子達の力になってくれる」
「…そんな気がする?」
「その通り」
穏やかに微笑む耀哉の勘に外れがない事を柱達はもちろん椎名もよく知っていた。
「柱合会議は半年に一度しか無い。少し皆でお喋りしてみるのも悪くないと思うよ」
そう言い残すと耀哉は控えていた隠の手を借り、部屋を出ていった。