二章
夢小説設定
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ーー我が煉獄家は代々の鬼狩りなのだーー
ーー炎柱の雅号は我が家の誇りーー
(そんなものを…)
「………」
ふわふわと意識が浮かんだり沈んだりする。その境目で椎名はうっすらと目を開けた。
ぼんやりした視界に黄と赤の髪色が見える。薬草の匂いがして、蝶屋敷なのだと思った。
目の前の人物が自分の名を呼んでいる気がする。
椎名はまだ半ば意識のないまま口を開いた。
「怪我が治ったらーー」
(貴方が好きだからーー)
「この国を出て行く」
(鬼殺隊を…炎柱を諦めて欲しくない)
強烈な睡魔に抗えず、椎名はそのまま再び眠りに落ちた。
うっすらと目を開けた椎名に杏寿郎は声をかけた。もう5日も眠っていたのだ。意識を取り戻した椎名に杏寿郎はほっと胸を撫で下ろした。
「椎名、わかるか?」
「怪我が治ったらーー」
「?」
椎名は目の前の杏寿郎がわかっていないようで、焦点の定まらない目をしていた。
「この国を出て行く」
「………」
それだけ告げると眠ってしまった椎名に杏寿郎はしばらく動けなかった。
(出て行く?……出て行く、だと?)
ギュッと両手を握りしめる。無言で青筋を浮かべ怒りの空気を撒き散らす杏寿郎にしのぶが呆れたように近づいた。
「すみ達が近寄れないのでその顔はやめてくださいね。まだ意識がはっきりしていないのですから、今の一言でそこまで感情的になるのは宜しくないのでは?」
「わかっている」
(わかっている顔ではありませんよ煉獄さん)
内心そう突っ込みながらしのぶは椎名を見た。顔色も良いしロストアイテムとやらの影響さえ抜ければ安心だろう。
(でも、さっきの一言は私もいただけませんよ)
椎名にはまだまだ教えてほしいことが…いや、しのぶの一番柔らかな所をいつでも抱きしめてくれるこの人が遠くにいってしまうなんて耐えられない。
(どこへも行かせたりしませんよ)
「任務があるのでここを離れなければならない」
表向きは平素の様子に戻った杏寿郎が告げるのにしのぶが頷いた。
「椎名さんはまだしばらく動けませんし、目を覚ましても何処にも逃しませんから安心して行ってきてください」
「…頼む」
しのぶがそこそこ怒っているのを感じ取って、杏寿郎は小さく苦笑すると立ち上がった。
ーー炎柱の雅号は我が家の誇りーー
(そんなものを…)
「………」
ふわふわと意識が浮かんだり沈んだりする。その境目で椎名はうっすらと目を開けた。
ぼんやりした視界に黄と赤の髪色が見える。薬草の匂いがして、蝶屋敷なのだと思った。
目の前の人物が自分の名を呼んでいる気がする。
椎名はまだ半ば意識のないまま口を開いた。
「怪我が治ったらーー」
(貴方が好きだからーー)
「この国を出て行く」
(鬼殺隊を…炎柱を諦めて欲しくない)
強烈な睡魔に抗えず、椎名はそのまま再び眠りに落ちた。
うっすらと目を開けた椎名に杏寿郎は声をかけた。もう5日も眠っていたのだ。意識を取り戻した椎名に杏寿郎はほっと胸を撫で下ろした。
「椎名、わかるか?」
「怪我が治ったらーー」
「?」
椎名は目の前の杏寿郎がわかっていないようで、焦点の定まらない目をしていた。
「この国を出て行く」
「………」
それだけ告げると眠ってしまった椎名に杏寿郎はしばらく動けなかった。
(出て行く?……出て行く、だと?)
ギュッと両手を握りしめる。無言で青筋を浮かべ怒りの空気を撒き散らす杏寿郎にしのぶが呆れたように近づいた。
「すみ達が近寄れないのでその顔はやめてくださいね。まだ意識がはっきりしていないのですから、今の一言でそこまで感情的になるのは宜しくないのでは?」
「わかっている」
(わかっている顔ではありませんよ煉獄さん)
内心そう突っ込みながらしのぶは椎名を見た。顔色も良いしロストアイテムとやらの影響さえ抜ければ安心だろう。
(でも、さっきの一言は私もいただけませんよ)
椎名にはまだまだ教えてほしいことが…いや、しのぶの一番柔らかな所をいつでも抱きしめてくれるこの人が遠くにいってしまうなんて耐えられない。
(どこへも行かせたりしませんよ)
「任務があるのでここを離れなければならない」
表向きは平素の様子に戻った杏寿郎が告げるのにしのぶが頷いた。
「椎名さんはまだしばらく動けませんし、目を覚ましても何処にも逃しませんから安心して行ってきてください」
「…頼む」
しのぶがそこそこ怒っているのを感じ取って、杏寿郎は小さく苦笑すると立ち上がった。