二章
夢小説設定
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「お前さぁ…派手に拗れる前に口出しさせてもらうぞ」
「どうした?宇髄!」
珍しく誘われた食事の席で天元に切り出され、杏寿郎は箸を止めた。天元が心底嫌そうにため息をつく。
「とりあえずお前は自覚をしろ、派手にな」
「なんだ!柱としての自覚か!?」
「阿呆!んな訳あるか!お前が椎名を好きなことをだ!!」
「………」
ぽろ…と杏寿郎の手から箸が落ちる。瞬き一つしなくなった杏寿郎を他所に天元は酒を注文すると、器二つに並々と注いだ。はっと杏寿郎が我に帰る。
「これから見回りだ!」
「そうかよ、俺は派手に任務明けだ。いいから付き合え」
「………」
逃げられそうもない。杏寿郎は観念すると器に手をかけた。
タン!
酒器がいい音を立てて置かれる。そこに天元は並々と酒を注いだ。机の上には空の徳利が何本も転がっている。
「なんだ煉獄ぅ、派手に飲める口じゃねぇか」
完全に出来上がっている天元に杏寿郎は顔色一つ変えない。
「お前もな!宇髄!!」
「んじゃあ話を戻すが、椎名が好きならよぉ、派手に本人に伝えりゃいいだろぉ?」
「その前に宇髄!」
「あ?」
「俺は椎名が好きなのか!?」
「ぶふぅっ!!」
杏寿郎も酔っている。天元は盛大に吹き出すと頭を抱えた。
「お前さぁ」
「うむ!」
「…よし、ちょっと想像してみろ。椎名に親しげに話しかける男がいて、なんならベタベタ派手に馴れ馴れしい奴な」
杏寿郎は天元の言葉に素直に想像した。何となくこの前の若い隊士の顔が浮かぶ。それが椎名に、親しく、馴れ馴れしく…。
バキッと手にあった酒器が音を立てた。
「むっ」
「あーあ、ったく…ついでに厠でも行って鏡で顔見て来い」
「む?」
「鬼も派手に逃げていきそうな顔してんぞ」
「むぅ…」
杏寿郎は顔を手で覆うとため息をついた。
「しかし、俺の気持ちがそうだとしても椎名がどう思っているかは…」
「んなの派手に当たり前だっつーの!それをちょっとずつこっち見させんだよ!」
「そ、そうなのか」
頼りない返事をする杏寿郎に天元が畳み掛ける。
「とにかく色々話しかけてお前と言う男を認識させろ!飯でも誘って派手に仲良くなれ!雰囲気を作るんだよ!」
「呼吸を会得するより難しそうだな!」
「やかましい!ああいう周りはみんな庇護の対象です、みたいな奴はなぁ、お前がただ守るだけの対象じゃ無いって分からせないと駄目だ!」
「なるほど!!」
「とにかく押せ!押せ押せ!!」
「わかった!」
ぐたぐたになって行く二人を他所に夜は更けて行くのだった。
3日後、杏寿郎は蝶屋敷へ向かっていた。何度も何度も天元の言葉を頭で繰り返す。
(食事に誘って、雰囲気を作る)
(とにかく俺と言う男を知ってもらう)
(俺は椎名が好きだ!)
気持ちがハッキリしてしまえばもう戸惑うこともない。庭に椎名の姿を認めると杏寿郎は大股で歩み寄った。椎名が気が付きこちらに笑顔を見せるのに気持ちが高まる。
「椎名!好きだ!!」
杏寿郎のよく響く声が空にまで突き抜けて…。
「………」
痛々しい沈黙がその場を支配した。
「どうした?宇髄!」
珍しく誘われた食事の席で天元に切り出され、杏寿郎は箸を止めた。天元が心底嫌そうにため息をつく。
「とりあえずお前は自覚をしろ、派手にな」
「なんだ!柱としての自覚か!?」
「阿呆!んな訳あるか!お前が椎名を好きなことをだ!!」
「………」
ぽろ…と杏寿郎の手から箸が落ちる。瞬き一つしなくなった杏寿郎を他所に天元は酒を注文すると、器二つに並々と注いだ。はっと杏寿郎が我に帰る。
「これから見回りだ!」
「そうかよ、俺は派手に任務明けだ。いいから付き合え」
「………」
逃げられそうもない。杏寿郎は観念すると器に手をかけた。
タン!
酒器がいい音を立てて置かれる。そこに天元は並々と酒を注いだ。机の上には空の徳利が何本も転がっている。
「なんだ煉獄ぅ、派手に飲める口じゃねぇか」
完全に出来上がっている天元に杏寿郎は顔色一つ変えない。
「お前もな!宇髄!!」
「んじゃあ話を戻すが、椎名が好きならよぉ、派手に本人に伝えりゃいいだろぉ?」
「その前に宇髄!」
「あ?」
「俺は椎名が好きなのか!?」
「ぶふぅっ!!」
杏寿郎も酔っている。天元は盛大に吹き出すと頭を抱えた。
「お前さぁ」
「うむ!」
「…よし、ちょっと想像してみろ。椎名に親しげに話しかける男がいて、なんならベタベタ派手に馴れ馴れしい奴な」
杏寿郎は天元の言葉に素直に想像した。何となくこの前の若い隊士の顔が浮かぶ。それが椎名に、親しく、馴れ馴れしく…。
バキッと手にあった酒器が音を立てた。
「むっ」
「あーあ、ったく…ついでに厠でも行って鏡で顔見て来い」
「む?」
「鬼も派手に逃げていきそうな顔してんぞ」
「むぅ…」
杏寿郎は顔を手で覆うとため息をついた。
「しかし、俺の気持ちがそうだとしても椎名がどう思っているかは…」
「んなの派手に当たり前だっつーの!それをちょっとずつこっち見させんだよ!」
「そ、そうなのか」
頼りない返事をする杏寿郎に天元が畳み掛ける。
「とにかく色々話しかけてお前と言う男を認識させろ!飯でも誘って派手に仲良くなれ!雰囲気を作るんだよ!」
「呼吸を会得するより難しそうだな!」
「やかましい!ああいう周りはみんな庇護の対象です、みたいな奴はなぁ、お前がただ守るだけの対象じゃ無いって分からせないと駄目だ!」
「なるほど!!」
「とにかく押せ!押せ押せ!!」
「わかった!」
ぐたぐたになって行く二人を他所に夜は更けて行くのだった。
3日後、杏寿郎は蝶屋敷へ向かっていた。何度も何度も天元の言葉を頭で繰り返す。
(食事に誘って、雰囲気を作る)
(とにかく俺と言う男を知ってもらう)
(俺は椎名が好きだ!)
気持ちがハッキリしてしまえばもう戸惑うこともない。庭に椎名の姿を認めると杏寿郎は大股で歩み寄った。椎名が気が付きこちらに笑顔を見せるのに気持ちが高まる。
「椎名!好きだ!!」
杏寿郎のよく響く声が空にまで突き抜けて…。
「………」
痛々しい沈黙がその場を支配した。