二章
夢小説設定
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「なぁ、最近蝶屋敷に行ったんだけどあの異国人凄いな」
若い隊士達の話し声に杏寿郎は足を止めた。野営の火を囲み数人が話し込んでいる。
「あぁ!見た見た!すんごい美人な!」
「いやー俺は無理。なんか冷たそうじゃねぇ?」
「………?」
もやっとしたものを胸に感じ杏寿郎は目を瞬いた。隊士達の話は続く。
「俺、話したことあるぜ。結構気さくな感じだった!」
「機能回復訓練で世話になった奴が言うには、めっぽう腕が立つらしいぞ」
「蝶屋敷屋敷のちびっ子達も懐いてるみたいだ」
「恋人とかいるのかな?」
「今度声かけてみようか」
「はぁ?お前嫁さんいるだろ」
「良いじゃねぇか、あんな美人なかなかお目にかかれないんだ。せめて一晩ぐらい…」
「君達!」
大きくなって行く胸のモヤモヤに苛立ちが加わり、杏寿郎は気付けば隊士達に声をかけていた。飛び上がり直立不動になる面々の顔を見回す。
「女性の隊士も多いんだ!そんな話は感心しないな!!」
「も、申し訳ありません!!」
「うむ!以後気をつけるように!!」
九十度に腰を折る隊士達を横目にその場を離れる。青い羽織を着た隊士が近づいてきた。
「…炎柱?どうかされましたか?」
「どうかとは?俺がどうかしたか?」
(いや、それを聞いているんですけど…)
ピリついた杏寿郎など、鬼の討伐の時しか見たことがない。鬼のいない現在、異常事態である。
「お疲れなのではありませんか?見張りの手は足りています。少しお休みください」
「いや、大丈夫だ!鬼が出るのは夜の間のみ!このまま探索を続けよう!!」
それとない羽織の隊士の気遣いは杏寿郎の声に吹き飛ばされた。思わず羽織の隊士がため息をつく。
「ではせめてその怒気を鎮めてください。鬼どころか野生動物だって逃げます」
「よもや!」
(俺は怒っているのか!)
羽織の隊士が言うのであればそうなのだろう。しかし何故自分が怒っているのか、理由が杏寿郎には分からなかった。
(はぁ…なんで怒ってるのか、分かってないんだろうなぁ)
羽織の隊士は内心特大のため息をついていた。実はさっきから杏寿郎と若い隊士の事を見ていたのだ。
(何で炎柱が怒っているかなんて一目瞭然じゃないですか)
だが、繊細な内容なので自分から口を挟むのは憚られる。
(頑張って自分で気付いてください炎柱)
「さぁ、探索に戻るぞ!行こう!」
「はい!休憩は終わりだ!行くぞ!!」
がやがやと隊士達が火を消し立ち上がる。歩き出す杏寿郎の頭にはもう先ほどの疑問は残っていなかった。
杏寿郎がその理由に気づくのはまだ先の話のようだ。
若い隊士達の話し声に杏寿郎は足を止めた。野営の火を囲み数人が話し込んでいる。
「あぁ!見た見た!すんごい美人な!」
「いやー俺は無理。なんか冷たそうじゃねぇ?」
「………?」
もやっとしたものを胸に感じ杏寿郎は目を瞬いた。隊士達の話は続く。
「俺、話したことあるぜ。結構気さくな感じだった!」
「機能回復訓練で世話になった奴が言うには、めっぽう腕が立つらしいぞ」
「蝶屋敷屋敷のちびっ子達も懐いてるみたいだ」
「恋人とかいるのかな?」
「今度声かけてみようか」
「はぁ?お前嫁さんいるだろ」
「良いじゃねぇか、あんな美人なかなかお目にかかれないんだ。せめて一晩ぐらい…」
「君達!」
大きくなって行く胸のモヤモヤに苛立ちが加わり、杏寿郎は気付けば隊士達に声をかけていた。飛び上がり直立不動になる面々の顔を見回す。
「女性の隊士も多いんだ!そんな話は感心しないな!!」
「も、申し訳ありません!!」
「うむ!以後気をつけるように!!」
九十度に腰を折る隊士達を横目にその場を離れる。青い羽織を着た隊士が近づいてきた。
「…炎柱?どうかされましたか?」
「どうかとは?俺がどうかしたか?」
(いや、それを聞いているんですけど…)
ピリついた杏寿郎など、鬼の討伐の時しか見たことがない。鬼のいない現在、異常事態である。
「お疲れなのではありませんか?見張りの手は足りています。少しお休みください」
「いや、大丈夫だ!鬼が出るのは夜の間のみ!このまま探索を続けよう!!」
それとない羽織の隊士の気遣いは杏寿郎の声に吹き飛ばされた。思わず羽織の隊士がため息をつく。
「ではせめてその怒気を鎮めてください。鬼どころか野生動物だって逃げます」
「よもや!」
(俺は怒っているのか!)
羽織の隊士が言うのであればそうなのだろう。しかし何故自分が怒っているのか、理由が杏寿郎には分からなかった。
(はぁ…なんで怒ってるのか、分かってないんだろうなぁ)
羽織の隊士は内心特大のため息をついていた。実はさっきから杏寿郎と若い隊士の事を見ていたのだ。
(何で炎柱が怒っているかなんて一目瞭然じゃないですか)
だが、繊細な内容なので自分から口を挟むのは憚られる。
(頑張って自分で気付いてください炎柱)
「さぁ、探索に戻るぞ!行こう!」
「はい!休憩は終わりだ!行くぞ!!」
がやがやと隊士達が火を消し立ち上がる。歩き出す杏寿郎の頭にはもう先ほどの疑問は残っていなかった。
杏寿郎がその理由に気づくのはまだ先の話のようだ。