二章
夢小説設定
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「あぁ?あれ椎名じゃねぇかぁ?」
実弥の声に杏寿郎と天元が足を止めた。まだ日も高く人の往来が多い道を椎名が駆け抜けていく。
「あんな派手に慌てて何してんだ?」
「さぁな」
「………」
まだ鬼が出る時間ではないため実弥も天元も不審げにするだけで、眺めて動かない。
杏寿郎だけがそわっとした後、椎名の後を追いかけた。
「おー、派手に行った行った」
「煉獄に任せときゃ良いだろぉ」
さっさと帰って休みたい二人はのんびり杏寿郎を見送ると帰路についた。
「あーもー、何なのよ」
一方、追いかけられている椎名はそろそろうんざりして来ていた。ちらりと後ろを見ると、バテバテではあるがまだ追いかけてきている。
「はぁ」
椎名はため息をつくとひらりと屋根の上まで跳躍した。周囲の人々が少しざわめいたが、屋根伝いに走り振り切る。
「ま、待って…っ」
弱々しく呼ばれた気がするが無視である。
「椎名!」
隣に突然杏寿郎が現れ椎名は目を丸くした。屋根の上を並走しながら杏寿郎が尋ねる。
「誰かに追われているのか!?」
「蝶屋敷を出てすぐからずっとね。変なお面を被った不審者よ」
「…それはもしや刀鍛冶の里のものではないか?」
「………」
杏寿郎が知る限りひょっとこのお面を日常的にかぶるものなどそういない。いてたまるか。
椎名はたっぷりの間沈黙すると急に立ち止まり道を振り返った。豆粒ほどに小さく見える人影を確認する。
「ひょっとこのお面?」
「うむ!」
「…息遣いも髪も乱れてて怖いんだけど」
「刀鍛冶のものにはそこそこいるな!」
「……結構長い距離無言で追いかけられたんですけど!?」
「俺など刀にヒビを入れた時闇討ちされたぞ!!」
「嘘ぉ〜!」
なぜか胸を張って答える杏寿郎に椎名は頭を抱えるとその場にしゃがみ込んだのだった。
「よ、良かっ…た……ぜんっ、ぜん…止まってくれな、くて……見失うかと…っ……」
杏寿郎の取りなしで近くの藤の家に場所を借りた椎名達は刀鍛冶の河原鉄砂鉄(かわらがねさてつ)と向かい合っていた。
息も絶え絶えの砂鉄が水を一気に流し込むと大きく息をつく。元はキチンとした旅装束だったのだろうが、長い距離を走ったせいかヨレヨレで確かに不審者風に仕上がっていた。
「それで、砂鉄殿は椎名の日輪刀の件で来たと言う事で間違い無いか!」
「は、はい…」
砂鉄は椎名をチラリと見るとバッと顔を背けた。
「!?」
あんまりあからさまにそっぽを剥かれて椎名はあっけに取られた。
(まぁ、全力で逃げてたし仕方ないけど)
しかしそんなに嫌がることはないだろう。砂鉄は横を向いたままで椎名に日輪刀を差し出した。
「椎名殿の日輪刀は古い記録しか残っておりませんで、先達の残した書き置きを元に打ち直し致しました。僭越ながらいくつか鬼殺の報告書も拝読いたしまして変えた部分もございます。ご確認下さい」
(そこまでしてくれたんだ)
椎名は思わず杏寿郎を見た。杏寿郎が頷き返してくれるのに日輪刀を手に取る。
「…少し、軽い?」
「っ!」
椎名の呟きに砂鉄はこちらを振り向くと嬉しそうに頷いた。鞘からゆっくり引き抜くと日輪刀の色が根元の紺碧から刃先の浅葱色まで美しいグラデーションを描く。杏寿郎が感嘆の息をついた。
「美しいな!」
「本当ね」
両手で握り水平に構えると椎名はあれ?と呟いた。
「前のより細くない?」
「!!そ、そうなんです!この違いをわかってくださる方だなんて嬉しいです!!」
砂鉄はパァッと明るくなると椎名の手を取りブンブン振った。
「私異人の方とお会いするの初めてでしたのでどんな方か心配していたんですよ!なんせ記録も馬鹿みたいに古いし、手入れに戻ってきた記録もないし、刀の事何も考えてないような高慢ちきだったらどうしようかと不安で不安で!!」
「「………」」
ぶっちゃける砂鉄に椎名は苦笑し杏寿郎な能面になった。安心し切った砂鉄がルンルンと帰っていくのを見送る。
「なんか普通に良い人だったわね。悪いことしちゃったわ」
(いい、人?)
会いもしないうちから高慢ちき呼ばわりされた挙句、初対面で馴れ馴れしく手を握るような奴が?
杏寿郎はしばらく悶々とした気持ちを抱えるのだった。
実弥の声に杏寿郎と天元が足を止めた。まだ日も高く人の往来が多い道を椎名が駆け抜けていく。
「あんな派手に慌てて何してんだ?」
「さぁな」
「………」
まだ鬼が出る時間ではないため実弥も天元も不審げにするだけで、眺めて動かない。
杏寿郎だけがそわっとした後、椎名の後を追いかけた。
「おー、派手に行った行った」
「煉獄に任せときゃ良いだろぉ」
さっさと帰って休みたい二人はのんびり杏寿郎を見送ると帰路についた。
「あーもー、何なのよ」
一方、追いかけられている椎名はそろそろうんざりして来ていた。ちらりと後ろを見ると、バテバテではあるがまだ追いかけてきている。
「はぁ」
椎名はため息をつくとひらりと屋根の上まで跳躍した。周囲の人々が少しざわめいたが、屋根伝いに走り振り切る。
「ま、待って…っ」
弱々しく呼ばれた気がするが無視である。
「椎名!」
隣に突然杏寿郎が現れ椎名は目を丸くした。屋根の上を並走しながら杏寿郎が尋ねる。
「誰かに追われているのか!?」
「蝶屋敷を出てすぐからずっとね。変なお面を被った不審者よ」
「…それはもしや刀鍛冶の里のものではないか?」
「………」
杏寿郎が知る限りひょっとこのお面を日常的にかぶるものなどそういない。いてたまるか。
椎名はたっぷりの間沈黙すると急に立ち止まり道を振り返った。豆粒ほどに小さく見える人影を確認する。
「ひょっとこのお面?」
「うむ!」
「…息遣いも髪も乱れてて怖いんだけど」
「刀鍛冶のものにはそこそこいるな!」
「……結構長い距離無言で追いかけられたんですけど!?」
「俺など刀にヒビを入れた時闇討ちされたぞ!!」
「嘘ぉ〜!」
なぜか胸を張って答える杏寿郎に椎名は頭を抱えるとその場にしゃがみ込んだのだった。
「よ、良かっ…た……ぜんっ、ぜん…止まってくれな、くて……見失うかと…っ……」
杏寿郎の取りなしで近くの藤の家に場所を借りた椎名達は刀鍛冶の河原鉄砂鉄(かわらがねさてつ)と向かい合っていた。
息も絶え絶えの砂鉄が水を一気に流し込むと大きく息をつく。元はキチンとした旅装束だったのだろうが、長い距離を走ったせいかヨレヨレで確かに不審者風に仕上がっていた。
「それで、砂鉄殿は椎名の日輪刀の件で来たと言う事で間違い無いか!」
「は、はい…」
砂鉄は椎名をチラリと見るとバッと顔を背けた。
「!?」
あんまりあからさまにそっぽを剥かれて椎名はあっけに取られた。
(まぁ、全力で逃げてたし仕方ないけど)
しかしそんなに嫌がることはないだろう。砂鉄は横を向いたままで椎名に日輪刀を差し出した。
「椎名殿の日輪刀は古い記録しか残っておりませんで、先達の残した書き置きを元に打ち直し致しました。僭越ながらいくつか鬼殺の報告書も拝読いたしまして変えた部分もございます。ご確認下さい」
(そこまでしてくれたんだ)
椎名は思わず杏寿郎を見た。杏寿郎が頷き返してくれるのに日輪刀を手に取る。
「…少し、軽い?」
「っ!」
椎名の呟きに砂鉄はこちらを振り向くと嬉しそうに頷いた。鞘からゆっくり引き抜くと日輪刀の色が根元の紺碧から刃先の浅葱色まで美しいグラデーションを描く。杏寿郎が感嘆の息をついた。
「美しいな!」
「本当ね」
両手で握り水平に構えると椎名はあれ?と呟いた。
「前のより細くない?」
「!!そ、そうなんです!この違いをわかってくださる方だなんて嬉しいです!!」
砂鉄はパァッと明るくなると椎名の手を取りブンブン振った。
「私異人の方とお会いするの初めてでしたのでどんな方か心配していたんですよ!なんせ記録も馬鹿みたいに古いし、手入れに戻ってきた記録もないし、刀の事何も考えてないような高慢ちきだったらどうしようかと不安で不安で!!」
「「………」」
ぶっちゃける砂鉄に椎名は苦笑し杏寿郎な能面になった。安心し切った砂鉄がルンルンと帰っていくのを見送る。
「なんか普通に良い人だったわね。悪いことしちゃったわ」
(いい、人?)
会いもしないうちから高慢ちき呼ばわりされた挙句、初対面で馴れ馴れしく手を握るような奴が?
杏寿郎はしばらく悶々とした気持ちを抱えるのだった。