二章
夢小説設定
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タタタタタタタタン!!
湯呑みの薬湯は微動だにしないまま椎名と杏寿郎の手が激しくその間を行き来する。
杏寿郎が掴んだ湯呑みを椎名が抑えると、次の湯呑みに手が届く寸前で先んじて椎名がそれを抑える。
(速い!)
チラリと視線をやれば、椎名は湯呑みではなく杏寿郎の目を見ていた。
(視線を読んでいるのか!凄いな!!)
負けじと杏寿郎が椎名を見つめ返す。気付いた椎名が湯呑みに一瞬視線を落とした。
(これか!)
タン!と杏寿郎が抑えにかかるが、椎名の手はその横の湯呑みに伸びていた。
(ひっかけか!!)
杏寿郎が湯呑みを抑えようとするが間に合わない。たぷんと薬湯が見えて杏寿郎がそれでも湯呑みを抑えるべく手を伸ばす。
ぱっ!
「!」
椎名が空中で湯呑みから手を離した。杏寿郎が反射的に不安定なそれを掴む。
スタン!
上からまっすぐ下に湯呑みを押し付けられて杏寿郎は体制を崩した。
「っ!」
ぱしゃん!
杏寿郎の顔に盛大に薬湯がかけられた。ぶるぶるっと首を振って水滴を払う。
「やるな!見事に引っかかったぞ!!」
「うーん、でもあんまりネタが思いつかないなぁ」
相手の湯呑みを抑えて自分のは抑えさせない。それだけのシンプルなルールだとあまりトリッキーなことが出来ない。椎名は腕まくりをすると気合を入れて座り直した。
「よし!次は正攻法で勝負!!」
「望む所だ!!」
ダタタタタダタッ!!先程より速いペースで杏寿郎と椎名の手が行き来する。
タン!タン!タン!!
(いける!抑える速度はわずかにこちらが速い!!)
杏寿郎はジワリと椎名を押していると感じた。チラリと視線をやると椎名の表情に焦りが見える。ふと、杏寿郎に悪戯な考えがよぎった。
タン!タン!タ……。
「っ!」
椎名の抑える手の下を湯呑みがすり抜けた。薬湯を警戒し椎名が顔を上げる。
トン。
「は?」
杏寿郎は絶妙なバランス感覚で湯呑みを椎名の親指の付け根の上に置いた。動きが止まった椎名のもう一方の手にも湯呑みを乗せる。
「えっ!?」
「勝負有りだ!」
ドン!と椎名の真ん前に湯呑みを置き杏寿郎は嬉しそうに笑った。こういう真剣勝負は楽しいものだ。湯呑みを両手に乗せたままで椎名が天井を仰いだ。
「まさかこう来るとは…」
「君が真剣勝負と明言したからな」
言いながら杏寿郎は椎名の手の上の湯呑みをどけた。わかってない様子の椎名に悪戯っぽく笑う。
「変則技は使ってこないだろうと思った。さっきのお返しだ。やられっぱなしは性に合わんのでな!」
「…参りました」
椎名は小さく肩をすくめると笑った。
湯呑みの薬湯は微動だにしないまま椎名と杏寿郎の手が激しくその間を行き来する。
杏寿郎が掴んだ湯呑みを椎名が抑えると、次の湯呑みに手が届く寸前で先んじて椎名がそれを抑える。
(速い!)
チラリと視線をやれば、椎名は湯呑みではなく杏寿郎の目を見ていた。
(視線を読んでいるのか!凄いな!!)
負けじと杏寿郎が椎名を見つめ返す。気付いた椎名が湯呑みに一瞬視線を落とした。
(これか!)
タン!と杏寿郎が抑えにかかるが、椎名の手はその横の湯呑みに伸びていた。
(ひっかけか!!)
杏寿郎が湯呑みを抑えようとするが間に合わない。たぷんと薬湯が見えて杏寿郎がそれでも湯呑みを抑えるべく手を伸ばす。
ぱっ!
「!」
椎名が空中で湯呑みから手を離した。杏寿郎が反射的に不安定なそれを掴む。
スタン!
上からまっすぐ下に湯呑みを押し付けられて杏寿郎は体制を崩した。
「っ!」
ぱしゃん!
杏寿郎の顔に盛大に薬湯がかけられた。ぶるぶるっと首を振って水滴を払う。
「やるな!見事に引っかかったぞ!!」
「うーん、でもあんまりネタが思いつかないなぁ」
相手の湯呑みを抑えて自分のは抑えさせない。それだけのシンプルなルールだとあまりトリッキーなことが出来ない。椎名は腕まくりをすると気合を入れて座り直した。
「よし!次は正攻法で勝負!!」
「望む所だ!!」
ダタタタタダタッ!!先程より速いペースで杏寿郎と椎名の手が行き来する。
タン!タン!タン!!
(いける!抑える速度はわずかにこちらが速い!!)
杏寿郎はジワリと椎名を押していると感じた。チラリと視線をやると椎名の表情に焦りが見える。ふと、杏寿郎に悪戯な考えがよぎった。
タン!タン!タ……。
「っ!」
椎名の抑える手の下を湯呑みがすり抜けた。薬湯を警戒し椎名が顔を上げる。
トン。
「は?」
杏寿郎は絶妙なバランス感覚で湯呑みを椎名の親指の付け根の上に置いた。動きが止まった椎名のもう一方の手にも湯呑みを乗せる。
「えっ!?」
「勝負有りだ!」
ドン!と椎名の真ん前に湯呑みを置き杏寿郎は嬉しそうに笑った。こういう真剣勝負は楽しいものだ。湯呑みを両手に乗せたままで椎名が天井を仰いだ。
「まさかこう来るとは…」
「君が真剣勝負と明言したからな」
言いながら杏寿郎は椎名の手の上の湯呑みをどけた。わかってない様子の椎名に悪戯っぽく笑う。
「変則技は使ってこないだろうと思った。さっきのお返しだ。やられっぱなしは性に合わんのでな!」
「…参りました」
椎名は小さく肩をすくめると笑った。