一章
夢小説設定
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「あれ」
「………」
藤の家で椎名は義勇と鉢合わせした。任務帰りの疲れた様子の義勇を労う。
「お疲れ様。今日はここで休み?」
「あぁ。(そう言うお前はどこかへ出掛けるのか?俺が詮索することではないがこの辺には治安の悪い場所も多い。女一人で出歩けない場所には立ち入らないようにしろ。いや、やはり心配だから)出掛けるならば俺も行こう」
「……」
(んん?)
義勇の返事に椎名は大いに戸惑った。椎名も昨夜はこの辺の山を駆け回っていた口である。産屋敷が椎名も藤の家を使えるよう手を回してくれてあるので、休ませて貰おうと寄ったところだ。
それが何故椎名が出掛ける前提で返事が返ってきたのか。
椎名は首を傾げつつ義勇に尋ねる。
「私が出掛けると思ったの?」
「?」
違うのか、と思いつつ頷く義勇。なるほど、と椎名も頷いた。
「と言うことはもしかして心配してもらったのかしらね?」
「あぁ」
「そう、ありがとう。出掛ける予定はないし昼過ぎまで此処で休ませて貰うつもりよ。だから心配せず義勇もゆっくり休んで」
「…そうか」
安心したのか表情を緩める義勇に、椎名は可愛い人だなと思った。
圧倒的に言葉が足りない上に表情筋が仕事をしていないので、結構な誤解を受けていそうだ。
「義勇はお腹空いたんじゃない?食事は?」
「藤の家の者に頼んだ。(椎名は食べる必要がないんだったな。俺も食べる必要なく走り回る事が出来れば良いのに。そうすれば鬼を一匹でも多く倒す事ができる)助かる者も多い」
(何で?)
義勇が食事をすると誰の何が助かると言うのか。流石に脈絡が見えなくて椎名は頭を抱えた。
「どうした?(頭が痛いのか?ならば頼んで薬を貰おうか。それとも人と同じ薬は椎名には効かないのだろうか。ならば余計な世話になるな。ならば頭が痛い時は)お前は何をしている?」
(おおーい)
これは実弥と喧嘩になるはずである。顔を見れば悪気ゼロ、どころか心配してくれているらしい事がなんとか、かろうじて、恐らくそうなんだろうとわかるが、いかんせん行間が異常に多すぎる。椎名はため息をつくと、ピッと指を義勇に突きつけた。
「よし、まずは藤の家の者に頼んだから、助かる者も多いの間を確認しよう!」
「?」
小首を傾げる幼い仕草の義勇に笑いそうになるのを堪える。
「食事を頼んで…それから?何を考えた?献立とか?」
「鮭大根を頼んだ」
「そ、そう」
違う、そうじゃない。
「じゃなくて、さっき話ししたでしょう?どうして義勇がご飯を藤の家の人に頼むと助かる者が多いの?」
「………」
お願いだからそんな事言ったか?みたいな顔をするのは止めてほしい。椎名はこめかみを指で揉んだ。
「…やはり頭が痛いのではないか?薬を貰おう。いや…普通の薬で大丈夫か?お前はこう言う時どうしているのだ?」
「そ…それぇっ!!」
「!?」
このタイミングを逃してなるものかと椎名は叫んだ。義勇がビクッと体を揺らす。椎名は義勇の肩を掴むとガシガシ揺すった。
「その途中経過の気遣いを口に出していこう!義勇!!それ大事!すっごい大事だから!!」
「そ、そうか…?」
戸惑う義勇に椎名はその後も小一時間、考えを口にする重要性を説いたのだった。
「わかった。わかったから椎名」
「ホントね!?本当にホントね!!?」
「あぁ」
1ヶ月後、全っ然変わってない義勇にがっかりする事を椎名は知らない。
「………」
藤の家で椎名は義勇と鉢合わせした。任務帰りの疲れた様子の義勇を労う。
「お疲れ様。今日はここで休み?」
「あぁ。(そう言うお前はどこかへ出掛けるのか?俺が詮索することではないがこの辺には治安の悪い場所も多い。女一人で出歩けない場所には立ち入らないようにしろ。いや、やはり心配だから)出掛けるならば俺も行こう」
「……」
(んん?)
義勇の返事に椎名は大いに戸惑った。椎名も昨夜はこの辺の山を駆け回っていた口である。産屋敷が椎名も藤の家を使えるよう手を回してくれてあるので、休ませて貰おうと寄ったところだ。
それが何故椎名が出掛ける前提で返事が返ってきたのか。
椎名は首を傾げつつ義勇に尋ねる。
「私が出掛けると思ったの?」
「?」
違うのか、と思いつつ頷く義勇。なるほど、と椎名も頷いた。
「と言うことはもしかして心配してもらったのかしらね?」
「あぁ」
「そう、ありがとう。出掛ける予定はないし昼過ぎまで此処で休ませて貰うつもりよ。だから心配せず義勇もゆっくり休んで」
「…そうか」
安心したのか表情を緩める義勇に、椎名は可愛い人だなと思った。
圧倒的に言葉が足りない上に表情筋が仕事をしていないので、結構な誤解を受けていそうだ。
「義勇はお腹空いたんじゃない?食事は?」
「藤の家の者に頼んだ。(椎名は食べる必要がないんだったな。俺も食べる必要なく走り回る事が出来れば良いのに。そうすれば鬼を一匹でも多く倒す事ができる)助かる者も多い」
(何で?)
義勇が食事をすると誰の何が助かると言うのか。流石に脈絡が見えなくて椎名は頭を抱えた。
「どうした?(頭が痛いのか?ならば頼んで薬を貰おうか。それとも人と同じ薬は椎名には効かないのだろうか。ならば余計な世話になるな。ならば頭が痛い時は)お前は何をしている?」
(おおーい)
これは実弥と喧嘩になるはずである。顔を見れば悪気ゼロ、どころか心配してくれているらしい事がなんとか、かろうじて、恐らくそうなんだろうとわかるが、いかんせん行間が異常に多すぎる。椎名はため息をつくと、ピッと指を義勇に突きつけた。
「よし、まずは藤の家の者に頼んだから、助かる者も多いの間を確認しよう!」
「?」
小首を傾げる幼い仕草の義勇に笑いそうになるのを堪える。
「食事を頼んで…それから?何を考えた?献立とか?」
「鮭大根を頼んだ」
「そ、そう」
違う、そうじゃない。
「じゃなくて、さっき話ししたでしょう?どうして義勇がご飯を藤の家の人に頼むと助かる者が多いの?」
「………」
お願いだからそんな事言ったか?みたいな顔をするのは止めてほしい。椎名はこめかみを指で揉んだ。
「…やはり頭が痛いのではないか?薬を貰おう。いや…普通の薬で大丈夫か?お前はこう言う時どうしているのだ?」
「そ…それぇっ!!」
「!?」
このタイミングを逃してなるものかと椎名は叫んだ。義勇がビクッと体を揺らす。椎名は義勇の肩を掴むとガシガシ揺すった。
「その途中経過の気遣いを口に出していこう!義勇!!それ大事!すっごい大事だから!!」
「そ、そうか…?」
戸惑う義勇に椎名はその後も小一時間、考えを口にする重要性を説いたのだった。
「わかった。わかったから椎名」
「ホントね!?本当にホントね!!?」
「あぁ」
1ヶ月後、全っ然変わってない義勇にがっかりする事を椎名は知らない。