一章
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楽しそうな子供達の笑い声に行冥は足を止めた。路地で子供がメンコに興じているようだ。平和な音に和みながら行冥はその場を離れようとした。
「あーっ!お姉ちゃん強い!」
「やっとコツがわかってきたわ」
「………」
思わず行冥の足が止まる。子供たちの声に混じり聞こえる椎名の声に驚きを禁じ得ない。
(異人が子供と遊んでいるなど、人攫いと思われても仕方ない事だぞ)
なんなら勘違いした親に殴られても文句も言えない。行冥がハラハラして見守っていると、パンパンと手を叩く音がした。
「今日はおしまい、もうお昼近いわ。お昼ご飯の時間よ」
「えー?もうちょっと!」
「だーめ。お父さんやお母さんに心配かけないのよ」
「じゃあまたね!お姉ちゃん!」
「また遊んでねー」
「さよーなら!」
子供達の軽い足音が走り去っていく。椎名の足音が行冥の方へ近づいてきた。
「そんなに心配しなくても何もしやしないわよ」
「そのような心配はしておらぬ」
「そう?」
椎名の笑い声があまりに気楽に聞こえ、行冥は表情を厳しくした。
「子供というのは純粋で無垢だが善悪の区別がなく、平気で嘘をつく。あの子らもいつ君を人攫いのように言い出すかはわからないのだ」
「子供だもの善悪の区別なんてつかないのは当然よ。昨日と今日と明日、子供にあるのはそれだけで、純粋だから明日が楽しいと信じて眠ることが出来るんだもの」
何が悪いのか分からないと言わんばかりの椎名に行冥は目に涙を浮かべた。
「知らぬことは恐ろしい。君が人攫いと言い立てられればお館様にもご迷惑がかかる」
「行冥は信頼されたいのね。悪いけど私は信頼されてしかるべしとは思ってないから良いのよ。最悪人攫いに間違えられたらしばらくこの辺から離れるわ」
20年でも30年でも椎名にとっては大した長さではない。
「子供は無垢で、それ故に残酷だから間違うこともある。だからそれを助けるために親や大人がいるのよ」
「…助ける力のない大人もいる」
(私のように…)
行冥は言葉を飲み込んだ。椎名がポンと行冥の肩を叩いた。
「助かられたか助けられなかったかはその子が決める事。子供はどんな時でも生命力に溢れているわ。全てが大人の間尺で決められることじゃない」
「………」
そうであればどれほど心救われることか。行冥はただ合掌するだけだった。
「あーっ!お姉ちゃん強い!」
「やっとコツがわかってきたわ」
「………」
思わず行冥の足が止まる。子供たちの声に混じり聞こえる椎名の声に驚きを禁じ得ない。
(異人が子供と遊んでいるなど、人攫いと思われても仕方ない事だぞ)
なんなら勘違いした親に殴られても文句も言えない。行冥がハラハラして見守っていると、パンパンと手を叩く音がした。
「今日はおしまい、もうお昼近いわ。お昼ご飯の時間よ」
「えー?もうちょっと!」
「だーめ。お父さんやお母さんに心配かけないのよ」
「じゃあまたね!お姉ちゃん!」
「また遊んでねー」
「さよーなら!」
子供達の軽い足音が走り去っていく。椎名の足音が行冥の方へ近づいてきた。
「そんなに心配しなくても何もしやしないわよ」
「そのような心配はしておらぬ」
「そう?」
椎名の笑い声があまりに気楽に聞こえ、行冥は表情を厳しくした。
「子供というのは純粋で無垢だが善悪の区別がなく、平気で嘘をつく。あの子らもいつ君を人攫いのように言い出すかはわからないのだ」
「子供だもの善悪の区別なんてつかないのは当然よ。昨日と今日と明日、子供にあるのはそれだけで、純粋だから明日が楽しいと信じて眠ることが出来るんだもの」
何が悪いのか分からないと言わんばかりの椎名に行冥は目に涙を浮かべた。
「知らぬことは恐ろしい。君が人攫いと言い立てられればお館様にもご迷惑がかかる」
「行冥は信頼されたいのね。悪いけど私は信頼されてしかるべしとは思ってないから良いのよ。最悪人攫いに間違えられたらしばらくこの辺から離れるわ」
20年でも30年でも椎名にとっては大した長さではない。
「子供は無垢で、それ故に残酷だから間違うこともある。だからそれを助けるために親や大人がいるのよ」
「…助ける力のない大人もいる」
(私のように…)
行冥は言葉を飲み込んだ。椎名がポンと行冥の肩を叩いた。
「助かられたか助けられなかったかはその子が決める事。子供はどんな時でも生命力に溢れているわ。全てが大人の間尺で決められることじゃない」
「………」
そうであればどれほど心救われることか。行冥はただ合掌するだけだった。