一章
夢小説設定
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「逃がすな!退路を塞げ!!」
「近づきすぎるな!怪我人を下げろ!!」
檄が飛び大勢の隊士が暗い森の中を走り回る。刀を構えた甘露寺は必死に周囲を見回していた。
(どこ!どこどこどこ!!)
鎹鴉の指令で来た森で甘露寺は鬼と対峙していた。すでに現着していた隊士と共に鬼に立ち向かうが、鬼は血鬼術の使い手だった。
四方八方からの読めない攻撃に打って出ることが出来ない。
(こんな時、師範がいてくれたら…)
燃える炎のような髪の人物を思い浮かべて甘露寺は首を振ってそれを打ち消した。
(師範に頼ってばかりじゃ駄目!それに師範はもう一匹の鬼を追って行ったんだもの。すぐには戻らないわ)
つまり自分たちで何とかするしか無い。ぎゃぁ
暗い木々の合間から伸びてきた腕をかわすとその方へと飛び込む。ぎゃあ!と後ろで隊士の悲鳴が聞こえた。
(もう嫌!どうなってるの!?)
じわりと目の縁に涙が浮かぶ。そこに甘露寺が待ちわびていた声が届いた。
「甘露寺!無事か!!」
「師範!血鬼術です!この鬼…」
そこまで叫んでヒヤリとしたものが甘露寺の背中を走った。鬼の醜悪な腕が脇腹めがけて伸びてくる。
(間に合わない)
「甘露寺!!」
衝撃に備えギュッと目をつぶった甘露寺だったが、思っていたものは襲ってこなかった。
「えっ!?」
鬼の腕は銀髪の女の日輪刀によって切り落とされていた。
「えっ?えっ?誰っ!?」
甘露寺の声に答えることなく女は鬼のいるであろう所へ突っ込む。だがやはりそこに鬼の姿はなく、女はそこに立ち止まった。
「甘露寺!」
「師範!この鬼血鬼術を…」
「あぁ!わかっている!!」
甘露寺の無事を確認すると煉獄は辺りを油断なく見渡した。雲が切れ月の光がその場を照らす。
(移動系の血鬼術か!厄介だな!!)
「むっ!?」
煉獄が気付くのと女が地面を蹴るのは同時だった。女が一足飛びに煉獄に飛びかかる。
「!!」
息を呑む甘露寺の目の前で女と煉獄自身の刃が煉獄の足元の地面を突き刺した。
「ぎぃやぁぁぁっ!!!」
耳をつんざくような悲鳴を上げ、鬼が月光で生まれた煉獄の影から飛び出してくる。
「このっ…!」
近くにいた隊士の刀をかわすと鬼はすかさず女や煉獄から距離をとった。
「影を移動する鬼ね」
言いながら女が人差し指を横へ滑らせる。すると何もない場所から鬼を囲うように手のひら大のガラス玉が5つ落ちてきた。
「何だこ…」
カッ!!
鬼の言葉が終わるより速くガラス玉がまばゆい光を放つ。
「っ!!」
「きゃあ!」
鬼も誰もが眩しさに目を閉じた瞬間、女の刀により鬼の首は体から分かれていた。
「は…な、んだ…と?」
ざらざらと自分が崩れていく音に鬼が女を睨めつける。
「卑怯な、手を…使いやがって…!」
女が指を鳴らすとガラス玉は溶けるように消えた。
「血鬼術使って死角から攻撃してくる奴に言われてもねぇ?まともに正面からやり合うつもりなんて無いわ」
「こ……の……」
悔しそうに顔を歪めたのを最後に鬼は塵となって消えた。方々から聞こえる隊士の呻き声にハッとした煉獄が指示を出す。
「動ける者は動けぬ者に手を貸せ!重症の者はむやみに動かすな!!」
「師範!」
甘露寺に袖を引かれ煉獄が振り返る。
「いない…?」
女の姿はもう何処にも無かった。
「近づきすぎるな!怪我人を下げろ!!」
檄が飛び大勢の隊士が暗い森の中を走り回る。刀を構えた甘露寺は必死に周囲を見回していた。
(どこ!どこどこどこ!!)
鎹鴉の指令で来た森で甘露寺は鬼と対峙していた。すでに現着していた隊士と共に鬼に立ち向かうが、鬼は血鬼術の使い手だった。
四方八方からの読めない攻撃に打って出ることが出来ない。
(こんな時、師範がいてくれたら…)
燃える炎のような髪の人物を思い浮かべて甘露寺は首を振ってそれを打ち消した。
(師範に頼ってばかりじゃ駄目!それに師範はもう一匹の鬼を追って行ったんだもの。すぐには戻らないわ)
つまり自分たちで何とかするしか無い。ぎゃぁ
暗い木々の合間から伸びてきた腕をかわすとその方へと飛び込む。ぎゃあ!と後ろで隊士の悲鳴が聞こえた。
(もう嫌!どうなってるの!?)
じわりと目の縁に涙が浮かぶ。そこに甘露寺が待ちわびていた声が届いた。
「甘露寺!無事か!!」
「師範!血鬼術です!この鬼…」
そこまで叫んでヒヤリとしたものが甘露寺の背中を走った。鬼の醜悪な腕が脇腹めがけて伸びてくる。
(間に合わない)
「甘露寺!!」
衝撃に備えギュッと目をつぶった甘露寺だったが、思っていたものは襲ってこなかった。
「えっ!?」
鬼の腕は銀髪の女の日輪刀によって切り落とされていた。
「えっ?えっ?誰っ!?」
甘露寺の声に答えることなく女は鬼のいるであろう所へ突っ込む。だがやはりそこに鬼の姿はなく、女はそこに立ち止まった。
「甘露寺!」
「師範!この鬼血鬼術を…」
「あぁ!わかっている!!」
甘露寺の無事を確認すると煉獄は辺りを油断なく見渡した。雲が切れ月の光がその場を照らす。
(移動系の血鬼術か!厄介だな!!)
「むっ!?」
煉獄が気付くのと女が地面を蹴るのは同時だった。女が一足飛びに煉獄に飛びかかる。
「!!」
息を呑む甘露寺の目の前で女と煉獄自身の刃が煉獄の足元の地面を突き刺した。
「ぎぃやぁぁぁっ!!!」
耳をつんざくような悲鳴を上げ、鬼が月光で生まれた煉獄の影から飛び出してくる。
「このっ…!」
近くにいた隊士の刀をかわすと鬼はすかさず女や煉獄から距離をとった。
「影を移動する鬼ね」
言いながら女が人差し指を横へ滑らせる。すると何もない場所から鬼を囲うように手のひら大のガラス玉が5つ落ちてきた。
「何だこ…」
カッ!!
鬼の言葉が終わるより速くガラス玉がまばゆい光を放つ。
「っ!!」
「きゃあ!」
鬼も誰もが眩しさに目を閉じた瞬間、女の刀により鬼の首は体から分かれていた。
「は…な、んだ…と?」
ざらざらと自分が崩れていく音に鬼が女を睨めつける。
「卑怯な、手を…使いやがって…!」
女が指を鳴らすとガラス玉は溶けるように消えた。
「血鬼術使って死角から攻撃してくる奴に言われてもねぇ?まともに正面からやり合うつもりなんて無いわ」
「こ……の……」
悔しそうに顔を歪めたのを最後に鬼は塵となって消えた。方々から聞こえる隊士の呻き声にハッとした煉獄が指示を出す。
「動ける者は動けぬ者に手を貸せ!重症の者はむやみに動かすな!!」
「師範!」
甘露寺に袖を引かれ煉獄が振り返る。
「いない…?」
女の姿はもう何処にも無かった。