喫茶店の女給になった元婚約者
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
椎名が鬼に襲われた。
匂い袋を盗まれたが故に起こったことだ。原因となった隠については行いに問題があるとして刀鍛冶の里への移動が命じられた。俺もまたお館様より直接叱責を受けた。
正直、父上に叱責された時より苦しい叱責だった。お館様にあのようなことを言わせてしまうとは柱としても不甲斐無し!
一週間後にようやく目覚めた椎名は青白い顔色をしており、身動ぎするのも辛そうだった。俺ならば2日もあれば鍛錬を再開しそうな傷でも椎名にとってはそうでは無いのだ。この細い体で一般人を守り背中に大きな傷を……。
「すまなかった」
椎名のご両親との騒ぎがおさまった後、日を改めて俺は椎名に謝罪をした。椎名は横になったままなのを気にして見舞いを遠慮していたが、それでは俺の気が収まらない。彼女が元気になるまで通うつもりだ。
頭を下げたまま椎名の沙汰を待っていれば、蚊の鳴くほど小さな笑い声が聞こえた。そっと顔を上げれば椎名が小さく微笑んでいる。
「助けて、頂いたのに……謝らないで、下さい」
本当にありがとうございます、と礼を言われ不覚にも泣きそうになった。酷いことをした俺に、まだ礼を言ってくれる君の心根の優しさが沁みる。
「失礼します。椎名さん、お食事ですが……召し上がれますか?」
「アオイさん……ありがとう、ございます」
食事を運んできた神崎少女に椎名が身を起こそうとするが、やはり相当痛むのか上手くいかずに苦戦している。駆け寄ってきて助け起こそうとする神崎少女を見習って傷のない腰に手を回した。
「……っ、あ、ありがとうございます」
力加減は気をつけたつもりだがやはり痛かったのか椎名が息を詰めた。む……怪我人の介助とは難しいな。
「ご自分で食べられますか?」
「えぇ……それぐらいは」
そう答えるものの自分の姿勢を維持するだけで精一杯だろう。俺は神崎少女から盆と匙を受け取るとベッドの横の椅子に腰掛けた。
「口を開けると良い!」
「…………ふぇっ!?い、っ」
「無理をするな。座るのもやっとだろう」
椎名の食事はまだ目を覚ましたばかりだから粥と味噌だけだ。それでも自分で食べるのは辛かろう。粥を匙ですくって口元に持っていけば椎名はあちこちに視線を彷徨わせた挙句ようやく口を開けてくれた。そっと細心の注意を払って匙を口に運べば椎名は大人しく粥を口に入れた。
「……ありがとう、ございます」
よほど恥ずかしかったのか耳まで真っ赤だ。ふ……愛いな。それにさっき触れた腰も折れそうなほど細くて……む!いかん!!怪我人相手に何を言ってるんだ!!心頭滅却だ!!
「よく食べよく眠るのが傷には一番だ!」
ほら、もう一口!と匙を差し出す俺に椎名は観念したのかすぐに口を開けてくれた。
そうして療養中俺は可能な限り椎名の元に通い手助けを申し出た。着替えや風呂まで手伝おうとして胡蝶から脇腹に拳を見舞われたのは御愛嬌だったが、それ以外では椎名と穏やかに過ごし彼女も笑顔を見せてくれるようになっていた。
だが椎名の療養が4ヶ月目に入った頃、俺は思わぬ言葉を椎名に告げられることになった。
匂い袋を盗まれたが故に起こったことだ。原因となった隠については行いに問題があるとして刀鍛冶の里への移動が命じられた。俺もまたお館様より直接叱責を受けた。
正直、父上に叱責された時より苦しい叱責だった。お館様にあのようなことを言わせてしまうとは柱としても不甲斐無し!
一週間後にようやく目覚めた椎名は青白い顔色をしており、身動ぎするのも辛そうだった。俺ならば2日もあれば鍛錬を再開しそうな傷でも椎名にとってはそうでは無いのだ。この細い体で一般人を守り背中に大きな傷を……。
「すまなかった」
椎名のご両親との騒ぎがおさまった後、日を改めて俺は椎名に謝罪をした。椎名は横になったままなのを気にして見舞いを遠慮していたが、それでは俺の気が収まらない。彼女が元気になるまで通うつもりだ。
頭を下げたまま椎名の沙汰を待っていれば、蚊の鳴くほど小さな笑い声が聞こえた。そっと顔を上げれば椎名が小さく微笑んでいる。
「助けて、頂いたのに……謝らないで、下さい」
本当にありがとうございます、と礼を言われ不覚にも泣きそうになった。酷いことをした俺に、まだ礼を言ってくれる君の心根の優しさが沁みる。
「失礼します。椎名さん、お食事ですが……召し上がれますか?」
「アオイさん……ありがとう、ございます」
食事を運んできた神崎少女に椎名が身を起こそうとするが、やはり相当痛むのか上手くいかずに苦戦している。駆け寄ってきて助け起こそうとする神崎少女を見習って傷のない腰に手を回した。
「……っ、あ、ありがとうございます」
力加減は気をつけたつもりだがやはり痛かったのか椎名が息を詰めた。む……怪我人の介助とは難しいな。
「ご自分で食べられますか?」
「えぇ……それぐらいは」
そう答えるものの自分の姿勢を維持するだけで精一杯だろう。俺は神崎少女から盆と匙を受け取るとベッドの横の椅子に腰掛けた。
「口を開けると良い!」
「…………ふぇっ!?い、っ」
「無理をするな。座るのもやっとだろう」
椎名の食事はまだ目を覚ましたばかりだから粥と味噌だけだ。それでも自分で食べるのは辛かろう。粥を匙ですくって口元に持っていけば椎名はあちこちに視線を彷徨わせた挙句ようやく口を開けてくれた。そっと細心の注意を払って匙を口に運べば椎名は大人しく粥を口に入れた。
「……ありがとう、ございます」
よほど恥ずかしかったのか耳まで真っ赤だ。ふ……愛いな。それにさっき触れた腰も折れそうなほど細くて……む!いかん!!怪我人相手に何を言ってるんだ!!心頭滅却だ!!
「よく食べよく眠るのが傷には一番だ!」
ほら、もう一口!と匙を差し出す俺に椎名は観念したのかすぐに口を開けてくれた。
そうして療養中俺は可能な限り椎名の元に通い手助けを申し出た。着替えや風呂まで手伝おうとして胡蝶から脇腹に拳を見舞われたのは御愛嬌だったが、それ以外では椎名と穏やかに過ごし彼女も笑顔を見せてくれるようになっていた。
だが椎名の療養が4ヶ月目に入った頃、俺は思わぬ言葉を椎名に告げられることになった。