喫茶店の女給になった元婚約者
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任務に忙殺されていた時、途中立ち寄った藤の家で藤の花の匂い袋を作っているのを見かけた。無理を承知で希望の品を作れないか頼んだところ快く引き受けて貰えた。
仕上がりを心待ちにして任務をこなし、朝焼けを山の稜線に眺めた時に猛烈に椎名に会いたくなった。
彼女はいつも俺が帰ると起きていてくれた。食事も風呂も布団も手当のための薬も当たり前のように享受していたが、そうでは無かったのだ。全ては椎名が影となって努力してくれていた証だった。
無くしてから気付くのは愚かだが、気が付かずに終わっていくよりずっと良い。
それに俺は今の彼女の事も前と同じかそれ以上に好きだ。屈託なく笑い、自身の作る料理の話に目を輝かせる椎名はとても美しいと思う。
前から彼女の料理は美味しかったし宇髄や不死川達も気に入っていたが、最近は更に腕を上げたように感じる。それに聞いたことのない菓子を次々と作るのにも感心する。いつの間にあんな知識を手に入れたのだろうか?
俺の知らない彼女がいると思うと胸が苦しい。もっと彼女を知りたい。今なにを考え、思っているのだろうか。彼女のために何かしたい。彼女の力になりたい。
明るくなっていく空を眺めたままでいると肩に要が止まった。藤の家に頼んでいた匂い袋が出来たとの知らせだ。
有難い!
俺は早速富士の家へと受け取りに向かった。希望した通りの品に頬が緩む。礼を言い直ぐに椎名に会いに行こうとしたが藤の家の者に止められた。せめて湯で汚れを落としてからご帰宅をと言われ自分を姿を見下ろすと……泥だらけだ!!
流石にこんな姿で喫茶店には行けない。俺はお言葉に甘えて湯を借りると、少々の仮眠をとった。せっかく綺麗にしてもらった隊服と羽織を汚さぬよう気をつけて帰路に着く。
椎名が働く喫茶店につけばそろそろ椎名の勤めが終わる丁度良い頃合いだった。相変わらず店は繁盛しており、中で椎名がクルクルと忙しそうに立ち回っているのが見える。
邪魔にならぬよう脇に寄って立っていればまもなく椎名が姿を表した。女給の着物ではなく洋装姿だ。
「椎名!」
「っ、まぁ……煉獄様」
ビクリと怯えるような常に無い反応を見せた椎名に内心首を傾げた。彼女はいつも俺を見ても呆れた顔はするが忌避された事はない。何かあったのか?
「驚かせてすまない!仕事は終わっただろうか!」
「はい。煉獄様は……任務帰りですか?お疲れ様でございました」
「よく分かったな!このところ立て込んでいたのが今日で一区切りついたのだ!」
椎名と会う時はいつも任務前で身綺麗な時が多い。なのに何故任務前ではなく任務後だと分かったのだろうか?彼女の観察眼には恐れ入る。
「では帰ってお休みに……」
「今日は君にこれを渡しにきた!!」
帰されそうになったので急いで話を逸らす。君が俺につれないのは当然だし仕方がないが、俺は君ともっと会いたいし話したいのだ。
出来たばかりの藤の花の匂い袋を渡せば……椎名の表情が見る見るうちに強張った。俺の手に匂い袋を握らせると真っ直ぐ見つめてくる。
「煉獄様、これはいけません。私には受け取れない品です」
「俺は君に受け取って欲しい!その為に作らせた品だ!」
君が俺を信用できないのは分かる。だが、藤の花は鬼殺隊士でない者が唯一鬼から身を守るための手段だ。その為だと思って受け取ってはくれないか。
そう伝えても椎名は首を横に振るばかりだ。
「煉獄様……私達は赤の他人です。このような品を私に渡されては良からぬ噂も出ることになりましょう。そうなれば隠のお嬢さんだって」
「本田少女との関わりは鬼殺隊と言うだけだ!!個人的な関わりも感情も一切ない!!」
なんと言うことだ!椎名はまだ俺が本田少女と心を通わせているなどと誤解したままなのか!!それだけは絶対にあり得ない!
断言する俺に椎名の目が僅かに見開かれ、それからゆるりと悲しげに歪んだ。
「あんな形で婚約を破棄されて……それでも信じろと?」
「……っ!」
俺が傷つけた。
こんなに苦しい思いをさせていたなんて……!
違う……俺が鈍いだけだ……辛くないわけがないのに、楽しそうに働いているからと……。
堪らず抱き締めると椎名が逃げようと身を捩るのに胸が痛んだ。逃げられたくなくて腕に力がこもる。
「はな、してっ」
「椎名すまなかった!俺が間違えていた!!俺は君の事を……」
「やめて!聞きたくない!!」
悲痛な叫びに腕に力が緩む。俺を押しのけ後ろに下がった椎名は息を乱し今にも泣きそうな顔をしていた。
「椎名……」
「もう貴方に振り回されるのはたくさん!!」
そう叫ぶと走り去る椎名を……俺は追う事ができなかった。
仕上がりを心待ちにして任務をこなし、朝焼けを山の稜線に眺めた時に猛烈に椎名に会いたくなった。
彼女はいつも俺が帰ると起きていてくれた。食事も風呂も布団も手当のための薬も当たり前のように享受していたが、そうでは無かったのだ。全ては椎名が影となって努力してくれていた証だった。
無くしてから気付くのは愚かだが、気が付かずに終わっていくよりずっと良い。
それに俺は今の彼女の事も前と同じかそれ以上に好きだ。屈託なく笑い、自身の作る料理の話に目を輝かせる椎名はとても美しいと思う。
前から彼女の料理は美味しかったし宇髄や不死川達も気に入っていたが、最近は更に腕を上げたように感じる。それに聞いたことのない菓子を次々と作るのにも感心する。いつの間にあんな知識を手に入れたのだろうか?
俺の知らない彼女がいると思うと胸が苦しい。もっと彼女を知りたい。今なにを考え、思っているのだろうか。彼女のために何かしたい。彼女の力になりたい。
明るくなっていく空を眺めたままでいると肩に要が止まった。藤の家に頼んでいた匂い袋が出来たとの知らせだ。
有難い!
俺は早速富士の家へと受け取りに向かった。希望した通りの品に頬が緩む。礼を言い直ぐに椎名に会いに行こうとしたが藤の家の者に止められた。せめて湯で汚れを落としてからご帰宅をと言われ自分を姿を見下ろすと……泥だらけだ!!
流石にこんな姿で喫茶店には行けない。俺はお言葉に甘えて湯を借りると、少々の仮眠をとった。せっかく綺麗にしてもらった隊服と羽織を汚さぬよう気をつけて帰路に着く。
椎名が働く喫茶店につけばそろそろ椎名の勤めが終わる丁度良い頃合いだった。相変わらず店は繁盛しており、中で椎名がクルクルと忙しそうに立ち回っているのが見える。
邪魔にならぬよう脇に寄って立っていればまもなく椎名が姿を表した。女給の着物ではなく洋装姿だ。
「椎名!」
「っ、まぁ……煉獄様」
ビクリと怯えるような常に無い反応を見せた椎名に内心首を傾げた。彼女はいつも俺を見ても呆れた顔はするが忌避された事はない。何かあったのか?
「驚かせてすまない!仕事は終わっただろうか!」
「はい。煉獄様は……任務帰りですか?お疲れ様でございました」
「よく分かったな!このところ立て込んでいたのが今日で一区切りついたのだ!」
椎名と会う時はいつも任務前で身綺麗な時が多い。なのに何故任務前ではなく任務後だと分かったのだろうか?彼女の観察眼には恐れ入る。
「では帰ってお休みに……」
「今日は君にこれを渡しにきた!!」
帰されそうになったので急いで話を逸らす。君が俺につれないのは当然だし仕方がないが、俺は君ともっと会いたいし話したいのだ。
出来たばかりの藤の花の匂い袋を渡せば……椎名の表情が見る見るうちに強張った。俺の手に匂い袋を握らせると真っ直ぐ見つめてくる。
「煉獄様、これはいけません。私には受け取れない品です」
「俺は君に受け取って欲しい!その為に作らせた品だ!」
君が俺を信用できないのは分かる。だが、藤の花は鬼殺隊士でない者が唯一鬼から身を守るための手段だ。その為だと思って受け取ってはくれないか。
そう伝えても椎名は首を横に振るばかりだ。
「煉獄様……私達は赤の他人です。このような品を私に渡されては良からぬ噂も出ることになりましょう。そうなれば隠のお嬢さんだって」
「本田少女との関わりは鬼殺隊と言うだけだ!!個人的な関わりも感情も一切ない!!」
なんと言うことだ!椎名はまだ俺が本田少女と心を通わせているなどと誤解したままなのか!!それだけは絶対にあり得ない!
断言する俺に椎名の目が僅かに見開かれ、それからゆるりと悲しげに歪んだ。
「あんな形で婚約を破棄されて……それでも信じろと?」
「……っ!」
俺が傷つけた。
こんなに苦しい思いをさせていたなんて……!
違う……俺が鈍いだけだ……辛くないわけがないのに、楽しそうに働いているからと……。
堪らず抱き締めると椎名が逃げようと身を捩るのに胸が痛んだ。逃げられたくなくて腕に力がこもる。
「はな、してっ」
「椎名すまなかった!俺が間違えていた!!俺は君の事を……」
「やめて!聞きたくない!!」
悲痛な叫びに腕に力が緩む。俺を押しのけ後ろに下がった椎名は息を乱し今にも泣きそうな顔をしていた。
「椎名……」
「もう貴方に振り回されるのはたくさん!!」
そう叫ぶと走り去る椎名を……俺は追う事ができなかった。