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――Don't forget――
それはエドとアルだけの誓いじゃないから。
「だぁれが豆粒ドチビかーっ!!!」
そんな怒号とともに飛んでいく街の酔っ払いが一人、二人…あー、まとめて三人目と四人目が宙に舞う。エドとアル、そして私こと炭子と妹の禰豆子が失ったものを取り戻すために続けている旅の中、休憩にと立ち寄った街での出来事だ。
「兄さん!落ち着いて!!」
「うぉぉーっし!テメェらまとめて海の藻屑にしてやんぜー!!」
「お姉ちゃーん」
絡んできた酔っぱらいに私が止めるまもなくエドがキレてアルが止めて禰豆子が泣きつく。ある意味代わり映えしない光栄にため息をつくと私はエドに近づいた。ゲヘヘへへと悪人丸出しの顔で笑うエドの肩を三回叩くと足を払い、後ろに傾いたその腰に腕を添わせてクルリと宙返りさせる。器用に着地したエドが不服そうに私を睨んだ。
「んだよ炭!邪魔すんなってーの!」
「……」
ブーブー文句を言うエドに首を振ると両手を越しに当ててメッと怒った顔を作る。私の言いたいことが伝わったのだろうエドはバツの悪そうな顔をした。
「最初に炭と禰豆に絡んできたのは向こうだろうがよ…」
そうは言いつつも酔っ払い達も逃げてしまった今、エドの怒りは長続きしない。うんうん、私と禰豆子の為に怒ってくれてありがとうエド。でも次からはもう少し穏便な解決法でお願い。
「……」
こんな時、話すことができたら感謝も伝えられるのにと思う。私と禰豆子はエドたちの暮らすこの世界とは別の場所から来た人間だ。私が五歳、禰豆子が四歳のときによくわからない化け物に襲われて両親も他の兄弟達も失ってしまった。自分たちも死ぬばかりかと思ったその時に黒い不気味な手のようなものに引き込まれ…エド曰く真理の扉を潜ってしまったらしい。
そしてその代償として私は声を、禰豆子は記憶を失った。
その時のことは朦朧としていてあまり思い出せないけれど、傷だらけの上に血まみれで酷い有様だった私と禰豆子をエドとアルのお母さん、トリシャが拾ってくれてそのまま育ててくれた。
本当に感謝してもしきれないと思っている。だから…。
『もう後戻りできねーな』
『うん』
燃え盛る家を見つめたあの日を決して忘れない。垣間見た地獄にエドとアルを置き去りになんてしない。
絶対に、四人が元に戻れる方法を見つけるんだ。
「こらぁー!何やってるんだそこ!!」
「やべっ!!逃げるぞアル!炭!禰豆!!」
「あ!待ってよ兄さん!!」
騒ぎを聞きつけてやって来た憲兵にエドがすかさず走り出す。
「お姉ちゃん早く!」
禰豆子…こんな状況への対応がすっかり板についてしまって…不甲斐ないお姉ちゃんでゴメンね。必ず記憶を取り戻してあげるからね。
そんな思いを胸に私は三人の後を追って走り出すのだった。
それはエドとアルだけの誓いじゃないから。
「だぁれが豆粒ドチビかーっ!!!」
そんな怒号とともに飛んでいく街の酔っ払いが一人、二人…あー、まとめて三人目と四人目が宙に舞う。エドとアル、そして私こと炭子と妹の禰豆子が失ったものを取り戻すために続けている旅の中、休憩にと立ち寄った街での出来事だ。
「兄さん!落ち着いて!!」
「うぉぉーっし!テメェらまとめて海の藻屑にしてやんぜー!!」
「お姉ちゃーん」
絡んできた酔っぱらいに私が止めるまもなくエドがキレてアルが止めて禰豆子が泣きつく。ある意味代わり映えしない光栄にため息をつくと私はエドに近づいた。ゲヘヘへへと悪人丸出しの顔で笑うエドの肩を三回叩くと足を払い、後ろに傾いたその腰に腕を添わせてクルリと宙返りさせる。器用に着地したエドが不服そうに私を睨んだ。
「んだよ炭!邪魔すんなってーの!」
「……」
ブーブー文句を言うエドに首を振ると両手を越しに当ててメッと怒った顔を作る。私の言いたいことが伝わったのだろうエドはバツの悪そうな顔をした。
「最初に炭と禰豆に絡んできたのは向こうだろうがよ…」
そうは言いつつも酔っ払い達も逃げてしまった今、エドの怒りは長続きしない。うんうん、私と禰豆子の為に怒ってくれてありがとうエド。でも次からはもう少し穏便な解決法でお願い。
「……」
こんな時、話すことができたら感謝も伝えられるのにと思う。私と禰豆子はエドたちの暮らすこの世界とは別の場所から来た人間だ。私が五歳、禰豆子が四歳のときによくわからない化け物に襲われて両親も他の兄弟達も失ってしまった。自分たちも死ぬばかりかと思ったその時に黒い不気味な手のようなものに引き込まれ…エド曰く真理の扉を潜ってしまったらしい。
そしてその代償として私は声を、禰豆子は記憶を失った。
その時のことは朦朧としていてあまり思い出せないけれど、傷だらけの上に血まみれで酷い有様だった私と禰豆子をエドとアルのお母さん、トリシャが拾ってくれてそのまま育ててくれた。
本当に感謝してもしきれないと思っている。だから…。
『もう後戻りできねーな』
『うん』
燃え盛る家を見つめたあの日を決して忘れない。垣間見た地獄にエドとアルを置き去りになんてしない。
絶対に、四人が元に戻れる方法を見つけるんだ。
「こらぁー!何やってるんだそこ!!」
「やべっ!!逃げるぞアル!炭!禰豆!!」
「あ!待ってよ兄さん!!」
騒ぎを聞きつけてやって来た憲兵にエドがすかさず走り出す。
「お姉ちゃん早く!」
禰豆子…こんな状況への対応がすっかり板についてしまって…不甲斐ないお姉ちゃんでゴメンね。必ず記憶を取り戻してあげるからね。
そんな思いを胸に私は三人の後を追って走り出すのだった。
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