第一部
夢小説設定
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「あの…お一人ですか?」
昼下がりに茶屋の縁台で一服していた雅人は顔を上げた。少女が二人、頰を赤らめている。雅人はニッコリ微笑んでみせた。少女達の頬の赤みが増す。
「そうだよ。なに?僕と遊んでくれるの?」
足を組むとその上で片肘をついて顎を乗せる。上から下まで舐めるように視線を這わせれば、少女達は怯んで後ろに下がった。
「ご、ごめんなさい!」
ペコリと頭を下げると走り去ってしまう。雅人は軽く肩をすくめると甘酒を口に運んだ。ここのは酒粕を贅沢に使っていて美味しい。
(蜜璃ちゃん甘酒は平気かな?今度教えてあげよう)
甘味仲間ではあるが甘露寺は美味しいものなら何でも喜ぶ。雅人の中では甘露寺は友達ではないが愛玩動物のような位置付けだった。表情がコロコロ変わるのが見ていて飽きない。
「坊や暇かしら?」
(おやおや、今日は忙しい日だ)
雅人は口角を上げると声の主を見た。最新の洋装に身を固め、数人の男性を従えた女性が目の前に立っている。雅人は先ほどと同じようにニッコリ微笑んでみせた。
「そうだけど、君は僕と遊んでくれるの?」
分かりやすく周りの男達が殺気立ったが雅人は女性を見つめたままだった。女性の細い指が雅人の顎にかかる。
「そうね、たっぷり遊んであげるわ。今から私の家に来ない?」
(金持ちの道楽娘か有閑マダムか…あ、指輪してるね)
顎にかかっていた女性の手を掴むとそれに唇を落とす。腰を上げかけた雅人の頭上で鴉が声をあげた。
「カァッ!カアァッ!!任務!任務ーッ!!南東へ向カエ!南東へ!!」
「何だあれ…っ」
「鴉が喋ったぞ!」
ざわつく男達を他所に雅人が腕を上げると鴉がふわりと舞い降りた。その漆黒の瞳が雅人を捉える。
「遊ンデル場合ジャナイゾ雅人!!任務!任務ーッ!!」
「残念、わかったよ夜明」
ポケットから木の実を取り出すと鎹鴉の夜明の口に入れてやる。雅人は立ち上がると女性の手の甲にキスを落とした。
「ごめんね、僕仕事が入っちゃった。またどこかで会ったら遊んでよ」
「これあげるわ」
渡された二つ折りの小さな紙を広げれば住所が書かれている。雅人は小さく笑うと手を振り歩き出した。無造作に紙をポケットに捩じ込む。人気のない裏路地に入ると雅人は夜明に尋ねた。
「何が起こってるんだい?」
「子ガ消エル!神隠シ!!」
「なるほど」
それだけ聞けばもう十分だ。雅人は南東の方向へ足を向けた。
昼下がりに茶屋の縁台で一服していた雅人は顔を上げた。少女が二人、頰を赤らめている。雅人はニッコリ微笑んでみせた。少女達の頬の赤みが増す。
「そうだよ。なに?僕と遊んでくれるの?」
足を組むとその上で片肘をついて顎を乗せる。上から下まで舐めるように視線を這わせれば、少女達は怯んで後ろに下がった。
「ご、ごめんなさい!」
ペコリと頭を下げると走り去ってしまう。雅人は軽く肩をすくめると甘酒を口に運んだ。ここのは酒粕を贅沢に使っていて美味しい。
(蜜璃ちゃん甘酒は平気かな?今度教えてあげよう)
甘味仲間ではあるが甘露寺は美味しいものなら何でも喜ぶ。雅人の中では甘露寺は友達ではないが愛玩動物のような位置付けだった。表情がコロコロ変わるのが見ていて飽きない。
「坊や暇かしら?」
(おやおや、今日は忙しい日だ)
雅人は口角を上げると声の主を見た。最新の洋装に身を固め、数人の男性を従えた女性が目の前に立っている。雅人は先ほどと同じようにニッコリ微笑んでみせた。
「そうだけど、君は僕と遊んでくれるの?」
分かりやすく周りの男達が殺気立ったが雅人は女性を見つめたままだった。女性の細い指が雅人の顎にかかる。
「そうね、たっぷり遊んであげるわ。今から私の家に来ない?」
(金持ちの道楽娘か有閑マダムか…あ、指輪してるね)
顎にかかっていた女性の手を掴むとそれに唇を落とす。腰を上げかけた雅人の頭上で鴉が声をあげた。
「カァッ!カアァッ!!任務!任務ーッ!!南東へ向カエ!南東へ!!」
「何だあれ…っ」
「鴉が喋ったぞ!」
ざわつく男達を他所に雅人が腕を上げると鴉がふわりと舞い降りた。その漆黒の瞳が雅人を捉える。
「遊ンデル場合ジャナイゾ雅人!!任務!任務ーッ!!」
「残念、わかったよ夜明」
ポケットから木の実を取り出すと鎹鴉の夜明の口に入れてやる。雅人は立ち上がると女性の手の甲にキスを落とした。
「ごめんね、僕仕事が入っちゃった。またどこかで会ったら遊んでよ」
「これあげるわ」
渡された二つ折りの小さな紙を広げれば住所が書かれている。雅人は小さく笑うと手を振り歩き出した。無造作に紙をポケットに捩じ込む。人気のない裏路地に入ると雅人は夜明に尋ねた。
「何が起こってるんだい?」
「子ガ消エル!神隠シ!!」
「なるほど」
それだけ聞けばもう十分だ。雅人は南東の方向へ足を向けた。