第一部
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「なぁ煉獄、あの相生って奴は派手にどんな奴なんだ?」
藤の家でたまたま会った宇髄に尋ねられ、煉獄は見ていた地図から顔を上げた。宇髄はテーブルに肘をつき茶を啜っている。煉獄はふむ…と顎に手を当てた。
「一言で言うならば性根の曲がった男だ!」
「ぶはっ!!」
あんまりな言葉に宇髄は茶を噴き出した。煉獄がさっと地図を避ける。
「汚いぞ!宇髄!!」
「茶も噴くわ!お前ダチなんだよな!?」
「うむ!雅人にとって俺は唯一の友だ!」
「ヒデェ!!」
宇髄はお腹を抱えて笑い転げた。煉獄が地図を片付けると自分のお茶に手をつける。
「本人がそう言って憚らないのだから構うまい!」
「あー腹いてぇ…お前ら早い頃からの付き合いなんだろ?どうやって知り合ったんだよ」
「そうだな…雅人と言葉を交わしたのは何度目かの任務だったな」
煉獄は小首を傾げるとその時の事を懐かしく思い出した。
それは鬼殺隊士になってから三度目の任務だった。次の任務に向かうのに近場には藤の家もなく、廃れた山寺に隊士数名で体を休めていた時だった。
「なぁ、良いだろ?」
「お前だっておっ立ててるんだしな?」
(なんだ…?)
壁に寄りかかりウトウトしていた煉獄はコソコソした話し声に目を覚ました。隊士が二人がかりで一人の隊士を押さえようとしている。寝ぼけた頭で煉獄は隊士達の声を聞いていた。
「別に構わないよ」
抑えられていた隊士…雅人が相手の頰をするりと撫ぜた。舐めるような視線に隊士二人の顔が緩む。しかしグッと顎を掴まれ上向かされて、その表情はあっという間に強張った。
「ただし、僕にやらせてくれるなら、ね?」
「………へ」
雅人のぎらついた眼に隊士二人は凍り付いた。うっそりと笑うと雅人が舌舐めずりをする。
「どうしたんだい?まさかヤるのは良いのにヤられるのは嫌なんて言わないよね?大丈夫、どっちでも気持ちいいのに変わりはないから」
「い、いや…それは」
「君達から言ってきた事なのにそれは無いんじゃないかい?ほら、早く足開きなよ」
ガッと膝を掴まれた隊士は情けない悲鳴をあげると逃げていった。もう一人も転がるように走っていく。雅人はため息をつくと再び壁に寄りかかった。
「つまんないの」
そう呟くとストンと表情が抜け落ちる。突然人形のようになった雅人に煉獄が目を見開いた。視線に気づいた雅人と目が合う。
「「………」」
パチクリと見つめ合った後、煉獄が我に返って叫んだ。
「すまない!盗み聞きになってしまった!!」
「ぶはっ!な、ってしまったって…ははっ」
雅人は吹き出すと肩を震わせた。邪気のない笑顔に煉獄もつられて笑う。
「彼らのあれは隊律違反ギリギリだ!報告を上げることを勧める!!」
「えー?そういう面倒臭いのは良いや。向こうが乗って来れば僕もヤってたし」
「君は男色家なのか!」
「はぁ!?」
初対面で正面切って聞くようなことではない。雅人が呆気に取られていると煉獄がキョトンとした。
「違うのか?」
「違うよ」
「そうか!それはすまない!!」
「…君、面白いね」
クツクツと笑うと雅人は煉獄に片手を差し出した。
「相生雅人だ。宜しくね」
「煉獄杏寿郎と言う!宜しく頼む!!」
それが煉獄と雅人の出会いだった。
「お前…よくそんな奴と友人になろうとか思ったな」
煉獄の話を聞いていた宇髄はドン引きした。そこに居たのが自分なら絶対に話しかけない。
「雅人は自分が気に入ったものには懐が深いからな!俺はお眼鏡に叶ったと言うやつなのだろう!」
「煉獄の話と噂をくっ付けると派手に快楽主義で戦闘狂じゃねえか。鬼殺隊士として不安を覚える奴だな」
その言葉に煉獄は強い視線を宇髄へと向けた。宇髄が僅かに目を見張る。
「雅人の鬼殺に対する責任感は本物だ!それは俺が保証する!!」
「いや、益々わっかんねぇわ。お前は相生をどう見てるんだ?」
「雅人は初めて会った時には既に力は完成されていたが、見た目と中身はまるきり子供だった!今は見た目も完成されたので中身だけが子供だな!」
「いや…だからダチなんだよな?」
容赦なさすぎて不安しか抱けない。ため息をついた宇髄だったが、ふと外へと視線を向けると屋根の上へと駆け上がった。煉獄がその後に続く。
「どうした!宇髄!!」
「ガキが派手に迷子になってるみてぇだな」
人混みの中から泣き声が聞こえる。視線を走らせる宇髄の肩を煉獄が叩いた。
「そう言えば雅人には一つ素晴らしいところがあるぞ!」
「あぁ?」
煉獄は人混みの中で頭一つ飛び出た黒髪を指し示した。滅の字を背負った背中がゆっくりと歩いて行き人混みの中に消える。宇髄と煉獄が待っていると子供を肩車した雅人がひょっこりと立ち上がった。
「おとーさーんっ、おかーさーんっ!」
子供が大きな声で親を呼ぶ声と同時に駆け寄る親と思しき男女。雅人は子供を見上げ何事か話しかけると、ひょいと子供を肩から降ろし父親に引き渡した。頭を下げる親には見向きもせず子供に手を振るとその場を立ち去る。
「彼は子供には無条件に優しい!」
「そういや、一回目の降格処分の理由は子供を殴った隊士を半殺しにした事だったか」
「うむ!しかし困ったことに降格処分してもらえることをそれで学習してしまってな!昇格すると降格になろうとする!」
「うーわ」
関わり合いになるのはやめようと思う宇髄だった。
藤の家でたまたま会った宇髄に尋ねられ、煉獄は見ていた地図から顔を上げた。宇髄はテーブルに肘をつき茶を啜っている。煉獄はふむ…と顎に手を当てた。
「一言で言うならば性根の曲がった男だ!」
「ぶはっ!!」
あんまりな言葉に宇髄は茶を噴き出した。煉獄がさっと地図を避ける。
「汚いぞ!宇髄!!」
「茶も噴くわ!お前ダチなんだよな!?」
「うむ!雅人にとって俺は唯一の友だ!」
「ヒデェ!!」
宇髄はお腹を抱えて笑い転げた。煉獄が地図を片付けると自分のお茶に手をつける。
「本人がそう言って憚らないのだから構うまい!」
「あー腹いてぇ…お前ら早い頃からの付き合いなんだろ?どうやって知り合ったんだよ」
「そうだな…雅人と言葉を交わしたのは何度目かの任務だったな」
煉獄は小首を傾げるとその時の事を懐かしく思い出した。
それは鬼殺隊士になってから三度目の任務だった。次の任務に向かうのに近場には藤の家もなく、廃れた山寺に隊士数名で体を休めていた時だった。
「なぁ、良いだろ?」
「お前だっておっ立ててるんだしな?」
(なんだ…?)
壁に寄りかかりウトウトしていた煉獄はコソコソした話し声に目を覚ました。隊士が二人がかりで一人の隊士を押さえようとしている。寝ぼけた頭で煉獄は隊士達の声を聞いていた。
「別に構わないよ」
抑えられていた隊士…雅人が相手の頰をするりと撫ぜた。舐めるような視線に隊士二人の顔が緩む。しかしグッと顎を掴まれ上向かされて、その表情はあっという間に強張った。
「ただし、僕にやらせてくれるなら、ね?」
「………へ」
雅人のぎらついた眼に隊士二人は凍り付いた。うっそりと笑うと雅人が舌舐めずりをする。
「どうしたんだい?まさかヤるのは良いのにヤられるのは嫌なんて言わないよね?大丈夫、どっちでも気持ちいいのに変わりはないから」
「い、いや…それは」
「君達から言ってきた事なのにそれは無いんじゃないかい?ほら、早く足開きなよ」
ガッと膝を掴まれた隊士は情けない悲鳴をあげると逃げていった。もう一人も転がるように走っていく。雅人はため息をつくと再び壁に寄りかかった。
「つまんないの」
そう呟くとストンと表情が抜け落ちる。突然人形のようになった雅人に煉獄が目を見開いた。視線に気づいた雅人と目が合う。
「「………」」
パチクリと見つめ合った後、煉獄が我に返って叫んだ。
「すまない!盗み聞きになってしまった!!」
「ぶはっ!な、ってしまったって…ははっ」
雅人は吹き出すと肩を震わせた。邪気のない笑顔に煉獄もつられて笑う。
「彼らのあれは隊律違反ギリギリだ!報告を上げることを勧める!!」
「えー?そういう面倒臭いのは良いや。向こうが乗って来れば僕もヤってたし」
「君は男色家なのか!」
「はぁ!?」
初対面で正面切って聞くようなことではない。雅人が呆気に取られていると煉獄がキョトンとした。
「違うのか?」
「違うよ」
「そうか!それはすまない!!」
「…君、面白いね」
クツクツと笑うと雅人は煉獄に片手を差し出した。
「相生雅人だ。宜しくね」
「煉獄杏寿郎と言う!宜しく頼む!!」
それが煉獄と雅人の出会いだった。
「お前…よくそんな奴と友人になろうとか思ったな」
煉獄の話を聞いていた宇髄はドン引きした。そこに居たのが自分なら絶対に話しかけない。
「雅人は自分が気に入ったものには懐が深いからな!俺はお眼鏡に叶ったと言うやつなのだろう!」
「煉獄の話と噂をくっ付けると派手に快楽主義で戦闘狂じゃねえか。鬼殺隊士として不安を覚える奴だな」
その言葉に煉獄は強い視線を宇髄へと向けた。宇髄が僅かに目を見張る。
「雅人の鬼殺に対する責任感は本物だ!それは俺が保証する!!」
「いや、益々わっかんねぇわ。お前は相生をどう見てるんだ?」
「雅人は初めて会った時には既に力は完成されていたが、見た目と中身はまるきり子供だった!今は見た目も完成されたので中身だけが子供だな!」
「いや…だからダチなんだよな?」
容赦なさすぎて不安しか抱けない。ため息をついた宇髄だったが、ふと外へと視線を向けると屋根の上へと駆け上がった。煉獄がその後に続く。
「どうした!宇髄!!」
「ガキが派手に迷子になってるみてぇだな」
人混みの中から泣き声が聞こえる。視線を走らせる宇髄の肩を煉獄が叩いた。
「そう言えば雅人には一つ素晴らしいところがあるぞ!」
「あぁ?」
煉獄は人混みの中で頭一つ飛び出た黒髪を指し示した。滅の字を背負った背中がゆっくりと歩いて行き人混みの中に消える。宇髄と煉獄が待っていると子供を肩車した雅人がひょっこりと立ち上がった。
「おとーさーんっ、おかーさーんっ!」
子供が大きな声で親を呼ぶ声と同時に駆け寄る親と思しき男女。雅人は子供を見上げ何事か話しかけると、ひょいと子供を肩から降ろし父親に引き渡した。頭を下げる親には見向きもせず子供に手を振るとその場を立ち去る。
「彼は子供には無条件に優しい!」
「そういや、一回目の降格処分の理由は子供を殴った隊士を半殺しにした事だったか」
「うむ!しかし困ったことに降格処分してもらえることをそれで学習してしまってな!昇格すると降格になろうとする!」
「うーわ」
関わり合いになるのはやめようと思う宇髄だった。