第二部
夢小説設定
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(これで最後)
目に見える範囲の最後の異形を斬り捨てると雅人は周囲を見渡した。まだ里の者は走り回っているが此処はもう大丈夫だろう。
(大きな鬼の気配は二つ。近い方からだね)
そちらからは甘露寺の気配に加え炭治郎の気配もする。雅人は気配を殺すと走った。巨大な木の竜に乗った鬼の首に甘露寺の刃が巻き付いている。
(獲ったか?)
「かっ、甘露寺さん!そいつは本体じゃない!!首を切っても死なない!!」
「!!」
炭治郎の叫び声に雅人は地面を蹴った。憎珀天が口を開く。甘露寺が目を見開いた。
ーー狂圧鳴波ーー
ーー夜の呼吸 肆ノ型 東雲ーー
憎珀天の頭上から雅人の小太刀がその頭を縦に割る。それでも放たれた衝撃波が甘露寺を襲った。身を硬くした甘露寺がその場に膝をつく。すぐさま頭をくっつけた憎珀天が甘露寺に向かい拳を振るうが、雅人がすぐさま迎え撃った。炭治郎達が甘露寺に飛び付き身を挺して守る。
「大勢で一人に刀を向けるとは、とんだ卑怯者だな」
「おや、この鬼は面白いことを言うね。人の身を捨て鬼になった事で得た力の意味を分かってないのかな?」
反則技で手に入れた力を振りかざしておいて言うようなことではない。鼻で笑う雅人に憎珀天の額に青筋が浮かんだ。
「小僧が…!」
「炭治郎!」
「はい!甘露寺さんを守るんだ!!一番可能性のあるこの人が希望の光だ!!」
ドン!と背負った太鼓を憎珀天が叩く。ピシャァ!!と落ちた雷に雅人は大きく下がった。
(くそ…腕が痺れる!蜜璃ちゃん達は!?)
「みんなありがとお〜!柱なのにヘマしちゃってごめんねぇぇ!!」
聞こえてきた元気な声に雅人はふっと笑みを浮かべた。憎珀天の攻撃を甘露寺は全て切り伏せていた。
「私悪い奴には絶対負けない!覚悟しなさいよ!本気出すから!!」
甘露寺はチラリと雅人の方を見ると一つ頷いた。その仕草が煉獄によく似ていて雅人が微笑む。
「雅人君!行くよ!!」
「了解」
甘露寺の攻撃の邪魔にならぬよう憎珀天に別の角度から斬り込む。雷も木の竜も薙ぎ払う甘露寺に雅人は目を見張った。
(速い)
マズイと雅人は思った。このままだと甘露寺の動きについて行けず自分が足を引っ張ってしまう。
(何が違う?いつもの蜜璃ちゃんの動きより格段に速い)
木の竜を斬りながら雅人の視線は甘露寺の首元に吸い寄せられた。花のような不思議な紋様が甘露寺の首にある。
(刺青?いや、蜜璃ちゃんがそんなものする訳ない。でもなら何だ)
「っ!」
雷への対応が一瞬遅れて奥歯の揺れるような激しい衝撃が走る。雅人は歯を食いしばると動き続けた。雷を、衝撃波を掻い潜りながら木の竜を斬り続ける。
空が白んできて流石の雅人も膝が笑ってきた。体のあちこちが痛んで腕が痺れる。
「ぎゃあああー!!もう無理!!ごめんなさい!殺されちゃうー!!」
「縁起悪っ」
笑えない台詞を叫ぶ甘露寺に雅人が思わず突っ込んだ瞬間、憎珀天も木の竜も唐突に塵と化した。崩れる木の竜に巻き込まれそうになる甘露寺を雅人が掬い上げる。
「ありがとう雅人君!炭治郎君達が本体の鬼の首を斬ったんだわ!!」
「…ちょっと待って蜜璃ちゃん。なんか熱くない?」
激しく動いたからと言う熱さではない。眉を寄せて額に手を当ててくる雅人に甘露寺が微笑んだ。
「雅人君変わったね」
「…そう?」
小首を傾げる雅人に甘露寺がますますニッコリ笑う。
「うん!なんだか柔らかくなったわ!前も素敵だったけれど今の方がもっと素敵よ!!」
「…どーも」
流石の雅人もここまで真っ直ぐ褒められると照れる。ちょっぴり赤くなった雅人はふと甘露寺の首元に視線をやった。
(消えてる…?)
「ねぇ、蜜璃ちゃん。さっきの刺青みたいなのどうしたの?」
「えっ?刺青って何のこと?」
キョトンとする甘露寺にそれもそうかと雅人は頭をかいた。
「あの位置じゃ見えないか。さっきこの辺に…」
雅人はトンと自分の首を指して見せた。
「花のような紋様が浮き出てたんだ」
「そうなの?やだ!何かしら?すごく気になるわ!」
「藤花彫りって訳じゃ無いよね」
言葉と込められた力に反応する。そんな単純なものではないだろう。
「何だろう?私なにか変わったことしたかしら!?さっきは心拍数を上げて血の流れを速くする事に気を向けていただけなんだけど」
「うーん」
それだけの事なら雅人も戦闘中はやっている。結局これといったことは分からず甘露寺は炭治郎達の元へ走っていってしまった。残された雅人が腕を組み顎に手を当てる。
「雅人」
名を呼ばれて雅人は思考を中断させた。鉄乃条が刀を抱えたまま仁王立ちしている。雅人の視線がこちらを向いたことを確認した鉄乃条はその場で地面に手をつくと深々と頭を下げた。
「!?」
「今までの私の失礼な行いの数々!どうかお許しください!!」
「………」
衝撃の光景に雅人が固まる。鉄乃条は地面に頭を擦り付けて続けた。
「私は今まで思い上がっておりました!!どうか!どうかやり直す機会を!!」
「ちょっと色々待とうか」
180度どころか540度ぐらい変わった鉄乃条に雅人は待ったをかけた。頭痛を感じ額を押さえる。鉄乃条は土下座をしたまま動こうとしなかった。
「君がやり直したいって言うなら好きにしたらいいんじゃない?僕の被害なんて里にいる間限定だし、頑張ってね」
「それにつきまして何卒お願いが!!」
鉄乃条が口にしたお願いに雅人は目を丸くしたのだった。
目に見える範囲の最後の異形を斬り捨てると雅人は周囲を見渡した。まだ里の者は走り回っているが此処はもう大丈夫だろう。
(大きな鬼の気配は二つ。近い方からだね)
そちらからは甘露寺の気配に加え炭治郎の気配もする。雅人は気配を殺すと走った。巨大な木の竜に乗った鬼の首に甘露寺の刃が巻き付いている。
(獲ったか?)
「かっ、甘露寺さん!そいつは本体じゃない!!首を切っても死なない!!」
「!!」
炭治郎の叫び声に雅人は地面を蹴った。憎珀天が口を開く。甘露寺が目を見開いた。
ーー狂圧鳴波ーー
ーー夜の呼吸 肆ノ型 東雲ーー
憎珀天の頭上から雅人の小太刀がその頭を縦に割る。それでも放たれた衝撃波が甘露寺を襲った。身を硬くした甘露寺がその場に膝をつく。すぐさま頭をくっつけた憎珀天が甘露寺に向かい拳を振るうが、雅人がすぐさま迎え撃った。炭治郎達が甘露寺に飛び付き身を挺して守る。
「大勢で一人に刀を向けるとは、とんだ卑怯者だな」
「おや、この鬼は面白いことを言うね。人の身を捨て鬼になった事で得た力の意味を分かってないのかな?」
反則技で手に入れた力を振りかざしておいて言うようなことではない。鼻で笑う雅人に憎珀天の額に青筋が浮かんだ。
「小僧が…!」
「炭治郎!」
「はい!甘露寺さんを守るんだ!!一番可能性のあるこの人が希望の光だ!!」
ドン!と背負った太鼓を憎珀天が叩く。ピシャァ!!と落ちた雷に雅人は大きく下がった。
(くそ…腕が痺れる!蜜璃ちゃん達は!?)
「みんなありがとお〜!柱なのにヘマしちゃってごめんねぇぇ!!」
聞こえてきた元気な声に雅人はふっと笑みを浮かべた。憎珀天の攻撃を甘露寺は全て切り伏せていた。
「私悪い奴には絶対負けない!覚悟しなさいよ!本気出すから!!」
甘露寺はチラリと雅人の方を見ると一つ頷いた。その仕草が煉獄によく似ていて雅人が微笑む。
「雅人君!行くよ!!」
「了解」
甘露寺の攻撃の邪魔にならぬよう憎珀天に別の角度から斬り込む。雷も木の竜も薙ぎ払う甘露寺に雅人は目を見張った。
(速い)
マズイと雅人は思った。このままだと甘露寺の動きについて行けず自分が足を引っ張ってしまう。
(何が違う?いつもの蜜璃ちゃんの動きより格段に速い)
木の竜を斬りながら雅人の視線は甘露寺の首元に吸い寄せられた。花のような不思議な紋様が甘露寺の首にある。
(刺青?いや、蜜璃ちゃんがそんなものする訳ない。でもなら何だ)
「っ!」
雷への対応が一瞬遅れて奥歯の揺れるような激しい衝撃が走る。雅人は歯を食いしばると動き続けた。雷を、衝撃波を掻い潜りながら木の竜を斬り続ける。
空が白んできて流石の雅人も膝が笑ってきた。体のあちこちが痛んで腕が痺れる。
「ぎゃあああー!!もう無理!!ごめんなさい!殺されちゃうー!!」
「縁起悪っ」
笑えない台詞を叫ぶ甘露寺に雅人が思わず突っ込んだ瞬間、憎珀天も木の竜も唐突に塵と化した。崩れる木の竜に巻き込まれそうになる甘露寺を雅人が掬い上げる。
「ありがとう雅人君!炭治郎君達が本体の鬼の首を斬ったんだわ!!」
「…ちょっと待って蜜璃ちゃん。なんか熱くない?」
激しく動いたからと言う熱さではない。眉を寄せて額に手を当ててくる雅人に甘露寺が微笑んだ。
「雅人君変わったね」
「…そう?」
小首を傾げる雅人に甘露寺がますますニッコリ笑う。
「うん!なんだか柔らかくなったわ!前も素敵だったけれど今の方がもっと素敵よ!!」
「…どーも」
流石の雅人もここまで真っ直ぐ褒められると照れる。ちょっぴり赤くなった雅人はふと甘露寺の首元に視線をやった。
(消えてる…?)
「ねぇ、蜜璃ちゃん。さっきの刺青みたいなのどうしたの?」
「えっ?刺青って何のこと?」
キョトンとする甘露寺にそれもそうかと雅人は頭をかいた。
「あの位置じゃ見えないか。さっきこの辺に…」
雅人はトンと自分の首を指して見せた。
「花のような紋様が浮き出てたんだ」
「そうなの?やだ!何かしら?すごく気になるわ!」
「藤花彫りって訳じゃ無いよね」
言葉と込められた力に反応する。そんな単純なものではないだろう。
「何だろう?私なにか変わったことしたかしら!?さっきは心拍数を上げて血の流れを速くする事に気を向けていただけなんだけど」
「うーん」
それだけの事なら雅人も戦闘中はやっている。結局これといったことは分からず甘露寺は炭治郎達の元へ走っていってしまった。残された雅人が腕を組み顎に手を当てる。
「雅人」
名を呼ばれて雅人は思考を中断させた。鉄乃条が刀を抱えたまま仁王立ちしている。雅人の視線がこちらを向いたことを確認した鉄乃条はその場で地面に手をつくと深々と頭を下げた。
「!?」
「今までの私の失礼な行いの数々!どうかお許しください!!」
「………」
衝撃の光景に雅人が固まる。鉄乃条は地面に頭を擦り付けて続けた。
「私は今まで思い上がっておりました!!どうか!どうかやり直す機会を!!」
「ちょっと色々待とうか」
180度どころか540度ぐらい変わった鉄乃条に雅人は待ったをかけた。頭痛を感じ額を押さえる。鉄乃条は土下座をしたまま動こうとしなかった。
「君がやり直したいって言うなら好きにしたらいいんじゃない?僕の被害なんて里にいる間限定だし、頑張ってね」
「それにつきまして何卒お願いが!!」
鉄乃条が口にしたお願いに雅人は目を丸くしたのだった。