第二部
夢小説設定
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「いよぅ!煉獄!派手に元気そうだな!!」
「よく来たな!宇髄!!」
遊廓での任務の後、隊服を脱いだ宇髄は時折煉獄の元を訪ねるようになっていた。今日も土産片手に庭に入ってくる。煉獄と並んで縁側に腰掛けると千寿郎の持ってきた茶に手をつける。
「継子の様子はどんなもんだ?」
以前の煉獄の話からは継子になったからと言って大人しくなるとは思えない。宇髄は心配して尋ねたが返ってきたのは予想外の返事だった。
「そうだな!家に居着いた自由な猫と言った所か!!」
「何だよそれ」
悪い表現ではないのだろうが掴みどころもない。宇髄が呆れた顔をして見せれば煉獄が笑い声を上げた。
「食事をしに帰ってはくるが、寝る段になると居なくなったりもする!この前は廊下で丸くなって眠っていて千寿郎が飛び上がって驚いていたな!」
「本当に猫かよ」
例えるならばとびきり気まぐれな黒猫か。そこまで考えて宇髄は馬鹿らしくなって止めた。
「派手な変わりようだがどういう風の吹き回しなんだろうな」
「無限列車での任務の際に他の乗客と共に血気術に巻き込まれたそうだ!」
そこで恐らくは抜け出したくないほど幸せな夢を見ただろう。煉獄にもよく分かる。
「夢の内容までは聞いていないが、抜け出せなかったと聞いている!」
「…炭治郎は夢と自覚するにも時間がかかったって話だ。相生はどうして気付いたんだ?」
「夢に出てきた者が既に死んでいる事は骨身に染みて分かっていた事だから直ぐに気が付いたそうだ!」
「骨身にねぇ」
それでも笑って自分に喋りかけてくれればそれが夢とは信じたくないだろう。雅人という男は相当な現実主義なのだろう。
「惜しいなぁ。現役の間に一回は会ってみたかったぜ!」
「今会ったって同じじゃないの?」
声と共に雅人が屋根の上から降りてきた。手に刀の手入れ道具を持っている。煉獄が呆れた顔をした。
「屋根の上でする事じゃないだろう」
「僕、猫だから。屋根の上は日当たり良くて気持ちいいんだよね」
横目に煉獄と宇髄を見ながら日輪刀を腰に挿す。鞘同士のぶつかり合う音に宇髄が眉を寄せた。
「おいそれ、緩んでねぇか?」
「え?」
「鯉口か?」
煉獄の差し出す手に日輪刀を渡すと雅人はその隣に腰掛けた。煉獄が刀の抜き差しを数度繰り返す。
「うむ!緩んでいるな!!」
「むしろ何で気付かねぇんだよ」
宇髄のジト目に雅人はうんざりした表情を浮かべると頭を抱えた。
「刀鍛冶の里…イキタクナイ」
「片言になるほどか!?」
「刀鍛冶の連中はそりゃ派手に変わったやつも多いけど、根は良い奴ばっかだぜ?」
煉獄と宇髄の突っ込みに雅人は深ーくため息をつくと手を組みその上に額を押し当てた。
「僕の担当の刀鍛冶の名前、雪上鉄乃条 」
「「………」」
雅人の挙げた名前に煉獄と宇髄が無言になる。刀鍛冶で鍛えた筋肉を美しい振袖の中に押し込めたその男は鬼殺隊士の中では優秀な変態として有名だった。刀の手入れに里へと出向き、鉄乃条の愛情表現という名の餌食になって帰ってきた隊士も少なくない。
「ずっとか!」
「ずっと。変えてくれって頼んだら本人に押しかけられたことある」
「マジか」
それだけ鉄乃条が雅人に執着しているということで、流石に同情を禁じ得ない。
「鉄珍殿に文を書こうか?」
「…いや、杏寿郎にあれは捌き切れないでしょ」
「………」
自分が助かるために煉獄を犠牲にする気はない。雅人がそう告げれば宇髄が僅かに目を見開いた。
「………………チョットイッテクル」
死んだような顔で立ち上がった雅人はヨロヨロと歩き去った。それを見送って宇髄が口を開く。
「…なんか色々相生の印象変わったわ」
「元より人の感情の機微には鋭かったからな!気遣いの出来る男になったと言う事だ!」
「んじゃ、相生が無事に帰って来られることを祈ろうぜ」
「…そうだな」
後で母の仏壇に手を合わせておこうと思う煉獄だった。
「よく来たな!宇髄!!」
遊廓での任務の後、隊服を脱いだ宇髄は時折煉獄の元を訪ねるようになっていた。今日も土産片手に庭に入ってくる。煉獄と並んで縁側に腰掛けると千寿郎の持ってきた茶に手をつける。
「継子の様子はどんなもんだ?」
以前の煉獄の話からは継子になったからと言って大人しくなるとは思えない。宇髄は心配して尋ねたが返ってきたのは予想外の返事だった。
「そうだな!家に居着いた自由な猫と言った所か!!」
「何だよそれ」
悪い表現ではないのだろうが掴みどころもない。宇髄が呆れた顔をして見せれば煉獄が笑い声を上げた。
「食事をしに帰ってはくるが、寝る段になると居なくなったりもする!この前は廊下で丸くなって眠っていて千寿郎が飛び上がって驚いていたな!」
「本当に猫かよ」
例えるならばとびきり気まぐれな黒猫か。そこまで考えて宇髄は馬鹿らしくなって止めた。
「派手な変わりようだがどういう風の吹き回しなんだろうな」
「無限列車での任務の際に他の乗客と共に血気術に巻き込まれたそうだ!」
そこで恐らくは抜け出したくないほど幸せな夢を見ただろう。煉獄にもよく分かる。
「夢の内容までは聞いていないが、抜け出せなかったと聞いている!」
「…炭治郎は夢と自覚するにも時間がかかったって話だ。相生はどうして気付いたんだ?」
「夢に出てきた者が既に死んでいる事は骨身に染みて分かっていた事だから直ぐに気が付いたそうだ!」
「骨身にねぇ」
それでも笑って自分に喋りかけてくれればそれが夢とは信じたくないだろう。雅人という男は相当な現実主義なのだろう。
「惜しいなぁ。現役の間に一回は会ってみたかったぜ!」
「今会ったって同じじゃないの?」
声と共に雅人が屋根の上から降りてきた。手に刀の手入れ道具を持っている。煉獄が呆れた顔をした。
「屋根の上でする事じゃないだろう」
「僕、猫だから。屋根の上は日当たり良くて気持ちいいんだよね」
横目に煉獄と宇髄を見ながら日輪刀を腰に挿す。鞘同士のぶつかり合う音に宇髄が眉を寄せた。
「おいそれ、緩んでねぇか?」
「え?」
「鯉口か?」
煉獄の差し出す手に日輪刀を渡すと雅人はその隣に腰掛けた。煉獄が刀の抜き差しを数度繰り返す。
「うむ!緩んでいるな!!」
「むしろ何で気付かねぇんだよ」
宇髄のジト目に雅人はうんざりした表情を浮かべると頭を抱えた。
「刀鍛冶の里…イキタクナイ」
「片言になるほどか!?」
「刀鍛冶の連中はそりゃ派手に変わったやつも多いけど、根は良い奴ばっかだぜ?」
煉獄と宇髄の突っ込みに雅人は深ーくため息をつくと手を組みその上に額を押し当てた。
「僕の担当の刀鍛冶の名前、
「「………」」
雅人の挙げた名前に煉獄と宇髄が無言になる。刀鍛冶で鍛えた筋肉を美しい振袖の中に押し込めたその男は鬼殺隊士の中では優秀な変態として有名だった。刀の手入れに里へと出向き、鉄乃条の愛情表現という名の餌食になって帰ってきた隊士も少なくない。
「ずっとか!」
「ずっと。変えてくれって頼んだら本人に押しかけられたことある」
「マジか」
それだけ鉄乃条が雅人に執着しているということで、流石に同情を禁じ得ない。
「鉄珍殿に文を書こうか?」
「…いや、杏寿郎にあれは捌き切れないでしょ」
「………」
自分が助かるために煉獄を犠牲にする気はない。雅人がそう告げれば宇髄が僅かに目を見開いた。
「………………チョットイッテクル」
死んだような顔で立ち上がった雅人はヨロヨロと歩き去った。それを見送って宇髄が口を開く。
「…なんか色々相生の印象変わったわ」
「元より人の感情の機微には鋭かったからな!気遣いの出来る男になったと言う事だ!」
「んじゃ、相生が無事に帰って来られることを祈ろうぜ」
「…そうだな」
後で母の仏壇に手を合わせておこうと思う煉獄だった。