~一章~

殿下は言った通り、下着に触れた指で上下に擦り、それを何度も繰り返す。
途中、快感を得られる場所があり、身体がもじもじと落ち着かない。

「んっ…ん、あ…ぅ、んっ…」

男性との経験はないが、少しなら自分で触れてみた事はある。
数ヶ所に、心地良い感覚になれる場所があるのは知っている。
いつかは、誰かに触れられる時がくるのかと考えて顔を赤くしていたものだが、まさか…その相手が。

…王子様だなんて。
それもちょっと不本意な感じで。
抱かれる理由もよく分からず、なんだか自分の仕事が最悪な展開になるみたいだし。

「何かまた余計なことを考えてるな?余裕があるじゃないか」
「よ、ゆうなん、て、ない…」
「何も考えられなくしてあげる」

ショーツの外側にあった指が、ゆっくりと中に入ってくる。

「あ、ダメっ、そんな所…殿下がよごれま…あ、やっ…」
「違うよ。俺が、君を汚すんだ」

ショーツの上からしていた様に、今度は直に擦られる。
ぴちゃぴちゃ、という音が聞こえてきて、堪らなく恥ずかしい。
一人で触れる時、快楽を得ていた突起を、殿下の指がグリッと刺激してきた。

「…ひゃあ、ああ…あっ!」

そのままグリグリと円を描くように触られ、腰を浮かす。
人に触られるのが、こんなに刺激的だとは思わなかった。

「気持ちがイイね…ニーナ」

突然名前で呼ばれ驚いたが、返事をする余裕はない。
そういえば、自己紹介すらしなかった。
殿下は名前を知っていてくれたのか。

気が付かないうちに、中に指がさしこまれていた。
痛くないように気遣ってか、ゆっくり抜き差しされる。
もう少しで達しようとしていた所だったので、新たな刺激が加わりすぐに身体に力が入った。

「ああ、すんなり受け入れてくれたか。吸い付いてくる感じがイイ…熱いな、もうぐちょぐちょだ」
「ひゃ…あっああ、で…んかっ…あっ、」

身体をビクビクっと震わせたニーナを見て、『達したか?』と呟く。

「では…今度は俺も一緒だ」

脱力して放心状態なニーナを、殿下はまた軽々と抱え、ベッドに放り込んだ。

今まで触ったこともない、大きくてふわふわなベッド。
放られても全く衝撃がなくふんわり包み込まれる感じ…だと思う。
何せ一度達したばかりで、まだ余韻が残り夢見心地なのだ。

「まだ解放なんてしない、これからだ」
「ふぇ…っ」

スカートを捲り、素早くショーツを引っ張り下ろし脱がされた。ポイと捨てられ何処かに飛んでいく。
同時にまた両足を開かれ、股間が殿下の目の前に晒される。

「やっ、ちょっと待っ…」

ニーナの声は聞こえていないかのように、殿下はさっさと自分の股間のモノをあてがった。
いきなりググッと侵入しようとされ緊張する。

「で、殿下っ…」
「待てない。力を抜いて」

抜けと言われて出来るものじゃなし。
殿下の先がぬちゅ、と入ったのが分かる。身体に更に力が入る。

「ニーナ…大丈夫だ、身を委ねろ」

ひょっとしたら涙が出ているかも。
自分の目の周りが熱い。

緊張したままのニーナに、殿下は困ったように微笑むと、股間はそのままで、乳房に手を伸ばす。
掴んで暫くは大きく揉み、両方とも絞るようにして乳首を引っ張る。
ぱくり、とその片方を咥え、舌を這わせたり吸い上げたり。

緊張で忘れかけていた快楽を、思いだしたように身体が反応する。

「あっ、あぅふっ、で、んかっ…」

引き続き、また股間の突起を弄られると、じわじわ濡れていくのを感じる。
殿下が腰を動かす度、ぐちゅ、と少しずつ奥に向かって進んでいく。
ない訳ではないが、思ったより痛みは感じなかった。

「ニーナ…やっと、君と繋がれた」
「ぅ…あ、殿下は、なぜ…っ」

なぜ何度も「やっと」と言われるのだろう。あの、大失態の渡り廊下で初めてお会いしたのに。
慰み者に対してもこうしてお優しい。

「ニーナ、俺の事はライアスと呼んで」
「えっ…ん、あ…ムリ、ですっ…」
「俺が良いと言うんだ」
「でも…っ」

首を振るニーナを見て、殿下が急に腰を振り始める。
ずちゅっ、ぱちゅっと音を立てながら壁を擦られ、思わず大きな声で喘いだ。

「…ライアスだ」
「あっ、はぁっ…はい…っ」

堪らずハイと返事をしてしまう。

「じゃあ俺を呼んで」
「…えっと、ら…ライ、アス…さま」
「……よし」

気を良くしたらしいライアスは再び動き出し、ニーナの奥を何度も突いてくる。
激しくなってくると、こんなに音が響くものなのか。
今まで経験したことのない快楽。
これからの不安も、今だけは吹き飛んだ。

「可愛いニーナ…っ、これから、いっぱい…抱いてやる…っ」

ライアス様が仰る通り、声を我慢するなんて無理だ。
自分がこんな声で喘ぐなんて知らなかった。

駆け巡る快楽の波に身体を震わせたニーナが両手を伸ばすと、それに応えるように、ライアスはニーナを抱き締めた。
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