~一章~


~一章~



この国―アズガルド王国―には、三人の王子様がおられる。
陛下も王妃様もご健在で、まだまだ若いもんには負けんと、国を上げての行事の際はパワフルなお姿を見せられる。そんな陛下を、いつもお側で微笑みながら見守る王妃様のお姿も有名だ。

王太子のクルス殿下は逆に穏やかな方で人当たりも良く、頭脳明晰、ここぞという時は大胆な政策を決断し解決に導いていると、部下からの信頼も厚いそうだ。
そして第二王子、ラルドス殿下は近々結婚を控えておられる。
切れ長の目でジロリと睨まれると、みんな固まってしまうという噂。
兄弟仲は良く、政策の援助は惜しまず、右腕的存在とか。

国の将来は安泰だと皆が口を揃えて言うのでそうなのだろう。
ニーナは平民で、政治的な事は分からないが、薬師だった両親を含め、街の皆も比較的穏やかな生活を送っていた。
陛下をはじめ、王子達の働きがあってのことだろうか。

そして…今、目の前に立つ第三王子。
二人の兄は金髪だが、王妃様ゆずりの黒髪。瞳の色は三兄弟共通の、陛下と同じ深い青。
高い場所から、その青い瞳に見下ろされている。

「………っ」
「ああ、来たね。ちょっと待ってて、着替えるから」

驚きすぎて動けない。
敬礼していない事すら気がつかなかった。
何も気にしていない様な態度の殿下が部屋の奥へ行き、正装していた姿から楽な服装に着替えて此方に歩いて来られるまで固まっていたのだろう。
声を掛けられるまで意識が飛んでいた。

「そんなに緊張しなくていいよ」

魔法が解けたように意識が戻り、目の前に立つ殿下の顔も見る事なく跪き頭を下げる。

「も…っ申し訳ありませんっ、失礼致しました…!」
「いや、良いよ…」
「渡り廊下での無礼もお詫びいたします!不敬であったのにここで働かせて頂けるとの御慈悲…何とお礼を言ってよいのか…!」
「良いって、そんなに謝らなくても。ほら立って顔見せて」
「しかし、」

カサッと腰を下ろす音がしたかと思うと、両肩を優しく掴まれ、立ち上がるように促される。
思わず顔を上げると、殿下と目が合った。

「メイド服ぴったりだね。やっぱり似合う」
「ふぇ…」
「誰にでも似合う訳じゃないよね~、それ、君専用だから」
「え、せ、せん…?」

この、セクシーメイド服が私専用?
サイズぴったりなのも、たまたまじゃないってこと?

「わ、私の為に準備されたと…?」
「そう。毎日見る姿なんだから、俺の好みの方がいいじゃないか」
「毎日…というと、」
「あれ?ダリルから聞いてない?」
「はい…?」
「君は俺が雇った。毎日のお世話をするんだ」

ニーナはやはりそうだったのか、と思わず目を見開いた。

殿下の身の回りを世話する侍女ってことかな…なんと恐れ多い。
でも、そんな人今までは居なかったのだろうか。

「はは、大きな目が可愛いね。こっちに居る時は全部自分でするから他に誰も居ないよ。他の階と…洗濯とかはメイド達に頼むけど」
「そ、そうなのですか…では何故私を?」
「君、あのままじゃクビになりそうだったじゃないか」
「うっ…私、失敗ばかりで…お世話なんて務まるかどうか、最悪、殿下に危険が及ぶやも…」

思わず本音が出た。
それを聞いた殿下がふふっと笑う。

「大丈夫、部屋の掃除くらいは頼むと思うけど。君の仕事はそれじゃない。
雇うことになった経緯は追々話すとして…そろそろ、いいかな」
「え、いいかなって…?」
「君の仕事だよ。ごめん、俺もずっと我慢してたから待てない」

私の後ろに移動した殿下の両腕が、ガシッとお腹の前で組まれ、軽々と持ち上げられる。
そのままソファーまで連れて行かれ、気付いたら殿下の膝の上に座っていた。
背の方から殿下が囁く声がする。

「これからよろしくね」
「……っ?」

殿下の声が右耳を擽り、背中がゾワッとした。
恐怖ではないが、これまで感じた事がない感覚。

「し、仕事って、あのこれ、」
「そろそろ黙って」

囁きに続き、ペロリと耳をなめられる。

「ひゃあ…っ」

思わず声が出て、口を塞いだ。

「いいよ、そういう声なら出して」

何が起こっているのか分からないが、そう言われて恥ずかしくなり、余計に塞いだ手を離せない。
耳を舌が這いまわり、ぴちゃぴちゃガサガサと音が響く。時折、ふぅ―っと息を吹き掛けられ、また背中がゾワゾワする。

「ぅう…」
「手、退かして」

口を塞いでいた両手を下に下げられた。声が出るのもだが、背を向けた状態といえど、顔の表情を見られるのが恥ずかしい。
殿下の指先が胸元に伸び、服に掛かった瞬間。
さっと下にずらされ、中から二つの乳房がぶるっと飛び出した。

「……っ!!」
「ああ、ずっと触れるのを待ち望んでいたんだ」

なんてこと、全てが丸見えだ。
赤い乳首も、乳房に合わせて小さく震えている。

「まだ耳だけだが…感じてくれたのか、もう勃ってる」
「そ、そんなこと、言わないでくださ…」
「可愛い」

殿下の手が、乳房をわしずかみにし揉みしだく。
同時に、耳元でわざとらしく大きく息をされるので、背中がゾワゾワするのを必死に我慢した。

我慢、しているのに。

指が、固くなった乳首を弾いたのだ。ピクリと身体が反応したのが分かったのか、殿下は何度も繰り返す。

「ぁんっ…んん…っ、う、」
「どうせ我慢出来なくなる…声出して」
「や…ですっ…ひゃ…ぅ」

弾くだけではなく、コリコリと指先で摘ままれたり先を回されたり。
長く弄られていると、下腹部がピリピリするような感覚があった。
そして、股間がムズムズする。

「ん?感じやすい身体だ、これまでにも誰かに抱かれてた?」
「そっ、そんな、ありませんっ…」

くくっ、と意地悪そうな笑い声が耳に響く。

「じゃあ…俺が初めてを貰えるって事か。光栄だな」

胸が解放されたと安堵したのは一瞬で。
ひょい、と両足を開かれたのである。殿下の膝の上に、はしたなく両足を開いて座るなんて。
これまたあり得ない事であせった。

「きゃあぁ…何、を…っ」
「何って…知らないのか?」
「し…って、る、というか、」
「君はいくつだ?」
「じゅ、18歳です…」
「君は若く見えるな…じゃあ分かるだろう。男女の事」
「で、でもでもっ」
「大丈夫、酷くしない。優しくするから任せて」

いやいや、そうじゃなくて。
酷くとか優しくとか、それ以前の問題で。
これが仕事ってどういうこと?
私が雇われたのって、殿下の…性処理…慰み者って事!?
この国は奴隷はご法度だが、これじゃそれと変わらないんじゃ…。

頭の中を色んな事が駆け巡る。
逃げようと思ったが、開いた太ももを抱えるように握られているのだ、動けない。
それに、殿下のなさることだ…逃げたらマズイ事になりそうな。

「逃げられないけどね。逃げても捕まえるよ、こっちだってやっと君を手に入れたんだから」
「うぅ…」
「苦情、相談は後で受け付けるから、今は言う事聞いて」

ホラ、と言いながら、太ももからお尻をスリスリと撫で回され、恥ずかしさとくすぐったさで身を捩る。
指先が、ショーツの中にほんの少し入り込み、ビクリと反応した。
声が出そうになるのを我慢する。

「ごめん、まずは下着の上からだね」
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