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おっさん、女を知る。

ヴァディンの屋敷を後にしたノーレンと、受付嬢ことユーリア。
ギルドへ帰るなりギルド長室に入り、内緒話が始まった。

「ギルド長。ダナスさんはあれで良かったんですか?」

「んー?良かったんだよ。ダナスもよく分かってないだけであれで領主様の事好きなんだから。」

「えー?そうなんですかー?」

「そうだよ。僕が彼に出会った時はあんなに人を甘やかす人では無かったんだよ?それが今やベタベタに甘やかしてるじゃないか。」

「甘やかしてると好きなんですか?」

「うん。ダナスは好きな人程甘やかすから。」

仕方ないといった笑みを浮かべながら二人分のお茶を淹れ、ユーリアに勧める。
ユーリアは嬉しそうに受け取り、乾いた喉を潤した。

「そうなんですねー。そういえばギルド長ってダナスさんとどういうご関係ですか?随分仲良しですけど…」

「僕?僕は昔ダナスと旅をしていたんだよ。無理を言ってついて来たのさ。魔物や精霊の調査をしてたんだけど、ここのギルド長に拾われてね。今やギルド長かぁ…そうそう。ギルド長に紹介してくれたのがダナスなんだ。僕にとっての恩人だね。」

「へえー!じゃあ今回は恩返しをしたんですね?」

「うーん。そうなるかな?なってれば良いなぁー」

「きっと大丈夫ですよ!あの感じはダナスさんも満更でも無いと思います!」

「そうかなー?そうだと良いなぁ…よし!考えても仕方ないから、仕事しよう!ほら、君は少し休憩をとって自分の仕事を終わらせなさい。終わらなかったら僕が引き受けるから、無理はしないようにね?」

「はぁーい!では失礼します。」

ユーリアが出て行く扉にヒラヒラと手を振り、執務机に山積みになった書類を片付けていく。
一枚一枚確認しては、何かを忘れるように書類へ没頭し、気が付けばもう深夜になっていた。
気分転換に屋上へ出て、持ってきたコーヒーを片手に小さな溜息をついた。

「僕がもう少し頼りがいがあったらな…」







End?
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