【リクトの日記】


14歳になった春のことだ。
協会の入り口で、冒険者が出入りするのを初めて見た。
背が高くて、革のジャケットを着て、剣を背負っていた。
――見た瞬間、「かっこいい!」と思った。

思わず「こんにちは」って声をかけたら、お兄さんはニカッと笑って「やあ!」って返してくれた。
なんだか、太陽みたいに眩しい人だった。
それから何度か顔を合わせるうちに、俺たちは仲良くなっていった。

「俺はカイだ。よろしくな」

カイさんは、治癒師の護衛任務でよく協会を訪れていた。
とても気さくな人で、俺と会う度に色んな話をしてくれた。
外の世界の話、魔物退治、ギルドでの生活、仲間との絆。
全部夢のような話ばかりで、聞いてるだけで胸が高鳴った。
俺は特に『ギルド』って場所に凄く興味が湧いた。
そこでは、色んな人が集まって協力して生きているらしい。

「お前も元気になったら、いつか来てみなよ」

そう言って、俺の頭を優しく撫でて笑ってくれた。

その日から、俺はずっと考えていた。
今の俺は痛みを感じない、“普通じゃない”身体だ。
こんな俺でも誰かの役に立てる――そんな居場所がどこかにあるんじゃないかって。
俺がそんな風に思えたのは、初めてのことだった。


夜。窓の外の星を見上げながら、俺は呟いた。
「いつか、ギルドに行ってみたいな」って。

部屋の隅で読書していたミカゲが、ふとこちらを見た。
……何も言わなかったけど、少しだけ優しい目をしていた。
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