【プチ小話】
昼下がりのシェアハウスの庭。
ナノハは道具袋の中身を広げ、何やら作業をしていた。
そこへ、ノアがふらりと現れる。
「何やってんだ?」
「新しい魔導具の開発よ」
そう言って、地面に転がっていた小さな石を拾い、ノアに見せる。
「これ、特殊加工した魔石なんだけど。あらかじめ微量の属性魔法を封じ込めておいて、使用時に魔力を流せば発動する仕組みなの」
説明を聞いたノアは「なるほどな」と頷き、これはトラップとして魔物狩りに使えるかもしれないと思った。
「師匠にも、魔力操作の練習になるって言われたし……試してみるわね」
そう言ってナノハは石に火の魔力を込め始めた。
やや力が入りすぎているようだが、なんとか魔力の封入に成功する。
「できた! 試作品第一号!」
「……試してみてもいいか?」
「いいわよ」
ノアは念のため離れた場所に簡易結界を張り、その中心に魔石を置く。
ナノハは隣で固唾をのんで見守る。
「始めるぞ」
ノアが右手の指をパチンと鳴らし、魔石に魔力を流し込んだ――その瞬間。
轟音とともに大地が揺れ、爆風で結界が砕け散る。
空高く火柱が上がり、煙の中から現れたのは、ぽっかりと空いた巨大な穴ひとつ。
焦げた匂いと熱風を肌で感じながら、ノアがぽつりと呟いた。
「……兵器か?」
「違うわよ!? おかしいな……ちょっと魔力を込めただけなのに……!」
その後、火柱に気づいた他のメンバーが駆けつけ、ナノハの“トラップ魔導具開発計画”は危険と判断され、一時中断を余儀なくされた。