9話 彼方の人は帰路に立ち
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トビが元の世界に帰ってから1ヶ月くらい経った。
肺炎は既に治り、今はもう時々通院する必要もなくなった。健康体そのものだ。
ただ、期末テストを受け損なったのが凄く悔しい。それも私が自己管理できていなかったせいなのですけども。
流石にここまで手酷く自業自得を味わったので今は無理に教室通学はしていない。
というのも、勉強中や学校での不調を正直に両親に話したところ、保健室通学を勧められた。
あまり調子が良くない時は保健室に、大丈夫そうだと思ったら教室に行けばいい、と。
想像していた失望や怒りを向けられることもなく、母さんにも「受験も近いし通わなくていいとは流石に言えないけど、無理して体壊したら意味がない」とあっさり受け入れられたから、拍子抜けしてしまった。
多分、私が栄養失調気味だったこともあって、無理をしていないか心配してくれたんだろう。
加えて、「急に頑張りすぎてて大丈夫かって、お父さん心配してたのよ」と2人きりの時に母さんに教えられたことで、いっそうビックリしてしまった。とっくに諦められて、心配とかされないと思っていたから。
……とことん一人相撲をしてしまっていたのかもしれない。
結果として、肺炎が治って以降は保健室通学と教室通学を調子に合わせてやりつつ、不調が酷すぎる時は早退したり休むことにした。
思っていたより両親にすんなり不調を受け入れられたからか。明らかに私の中で、休むことに対して恐怖感が減っている気がした。
で、今日は体調が良かったので教室に行っていた。そして今はピューピュー寒い風を吹かれながら下校中。
今日は最後まで授業を受けられて良かった。
まだ教室そのものにも勉強することにも怖さはあるけど、気持ち悪くなるほどではない。勉強の効率も格段に良くなってるし。
次の試験は落とさないで済みそうだ。
帰宅して、手洗いやら着替えやらを済ませて炬燵に入る。外はかなり寒かったから少し暖まりたい。
手持ち無沙汰を紛らわすべく、英熟語帳をぱらぱらと流しみる。
まだ私以外誰も帰っていない家はしんとしていた。
……うーん。
「意外と難しいな……」
ぽつりと溢れた呟きは、別に英熟語の多さに眩暈がしたからとかじゃない。
同時並行して耳を澄ませてみたけど、やっぱり耳を澄ませることに集中してしまって読むペースが落ちてしまったからだった。
やっぱりチャクラの知覚とか的確なコントロールとか、私には難しすぎる。
今の今まであることすら知らなかったエネルギーなんだし、仕方ないっちゃ仕方ないけど。
でも、せっかくあの人が(気まぐれだろうけど)教えてくれたんだから諦めたくはない。
やっと体力も戻ってきたし、また縄跳びとかジョギングとかして体を健康にしつつチャクラのコントロールを目指していきたいんだけど。
勉強にしろ、チャクラにしろ、一歩一歩ゆっくり進めていくしかないのかもしれない。
焦ったら、前みたいに無駄な頑張り方をしちゃうだけだし。
「……うん。頑張ろう」
ちゃんと自分もみんなも納得できるような頑張り方で頑張っていこう。
改めて決意を明確にして、英熟語帳を読みつつよくわからない用法には付箋を貼り、同時に耳を澄ませるなどしてみる。
でも、ちょっと雑念が混じって思考が止まらなくなってしまう。
……あんな、バカみたいに本音をぽろっと言ってしまった手前、こんなこと思うのも恥ずかしいけど。
やっぱりあの人には──トビには、世話になってばっかりだし、感謝してる。
あの人には申し訳ないけど、またこの世界に来てくれたら良いのにな、なんて思ってしまうくらいには正の感情が多くなっていた。
前だったら考えられないことだ。
あんな危険人物、早く消えてくれたら良いのにとしか思えなかったし、そもそも私、うちは一族のキャラを大して好きでもなかったから。
そう。私はうちは一族のキャラ全般がそんなに好きじゃない……どころか、苦手だった。
サスケのことは行動力があって尊敬できるし、少年期のツンケンしてても優しい彼はとっても素敵だと思ってたけど、復讐に憑かれてからは痛ましく感じてしまった。
イタチは凄くて優しい人だとは思うけど、なんでも1人で抱え込んでしまう強さと頑なさは、あんまり見ていて良い気持ちにはなれなかった。
マダラは……私は正直彼の過去とか詳細とかに詳しくないから何とも言えないけど、あのとんでもない強さは純粋に凄いと思った。けど、見ているものが遠すぎて怖かった。
そして、オビトは。
少年期なら、カカシに影響を与えた素敵な人としか思っていない。好きですらあった。
でも、トビを名乗って暗躍していた彼のことは──何故そうなったのかをマダラ同様知らないから何とも言えないけど──悲しいなとは思った。
カカシが拠り所とするくらい尊敬していた仲間の人が、なんでこんな人になってしまったのか、と。
とはいえ、うちはオビトというキャラに強い思い入れは無かったからそんなにショックはなかった。
ただ理解できなくて不思議には思ったけど、それ止まりだ。
多分私は、うちは一族のキャラに対して「理解できない・見ていて辛い」という気持ちを抱くことが多かったから、うちはオビトのことも深く知る前から好きにはなれないと諦めていた。
今まではそれでも良かった。
けど、今は──これからはそうはできない、気がした。
私はもう、トビに関しては漫画のキャラとしてではなく、ただの一個人として認識しつつある。
感謝の対象として、いや、それ以前に生きて接するただ1人として見てしまいつつある。
それが怖かった。漫画のキャラだと見做してないと辛くなるだけだ。
何せ彼は敵キャラで、漫画では主人公のナルトとは絶賛戦っている最中で、きっと負けるだろうとわかっていたから。
わかっていても、私は彼のことを今更漫画のキャラとして見做せない気もしていた。
だって前までの私は、オビトが何故トビになったのかを不思議に思ってもそこまで追求しようとはしなかった。
それは彼のことを恐怖していて知ることに嫌気がさしていたのもあるけど、それ以上に彼に然程関心を持てなかったからだ。
なのに、今ではNARUTOの続刊を今すぐ読みたくて、何ならネットでネタバレを調べてしまいそうで、兄さんが読んだという66巻のことを根掘り葉掘り聞いてしまいそうで。
それが凄く、嫌だった。
彼のことを知りたいのは本当だし、その気持ち自体が悪いとは思わない。
けど、彼のことを生きている人と見做しつつある私が、漫画を読んで彼のことを知ろうとするのは、彼のことを都合の良い時だけ漫画のキャラと見做している半端者でしかないように感じた。
だからもう、私はきっとNARUTOを読まないほうがいいし、読みたいとも思わない。
あの人のことを中途半端に知って、理解した気になるくらいなら、何もわからないほうが失礼じゃない気がする。
せめて漫画のキャラとして割り切れなくなったなら、生きている人として見做しきれるように接したい。
それが、彼が夢破れて負けるだろうことを想定していながら何もしない私の、最低限するべきマナーに感じるから。
──────────────────────
うだうだ言ってるけどとりあえずダブスタとるのは嫌!ということらしい。そんなこと言ってられるのか?というのはさておき。
NARUTO20周年の人気投票終わりましたね!
オビトが11位になって嬉しい感情とゴーグルつけてて気が狂いそうになったのと格好は第四次忍界大戦中の袖破けてる状態なのが可哀想でせめて袖生やしてもいいのでは?という複雑さで心が複雑骨折しそうでした。岸影ありがとう。
色々他キャラの感想など書きたいことはあるので今度日記にでもまとめたいですねー。
肺炎は既に治り、今はもう時々通院する必要もなくなった。健康体そのものだ。
ただ、期末テストを受け損なったのが凄く悔しい。それも私が自己管理できていなかったせいなのですけども。
流石にここまで手酷く自業自得を味わったので今は無理に教室通学はしていない。
というのも、勉強中や学校での不調を正直に両親に話したところ、保健室通学を勧められた。
あまり調子が良くない時は保健室に、大丈夫そうだと思ったら教室に行けばいい、と。
想像していた失望や怒りを向けられることもなく、母さんにも「受験も近いし通わなくていいとは流石に言えないけど、無理して体壊したら意味がない」とあっさり受け入れられたから、拍子抜けしてしまった。
多分、私が栄養失調気味だったこともあって、無理をしていないか心配してくれたんだろう。
加えて、「急に頑張りすぎてて大丈夫かって、お父さん心配してたのよ」と2人きりの時に母さんに教えられたことで、いっそうビックリしてしまった。とっくに諦められて、心配とかされないと思っていたから。
……とことん一人相撲をしてしまっていたのかもしれない。
結果として、肺炎が治って以降は保健室通学と教室通学を調子に合わせてやりつつ、不調が酷すぎる時は早退したり休むことにした。
思っていたより両親にすんなり不調を受け入れられたからか。明らかに私の中で、休むことに対して恐怖感が減っている気がした。
で、今日は体調が良かったので教室に行っていた。そして今はピューピュー寒い風を吹かれながら下校中。
今日は最後まで授業を受けられて良かった。
まだ教室そのものにも勉強することにも怖さはあるけど、気持ち悪くなるほどではない。勉強の効率も格段に良くなってるし。
次の試験は落とさないで済みそうだ。
帰宅して、手洗いやら着替えやらを済ませて炬燵に入る。外はかなり寒かったから少し暖まりたい。
手持ち無沙汰を紛らわすべく、英熟語帳をぱらぱらと流しみる。
まだ私以外誰も帰っていない家はしんとしていた。
……うーん。
「意外と難しいな……」
ぽつりと溢れた呟きは、別に英熟語の多さに眩暈がしたからとかじゃない。
同時並行して耳を澄ませてみたけど、やっぱり耳を澄ませることに集中してしまって読むペースが落ちてしまったからだった。
やっぱりチャクラの知覚とか的確なコントロールとか、私には難しすぎる。
今の今まであることすら知らなかったエネルギーなんだし、仕方ないっちゃ仕方ないけど。
でも、せっかくあの人が(気まぐれだろうけど)教えてくれたんだから諦めたくはない。
やっと体力も戻ってきたし、また縄跳びとかジョギングとかして体を健康にしつつチャクラのコントロールを目指していきたいんだけど。
勉強にしろ、チャクラにしろ、一歩一歩ゆっくり進めていくしかないのかもしれない。
焦ったら、前みたいに無駄な頑張り方をしちゃうだけだし。
「……うん。頑張ろう」
ちゃんと自分もみんなも納得できるような頑張り方で頑張っていこう。
改めて決意を明確にして、英熟語帳を読みつつよくわからない用法には付箋を貼り、同時に耳を澄ませるなどしてみる。
でも、ちょっと雑念が混じって思考が止まらなくなってしまう。
……あんな、バカみたいに本音をぽろっと言ってしまった手前、こんなこと思うのも恥ずかしいけど。
やっぱりあの人には──トビには、世話になってばっかりだし、感謝してる。
あの人には申し訳ないけど、またこの世界に来てくれたら良いのにな、なんて思ってしまうくらいには正の感情が多くなっていた。
前だったら考えられないことだ。
あんな危険人物、早く消えてくれたら良いのにとしか思えなかったし、そもそも私、うちは一族のキャラを大して好きでもなかったから。
そう。私はうちは一族のキャラ全般がそんなに好きじゃない……どころか、苦手だった。
サスケのことは行動力があって尊敬できるし、少年期のツンケンしてても優しい彼はとっても素敵だと思ってたけど、復讐に憑かれてからは痛ましく感じてしまった。
イタチは凄くて優しい人だとは思うけど、なんでも1人で抱え込んでしまう強さと頑なさは、あんまり見ていて良い気持ちにはなれなかった。
マダラは……私は正直彼の過去とか詳細とかに詳しくないから何とも言えないけど、あのとんでもない強さは純粋に凄いと思った。けど、見ているものが遠すぎて怖かった。
そして、オビトは。
少年期なら、カカシに影響を与えた素敵な人としか思っていない。好きですらあった。
でも、トビを名乗って暗躍していた彼のことは──何故そうなったのかをマダラ同様知らないから何とも言えないけど──悲しいなとは思った。
カカシが拠り所とするくらい尊敬していた仲間の人が、なんでこんな人になってしまったのか、と。
とはいえ、うちはオビトというキャラに強い思い入れは無かったからそんなにショックはなかった。
ただ理解できなくて不思議には思ったけど、それ止まりだ。
多分私は、うちは一族のキャラに対して「理解できない・見ていて辛い」という気持ちを抱くことが多かったから、うちはオビトのことも深く知る前から好きにはなれないと諦めていた。
今まではそれでも良かった。
けど、今は──これからはそうはできない、気がした。
私はもう、トビに関しては漫画のキャラとしてではなく、ただの一個人として認識しつつある。
感謝の対象として、いや、それ以前に生きて接するただ1人として見てしまいつつある。
それが怖かった。漫画のキャラだと見做してないと辛くなるだけだ。
何せ彼は敵キャラで、漫画では主人公のナルトとは絶賛戦っている最中で、きっと負けるだろうとわかっていたから。
わかっていても、私は彼のことを今更漫画のキャラとして見做せない気もしていた。
だって前までの私は、オビトが何故トビになったのかを不思議に思ってもそこまで追求しようとはしなかった。
それは彼のことを恐怖していて知ることに嫌気がさしていたのもあるけど、それ以上に彼に然程関心を持てなかったからだ。
なのに、今ではNARUTOの続刊を今すぐ読みたくて、何ならネットでネタバレを調べてしまいそうで、兄さんが読んだという66巻のことを根掘り葉掘り聞いてしまいそうで。
それが凄く、嫌だった。
彼のことを知りたいのは本当だし、その気持ち自体が悪いとは思わない。
けど、彼のことを生きている人と見做しつつある私が、漫画を読んで彼のことを知ろうとするのは、彼のことを都合の良い時だけ漫画のキャラと見做している半端者でしかないように感じた。
だからもう、私はきっとNARUTOを読まないほうがいいし、読みたいとも思わない。
あの人のことを中途半端に知って、理解した気になるくらいなら、何もわからないほうが失礼じゃない気がする。
せめて漫画のキャラとして割り切れなくなったなら、生きている人として見做しきれるように接したい。
それが、彼が夢破れて負けるだろうことを想定していながら何もしない私の、最低限するべきマナーに感じるから。
──────────────────────
うだうだ言ってるけどとりあえずダブスタとるのは嫌!ということらしい。そんなこと言ってられるのか?というのはさておき。
NARUTO20周年の人気投票終わりましたね!
オビトが11位になって嬉しい感情とゴーグルつけてて気が狂いそうになったのと格好は第四次忍界大戦中の袖破けてる状態なのが可哀想でせめて袖生やしてもいいのでは?という複雑さで心が複雑骨折しそうでした。岸影ありがとう。
色々他キャラの感想など書きたいことはあるので今度日記にでもまとめたいですねー。