7話 不思議な君と意外な話
あなたの名前は?
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「…………………………………………はい?」
ちょっと待って。話が本格的に分からなくなってきたぞ。
驚きのあまり間抜けな声を出してしまった。それも仕方のないことだろう。
だってこいつはあろうことか、私が漫画の世界の産物を持っている、なんて言っているんだから。
こいつが意図していなくても、チャクラを持っているというのはそういう意味になる。驚いても仕方がないだろう。
私の本当の驚愕の理由を知りもせず、トビはただ続きを語った。
「何故お前にチャクラがあるのかはオレにもわからない。何より、お前のチャクラは微々たる量だ。
お前がオレの歩法を感知した時もチャクラがあるか調べたが、全く引っかからなかった。
しかし、お前がチャクラを持っていると仮定する以外でその聴力は説明できないからな。
今日至近距離で時間をかけて調べて、初めてチャクラを確認できた」
「い、いつの間に……」
……いや、待て。
まさか、さっきやたらとじっと見ていたのは、写輪眼で私のチャクラとやらを確認していたからか。
それならば、じっと見られる意図不明な行動も、目を逸らす前に赤色が見えたのも、全部納得できる。
というか、写輪眼を使ってもそんなにじっと見ないといけないくらい、私のチャクラって少ないんだろうか。
……でもそれだと完全に推測の段階で呼びつけて調べたのか、こいつ。
仮にもしそれでもチャクラがなかったらどうしてたんだろう。また怪しんだのだろうか。怖い。
いや、話をずらすな私。
トビの話を要約すると、お前にはマジでカスみたいな量だけど一応チャクラがありまーすということ。
そして口ぶりからして、それが私の聴力に関与しているのだろうということ。
混乱は止まらないが、一度落ち着くためにもトビの言を信じて話を聞くべきだろう。
この男が無意味な妄言を吐くとは思えない。
「何故お前がチャクラを保持しているかは、この際保留としておく。現時点では調べようがない。
何より、お前にはチャクラを扱えないからな。例外はあるが」
「……え? 使えないんですか、私? それじゃあトビさんみたいな凄い術とかは真似できないってことですか?」
目を瞬かせて矢継ぎ早に聞き返せば、トビは嫌そうな雰囲気で私を一睨みした。
まるで「つまらないことに口を挟むな」とでも言いたげな様子だ。思わず怯んでしまい、すみませんと謝罪する。
彼は面倒くさそうなままだったが、一応説明してくれた。
「さっきも言った通り、お前にあるチャクラはかなり少ない。
その程度の量で忍術を使おうにも何も起きない。低レベルな術であれば可能だろうが──すぐに枯渇するだけだな」
「な、なるほど……残念ですね」
「……まさかとは思うが──貴様、忍術を使いたいのか」
何故か数段低くなった声に身震いする。滅茶苦茶怖いんだが!
「え、使いたいわけじゃ……あるのかな……」
「この平和な世界でか? 理解できんな」
「いや、使って何がしたいとかはないんですけど。
ただ、トビさんの術ってどれも凄かったし格好良かったから、真似できないのは少し残念だなって」
幻術とか神威(チャクラ量とか関係なく私には使えないけど)とか、見せてもらってないけど火遁とかも格好いい。
それを使って何がしたいとかは全然考えてなかった。使えること自体が憧れだったから。
……強いていえば、春野サクラみたいな怪力を習得できたら生活が楽になりそう、とか? 瓶とか簡単に開けられるだろうし。
そんな風に無意味すぎる皮算用をしていれば、トビはさっきまでの恐ろしい気配を弱めて沈黙した。
私の答えが相当バカに思えたのだろうか、呆れたように指摘する。
「……お前、その術で脅されておいて、よくそんな呑気なことをいえるな」
「うっ……で、ですね……あの、話の腰を折ってしまってすみませんでした」
「……まあいい。
だが、チャクラ──忍術に対して『憧れ』なんて腑抜けた感情を抱くのはやめておけ。お前に使えないとしてもな」
いつになく真剣な声だ。
だから私も弱った顔を引っ込めて、真面目な顔で「わかりました」と応える。
なんとなく、彼がただ脅したくて言っているわけではない気がしたからだ。
次の瞬間には、元の何もかもに無関心そうなトビに戻っていたが。
「話を戻すぞ。
お前に教えることというのは、その力の扱い方だ」
その言葉に、酷く困惑した顔になるのを自覚した。