泣き虫
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「じゅーがつじゅーいちにちっ、晴れっと……」
わたしは今、日記をつけてる。まだあんまり漢字は書けないけど、それでも辞典を引きながら書くのは楽しいの。
窓から差すあったかい光のお陰で、自然と笑っちゃった。
今日はきっと良いことがあるだろうな、なんて思えたから。お天気が良いと楽しくなっちゃうんだ。それは誰だって同じだよね。
今日は朝から嬉しいことがあったから、いつもより早く日記を書いているんです。
朝、自分のびょーしつ(病院でのわたしのお部屋のこと)から出てろうかを歩いてたら、知り合いのおばあちゃんがおろおろしてたの。
どーしたのって聞いたら落とし物しちゃったらしくって、探すのを手伝ったんだ。
そしたら私が見つけれて、お礼にってアメを貰ったの!
うれしくって、見つけられて良かったって思った。
おばあちゃんもよろこんでたし、良いことをしたら気分も良くなったから、きっと今日は良い日になりそうだと思いました!
「よしっ、書けたっと」
ぱたむと音を発てて日記帳を閉じた。
あとは看護士のおねーさんに見せて間違った字がないか、確かめてもらえばいいだけ。
お昼ごはんのときに見てもらおっかな。
机の上にある『でじたる式』(他にも『あなろぐ式』っていうのもあるらしいです)の目覚まし時計を見たら、そろそろ12時半になりそうです。
「まだかなー、えへへ……あっ!?」
そうだ、あんまり一人でおしゃべりしちゃいけないんだった!
このお部屋にはわたしの他にも患者さんがいるんです。迷惑にならないようにってお母さんに言われてたんだ!
慌てて口に手を当てました。絶対に、もう一人じゃ話さないんだから!
でも誰も怒ってないみたいで、カーテン越しに耳を澄ませても寝息かテレビの音しか聞こえない。
よかったあ、まだ迷惑にはなってないみたい。
でも、もうお話はしない。本を読んでゆっくり待つことにした。
結構待ってもう少ししたら来てくれるかなって思ってたら、ドアが開けられる音が聞こえた!
看護士さんだ!やったー!なんて思ってたけど、なんだか可笑しいの。
男の人と男の人が話してるみたいなんだ。
それだけなら男の看護士さんなのかなって思ったけど、違う。
なんで!?って思って固まってたら一回声をかけられてからカーテンをシャッて開けられちゃった。
「よう、琥珀。調子はどうだ?」
「ま、マダラ先生……」
そこにいたのは、わたしの担当のお医者さんであるうちはマダラ先生だった。
いつも通りの「ぶっちょうづら」で正直怖いです。
……わたしはお医者さんが苦手です。だって注射とか検査とかで痛いことばっかりしてくるんだもん。
どうしてもお医者さん嫌いが直せなくって大変なんだ。
あ、看護士のおねーさんは別!リンさんって言うんだけど、とっても優しくって大好きです!
マダラ先生が、ちらっとカーテンの後ろの方を見た。
誰かがいるみたい。光のお陰で影が見えるんだけど、マダラ先生と同じくらいの背の高さの人みたい。
マダラ先生がフッと微笑みました。少しバカにした表情で、カーテンの向こう側にいる人を見てる。
「いい加減出てこい。琥珀が怯えてるだろう」
「……それはアンタのせいだろうが。なんでまだ顔も合わせてないのに怯えられるんだ」
呆れた様子の誰か。でも、不機嫌そうな声だから身が竦んじゃいました。
なんで怒ってるんだろう。わたしのせいなのかなあ?もくもくと疑問が湧いてきます。
ビクビクしながら様子を黙って見る。一応、どんな人か気になるからね。
マダラ先生が肩を竦めて鼻で笑った。
聴診器が揺れます。全然似合ってないのに、妙にマッチしてるのはなんでだろ?
「本当にお前は分かっていないな。琥珀は人見知りなだけだ。顔見知りの俺に怯えるわけがないだろう」
「どうだかな。アンタの強面を見て怖がらない子供の方が珍しいだろう」
うーん……難しい言葉ばっかりでよく分かりません。
ひとみしり?かおみしり?こわもてって何なんだろう?
大人はカッコいい言葉を知っていてスゴいな~と思います。わたしも早く大人になりたいな。
何やらマダラ先生と誰かの間で火花がバチバチ散ってます。まだケンカ中のようです。
「……ふん、まあいい。さっさと自己紹介をしろ」
「アンタに言われるまでもない」
むむむ、仲が悪いのは良くないと思うんだけどな。
でも話しかけることは出来ません。だって怖いんだもん。
ガクガクブルブル震えていれば、その誰かはゆっくりとカーテンをずらして入ってきました。
気まずそうに頬を掻いているお兄さん。髪は短いけど、マダラ先生みたいにツンツンしてます。
顔立ちも似てるし、もしかしたらご家族さんなのかな?
はあ、と大きくため息を吐くお兄さん。怒ってるみたいで、怖くなって体が勝手にビクッと跳ねた。
マダラ先生はというと、ニヤニヤと悪どい笑みを浮かべてお兄さんを見てる。
お兄さんはそれに睨みを返して、わたしを見下ろした。
「これから、コイツの研修……手伝いをするうちはオビトだ。お前の検診なんかもするから、よろしく頼む」
「……」
小さく頭を下げてからすぐにこっちを見つめるオビトさん。
マダラ先生と同じでちょっと目付きが悪い。
いや、目は男の人の中だと大きい方だけど、ギロッて睨むみたいに見て来たからすっっっっごく怖いです。なんだか、怒られるような気持ちになってくる。
どうしよう……目の前がボヤけてきた……涙が出てきたみたい。
「うぇ……」
「? どうした?」
不思議そうに首を傾げるオビトさん。
ダメだ、止まってよ!また泣いたらメーワクかけちゃうんだから!
そう思って必死に布団を強く握って我慢してた。
けど、ぽたって目から涙が零れたから、もう我慢の限界になっちゃって。わたしは思いっきり泣いちゃった。
「ひっく、ぐすっ……ううううう……」
「なっ!?お、おい!どうしたんだ!?」
「くくっ……」
大泣きするのを何とか堪えるわたし(大声を出すのは我慢できた)、オロオロ慌てるオビトさん、楽しそうに笑うのを隠そうとしているマダラ先生。
しっちゃかめっちゃかになって、それはリンさんが来るまでずーっと続いた。
リンさんが来て私も落ち着いたら、マダラ先生がリンさんに怒られてました。
「どうして泣かせたままにしたんですか、先生!」
「いや、悪いとは思ったんだが……オビトの慌てようが面白すぎてな」
「てめえジジイ!はなから俺をバカにするつもりだったのか!」
「オビトも大声出さないっ。患者さんの迷惑になるでしょ?」
……なんでオビトさんはマダラ先生のこと、ジジイって言ってるんだろ?
マダラ先生、まだおじいちゃんって年じゃないのにね?
わたしは今、日記をつけてる。まだあんまり漢字は書けないけど、それでも辞典を引きながら書くのは楽しいの。
窓から差すあったかい光のお陰で、自然と笑っちゃった。
今日はきっと良いことがあるだろうな、なんて思えたから。お天気が良いと楽しくなっちゃうんだ。それは誰だって同じだよね。
今日は朝から嬉しいことがあったから、いつもより早く日記を書いているんです。
朝、自分のびょーしつ(病院でのわたしのお部屋のこと)から出てろうかを歩いてたら、知り合いのおばあちゃんがおろおろしてたの。
どーしたのって聞いたら落とし物しちゃったらしくって、探すのを手伝ったんだ。
そしたら私が見つけれて、お礼にってアメを貰ったの!
うれしくって、見つけられて良かったって思った。
おばあちゃんもよろこんでたし、良いことをしたら気分も良くなったから、きっと今日は良い日になりそうだと思いました!
「よしっ、書けたっと」
ぱたむと音を発てて日記帳を閉じた。
あとは看護士のおねーさんに見せて間違った字がないか、確かめてもらえばいいだけ。
お昼ごはんのときに見てもらおっかな。
机の上にある『でじたる式』(他にも『あなろぐ式』っていうのもあるらしいです)の目覚まし時計を見たら、そろそろ12時半になりそうです。
「まだかなー、えへへ……あっ!?」
そうだ、あんまり一人でおしゃべりしちゃいけないんだった!
このお部屋にはわたしの他にも患者さんがいるんです。迷惑にならないようにってお母さんに言われてたんだ!
慌てて口に手を当てました。絶対に、もう一人じゃ話さないんだから!
でも誰も怒ってないみたいで、カーテン越しに耳を澄ませても寝息かテレビの音しか聞こえない。
よかったあ、まだ迷惑にはなってないみたい。
でも、もうお話はしない。本を読んでゆっくり待つことにした。
結構待ってもう少ししたら来てくれるかなって思ってたら、ドアが開けられる音が聞こえた!
看護士さんだ!やったー!なんて思ってたけど、なんだか可笑しいの。
男の人と男の人が話してるみたいなんだ。
それだけなら男の看護士さんなのかなって思ったけど、違う。
なんで!?って思って固まってたら一回声をかけられてからカーテンをシャッて開けられちゃった。
「よう、琥珀。調子はどうだ?」
「ま、マダラ先生……」
そこにいたのは、わたしの担当のお医者さんであるうちはマダラ先生だった。
いつも通りの「ぶっちょうづら」で正直怖いです。
……わたしはお医者さんが苦手です。だって注射とか検査とかで痛いことばっかりしてくるんだもん。
どうしてもお医者さん嫌いが直せなくって大変なんだ。
あ、看護士のおねーさんは別!リンさんって言うんだけど、とっても優しくって大好きです!
マダラ先生が、ちらっとカーテンの後ろの方を見た。
誰かがいるみたい。光のお陰で影が見えるんだけど、マダラ先生と同じくらいの背の高さの人みたい。
マダラ先生がフッと微笑みました。少しバカにした表情で、カーテンの向こう側にいる人を見てる。
「いい加減出てこい。琥珀が怯えてるだろう」
「……それはアンタのせいだろうが。なんでまだ顔も合わせてないのに怯えられるんだ」
呆れた様子の誰か。でも、不機嫌そうな声だから身が竦んじゃいました。
なんで怒ってるんだろう。わたしのせいなのかなあ?もくもくと疑問が湧いてきます。
ビクビクしながら様子を黙って見る。一応、どんな人か気になるからね。
マダラ先生が肩を竦めて鼻で笑った。
聴診器が揺れます。全然似合ってないのに、妙にマッチしてるのはなんでだろ?
「本当にお前は分かっていないな。琥珀は人見知りなだけだ。顔見知りの俺に怯えるわけがないだろう」
「どうだかな。アンタの強面を見て怖がらない子供の方が珍しいだろう」
うーん……難しい言葉ばっかりでよく分かりません。
ひとみしり?かおみしり?こわもてって何なんだろう?
大人はカッコいい言葉を知っていてスゴいな~と思います。わたしも早く大人になりたいな。
何やらマダラ先生と誰かの間で火花がバチバチ散ってます。まだケンカ中のようです。
「……ふん、まあいい。さっさと自己紹介をしろ」
「アンタに言われるまでもない」
むむむ、仲が悪いのは良くないと思うんだけどな。
でも話しかけることは出来ません。だって怖いんだもん。
ガクガクブルブル震えていれば、その誰かはゆっくりとカーテンをずらして入ってきました。
気まずそうに頬を掻いているお兄さん。髪は短いけど、マダラ先生みたいにツンツンしてます。
顔立ちも似てるし、もしかしたらご家族さんなのかな?
はあ、と大きくため息を吐くお兄さん。怒ってるみたいで、怖くなって体が勝手にビクッと跳ねた。
マダラ先生はというと、ニヤニヤと悪どい笑みを浮かべてお兄さんを見てる。
お兄さんはそれに睨みを返して、わたしを見下ろした。
「これから、コイツの研修……手伝いをするうちはオビトだ。お前の検診なんかもするから、よろしく頼む」
「……」
小さく頭を下げてからすぐにこっちを見つめるオビトさん。
マダラ先生と同じでちょっと目付きが悪い。
いや、目は男の人の中だと大きい方だけど、ギロッて睨むみたいに見て来たからすっっっっごく怖いです。なんだか、怒られるような気持ちになってくる。
どうしよう……目の前がボヤけてきた……涙が出てきたみたい。
「うぇ……」
「? どうした?」
不思議そうに首を傾げるオビトさん。
ダメだ、止まってよ!また泣いたらメーワクかけちゃうんだから!
そう思って必死に布団を強く握って我慢してた。
けど、ぽたって目から涙が零れたから、もう我慢の限界になっちゃって。わたしは思いっきり泣いちゃった。
「ひっく、ぐすっ……ううううう……」
「なっ!?お、おい!どうしたんだ!?」
「くくっ……」
大泣きするのを何とか堪えるわたし(大声を出すのは我慢できた)、オロオロ慌てるオビトさん、楽しそうに笑うのを隠そうとしているマダラ先生。
しっちゃかめっちゃかになって、それはリンさんが来るまでずーっと続いた。
リンさんが来て私も落ち着いたら、マダラ先生がリンさんに怒られてました。
「どうして泣かせたままにしたんですか、先生!」
「いや、悪いとは思ったんだが……オビトの慌てようが面白すぎてな」
「てめえジジイ!はなから俺をバカにするつもりだったのか!」
「オビトも大声出さないっ。患者さんの迷惑になるでしょ?」
……なんでオビトさんはマダラ先生のこと、ジジイって言ってるんだろ?
マダラ先生、まだおじいちゃんって年じゃないのにね?
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