チョコレート
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「いたいぃ……痛いよオビトォ……」
「頑張ったな、偉いぞ」
注射も終わり、病室でしくしくと泣く私。
案の定の痛みだ。いつまで経っても注射には慣れない。もちろん慣れたいとも思わないけれど、でも少しは痛みのない注射針が出来れば良いのになあ、とは思う。
私の病気は虚血性心疾患とかいうものらしい。あと、きょーしんしょー?だったかな。そういう種類の心臓病らしい。
難しい話は分からないので、いつも聞いたふりですませている。これが今までバレたことがない。
私の頭をよしよしと撫でる先生。なんだか、昔に戻ったみたいで安心した気持ちになる。
しかしすぐに羞恥心が湧いてきて、赤面してしまう。「どうした?」と不思議そうに尋ねてくる先生。
無自覚って怖い……かっこいいとか思ったわけじゃない。そう、ただ子供扱いされたのが恥ずかしいだけだ!
「そ、それよりオビト!約束のお菓子は!?」
「ん?ああ、ちょっと待ってろ」
ごそごそとポケットを探り始める。すぐに目当てのものが見つかったようで、にかっと笑ってそれを見せてくれた。
彼の手のひらの上には、五円玉くらいの直径のチョコレート菓子がいくつもあった。一口サイズで食べやすそう。
悪かった機嫌もだんだん良くなってきた。やっぱりお菓子ってのは良いよね!幸せな気持ちになるんだもん!
「ふふん、オビト良かったね!さっき私のことを笑った罪は許してあげるよ!」
そう告げてから一粒取ろうとしたら、先生は手を引いてしまった。
そのせいで取れなくなって、なんのつもりかと睥睨してみれば、とってもこわーい笑顔の先生が。背筋が凍るって、こういうことを言うんだろう。
「え、あの、オビト……?」
「まだ体が痛むだろう、食べさせてやる」
「へっ!?いやいやいや良いから!食べれるし!」
「遠慮するな。大人を舐めているようだから、仕置きを兼ねてな」
「はあ!?何それズルい!」
うがーと叫んでも、先生は意に介した様子もなく笑っている。
なんだよこの人、Sの気でもあったのか。隠れSとかマジ怖いわ。
いくら待ってもくれる様子はない。だからって、食べさせてもらうとか高校生にもなってはっずかしいし嫌だ。
でも食べたい……チョコレートとか、滅多に食べてないのに。 うーんうーんと悩み続けて約3分、これ以上時間をとれば先生も忙しいだろうし本当にくれなくなる可能性もあるので、私は折れた。
仕方なしに顔を前に出して、目を瞑る。
「ほ、ほら!さっさとください!」
「やれやれ。貰う側の態度か、それ」
呆れた風に嘯く先生に悪態を吐いてやりたかったけど、そこは我慢する。
顔が赤くなってないか心配だ。変じゃないかな、先生はどんな顔をしてるんだろ。ちょっとだけ気になるな。
目を開けられないから分からないけど、とても楽しんでいる様子は伝わった。こっちの気も知らないで呑気な人だね!
「ほれ、入れたぞ」
「んぐ……うわあ甘い~。口の中痛くなるくらい甘いよぉおおお……でも美味しい!」
久しぶりのチョコレートはとてつもなく甘くって、頭がとろけるようだった。
頬に手を当てて味わっていると、先生が嬉しそうに微笑んでいる。まあ、この美味しいチョコレートに免じて許してあげよう。
それよりもう一個だ。たった一個じゃ足りない。
人間は生きていく上で糖分が大切だと何かの本で読んだことがある。まあ難しいことはどうでも良いのでチョコレートを食べてしまおう。
「オビトオビトっ、もーいっかい!」
「は!?琥珀お前……まあいいか」
どうしたんだろう、今度は先生が顔を赤くしていた。すぐにやれやれと苦笑いになったけど……なんだろ。
……あれか、食べ過ぎだと言いたいのか?良いじゃんかたまにくらいはさあ!
まだあるのにくれないなら、私は怒るぞ!注射一回でチョコレート一個は安すぎる!
顔を出して待っていれば、先生は投げ込むようにチョコレートを私の口に入れた。美味しい。
それにしても先生、サドっけが半端じゃない。私が食べ終わる前にチョコレートを用意してたりしてるし、
「もっと口を開けないとチョコが入らないだろうが、口小さすぎるだろお前」
「ほら、もう一個だ」
とか平然と言っている。ある意味尊敬するよ。隠れSとかはじめて見たよ。
まあ私も黙って食べてるんだけど。美味しいものにプライドとかは邪魔なだけだもの。
「最後の一個だ。あーんしろあーん」
「子供じゃあるまいしあーんとか言わなくて良いからっ!むぐっ」
大口を開けて怒りを叫べば、無理矢理チョコレートを押し込まれた。甘さが鼻まで突き抜けて、頭がクラクラする。
でも美味しいから、しっかり咀嚼して味わってから飲み込む。これで当分は食べられないんだから、しっかり味わっておかないと勿体ないもんね。
「……ふう、ごちそうさまでした。また持ってきてねー」
「気が向いたらな」
先生は、どこか大人っぽく笑って私の頭を撫でたあと、病室を出ていった。
……今の顔にきゅんとしたのは、誰にも内緒だ。
「頑張ったな、偉いぞ」
注射も終わり、病室でしくしくと泣く私。
案の定の痛みだ。いつまで経っても注射には慣れない。もちろん慣れたいとも思わないけれど、でも少しは痛みのない注射針が出来れば良いのになあ、とは思う。
私の病気は虚血性心疾患とかいうものらしい。あと、きょーしんしょー?だったかな。そういう種類の心臓病らしい。
難しい話は分からないので、いつも聞いたふりですませている。これが今までバレたことがない。
私の頭をよしよしと撫でる先生。なんだか、昔に戻ったみたいで安心した気持ちになる。
しかしすぐに羞恥心が湧いてきて、赤面してしまう。「どうした?」と不思議そうに尋ねてくる先生。
無自覚って怖い……かっこいいとか思ったわけじゃない。そう、ただ子供扱いされたのが恥ずかしいだけだ!
「そ、それよりオビト!約束のお菓子は!?」
「ん?ああ、ちょっと待ってろ」
ごそごそとポケットを探り始める。すぐに目当てのものが見つかったようで、にかっと笑ってそれを見せてくれた。
彼の手のひらの上には、五円玉くらいの直径のチョコレート菓子がいくつもあった。一口サイズで食べやすそう。
悪かった機嫌もだんだん良くなってきた。やっぱりお菓子ってのは良いよね!幸せな気持ちになるんだもん!
「ふふん、オビト良かったね!さっき私のことを笑った罪は許してあげるよ!」
そう告げてから一粒取ろうとしたら、先生は手を引いてしまった。
そのせいで取れなくなって、なんのつもりかと睥睨してみれば、とってもこわーい笑顔の先生が。背筋が凍るって、こういうことを言うんだろう。
「え、あの、オビト……?」
「まだ体が痛むだろう、食べさせてやる」
「へっ!?いやいやいや良いから!食べれるし!」
「遠慮するな。大人を舐めているようだから、仕置きを兼ねてな」
「はあ!?何それズルい!」
うがーと叫んでも、先生は意に介した様子もなく笑っている。
なんだよこの人、Sの気でもあったのか。隠れSとかマジ怖いわ。
いくら待ってもくれる様子はない。だからって、食べさせてもらうとか高校生にもなってはっずかしいし嫌だ。
でも食べたい……チョコレートとか、滅多に食べてないのに。 うーんうーんと悩み続けて約3分、これ以上時間をとれば先生も忙しいだろうし本当にくれなくなる可能性もあるので、私は折れた。
仕方なしに顔を前に出して、目を瞑る。
「ほ、ほら!さっさとください!」
「やれやれ。貰う側の態度か、それ」
呆れた風に嘯く先生に悪態を吐いてやりたかったけど、そこは我慢する。
顔が赤くなってないか心配だ。変じゃないかな、先生はどんな顔をしてるんだろ。ちょっとだけ気になるな。
目を開けられないから分からないけど、とても楽しんでいる様子は伝わった。こっちの気も知らないで呑気な人だね!
「ほれ、入れたぞ」
「んぐ……うわあ甘い~。口の中痛くなるくらい甘いよぉおおお……でも美味しい!」
久しぶりのチョコレートはとてつもなく甘くって、頭がとろけるようだった。
頬に手を当てて味わっていると、先生が嬉しそうに微笑んでいる。まあ、この美味しいチョコレートに免じて許してあげよう。
それよりもう一個だ。たった一個じゃ足りない。
人間は生きていく上で糖分が大切だと何かの本で読んだことがある。まあ難しいことはどうでも良いのでチョコレートを食べてしまおう。
「オビトオビトっ、もーいっかい!」
「は!?琥珀お前……まあいいか」
どうしたんだろう、今度は先生が顔を赤くしていた。すぐにやれやれと苦笑いになったけど……なんだろ。
……あれか、食べ過ぎだと言いたいのか?良いじゃんかたまにくらいはさあ!
まだあるのにくれないなら、私は怒るぞ!注射一回でチョコレート一個は安すぎる!
顔を出して待っていれば、先生は投げ込むようにチョコレートを私の口に入れた。美味しい。
それにしても先生、サドっけが半端じゃない。私が食べ終わる前にチョコレートを用意してたりしてるし、
「もっと口を開けないとチョコが入らないだろうが、口小さすぎるだろお前」
「ほら、もう一個だ」
とか平然と言っている。ある意味尊敬するよ。隠れSとかはじめて見たよ。
まあ私も黙って食べてるんだけど。美味しいものにプライドとかは邪魔なだけだもの。
「最後の一個だ。あーんしろあーん」
「子供じゃあるまいしあーんとか言わなくて良いからっ!むぐっ」
大口を開けて怒りを叫べば、無理矢理チョコレートを押し込まれた。甘さが鼻まで突き抜けて、頭がクラクラする。
でも美味しいから、しっかり咀嚼して味わってから飲み込む。これで当分は食べられないんだから、しっかり味わっておかないと勿体ないもんね。
「……ふう、ごちそうさまでした。また持ってきてねー」
「気が向いたらな」
先生は、どこか大人っぽく笑って私の頭を撫でたあと、病室を出ていった。
……今の顔にきゅんとしたのは、誰にも内緒だ。