きみは宇宙人
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妙な出会いから数日。
一度気になってしまえばやけに目につくのは人間の習性だろうか。
意識して探している訳でもないのに、すれ違いざまや廊下の向こう、教室前の自販機などであの男を目にするようになった。
同級生なのだから当たり前と言えば当たり前なのだが、そのたびにあの時のぎこちない走り方が頭の片隅に蘇ってなぜか口元がゆるむ。
亜蓮にとってそれは奇妙な感覚だった。
これまで人に興味を持つことは少ない人生だった。
表面的な付き合いはしてきたつもりだし、つるむ仲間もいた。
それ以上の踏み込みは必要なかったし、誰もそれを望まなかったとも言える。
なのにその男だけは気が付くと目で追ってしまうし、何か話してみたくなる。
そんな事を考えてしまう自分にモヤモヤしながら歩いていると、購買近くの廊下で男にぶつかった。
ヤンキーという事がやんわりとバレてからは友人以外に避けられる事が多かったので、珍しいもんだと相手を睨みつける。
「おっとっと、……あ」
顔を上げた男が数秒遅れで亜蓮を認識する。
それと同時に右手に持っていた食べかけのメロンパンが無惨にもコロコロと床に転がり落ちた。
「……あ、」
「うわ、お前か。パンは…もう食えねえな」
亜蓮が落ちたメロンパンを目で追っていると、男はわざとらしく肩をすくめる。
「アレがないとお腹が減って午後には死んじゃうかも」
「あ?」
亜蓮に怯える様子もなくふてぶてしく放ったその言い草に亜蓮は噴き出しかける。
「昼飯がメロンパンだけかよ?」
「さっきも授業で走ったし、もうエネルギーがないよ」
男は落ちたパンを見て僅かに微妙な顔をした後に、小さく謝りながらごみ箱に放った。
その思い切りの良さがおかしいと同時に、いたく気に入った亜蓮はポケットから小銭入れを出す。
「俺もボーッとしてたしパン買ってやるわ」
「え、まじで」
「おー。今から購買行くし」
「あんぱんがいいかな」
「メロンパンじゃねえのかよ」
亜蓮は笑う。
すると釣られるように男もニヤリと笑った。
「その前にお前、名前は?」
「澪」
「え、苗字は?」
「ん?だって名前聞いたから」
「…お前変な野郎だな」
「あ、やっぱりサンドイッチにしよう」
「……」
やっぱり妙な男だと呆れつつ、亜蓮は歩き出す。
初めて見た時の不気味な印象とは違い、以外と表情が変わるんだなとパンを選ぶ姿を横目に亜蓮は笑った。
