きみは宇宙人
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
それからの日々は以前よりも少しだけ距離が近くなった。
…ような気がする。
気が付けば目が合う事が当たり前のようになっていたし、誰かと一緒にいる所を目撃すると気になってしまう。
それが「好き」かどうかなんてまだはっきりとは言えないが、他の誰かにこの距離を許す気にはなれなかった。
それがどういう意味かわかるようでわかりたくなくて、モヤモヤとした気持ちが亜蓮の心をかき乱す。
「マリオやる?」
「ん、いや」
「そ?」
澪の一言で思考が現実に戻ってくる。
なりゆきで澪の部屋に招かれた事を思い出す。
キレイに整頓された部屋は澪らしいディスプレイや家具が並んでいる。
外からは小学生の元気な声が聞こえて来るが、その喧騒もぼんやりと遠いような感覚だった。
澪は窓際にもたれて沈みゆくオレンジを背にしている。
影がぼやける中で表情が見えづらい。
「…まぶしい」
「んな光当たってたらそうだろうよ。こっち来いよ」
「キャ、えっち」
「はぁ?」
呆れて笑うと澪はいそいそと這って亜蓮の方へ向かってきた。
日に当たっていたからか、少しだけ頬が赤く染まっている。
「なぁ、」
「ん?」
澪が亜蓮の方をゆっくりと見つめる。
夕日で逆光になっている澪の表情はよく見えなかったが、ちょうど良いと思い亜蓮は迷った末に手を伸ばす。
制服の袖を掴むかすかな感触。
指先が触れるだけで破裂しそうな鼓動を抑える事で、亜蓮はこの男が好きなのだと自覚する。
恐らく自分の顔は今真っ赤になっているのだろうと思うと妙に恥ずかしくなった亜蓮は、誤魔化すように咳払いをした。
澪は静かに亜蓮に問う。
「なに?」
「確認。俺が今、どこまで踏み込んでいいのか」
そう言って、亜蓮はほんの少しだけ距離を詰めた。
「……好きだって言ったら、笑う?」
「そうなのかな?って思ってたよ」
「スゲェな…。怖ぇわ、お前」
妙な自信に亜蓮は笑った。
そのまま澪の肩に手をかけて、もう少し距離を詰める。
引き寄せる事で光の当たる角度が変わり、澪の表情がよく見えた。
大きな瞳でこちらをじーっと見つめている。
一度好きだと言ってしまえば、気持ちが溢れ出して止まらなかった。
生意気な無表情が愛おしくて仕方ない。
「……ハズ…」
「たしかに」
めずらしく頬を赤らめて目をそらす澪に拍子抜けして笑ってしまった。
あんなにも自信満々に好きなのかと問うてきたのに、こんなにもうぶな表情もするのかとおかしくなってしまったのだ。
「えっと、付き合う?」
「ん」
澪は小さく返事をして唇を噛んでいる。
なんだかそれがもったいなくて、亜蓮は指先で唇をなぞった。
「ん」
「え、?」
「……ちゅーするかと思った」
唇をなぞった事を合図と思ったのか、澪が首を傾げた。
その仕草が愛おしくてつい笑ってしまう。
「なんだ、勘違いか」
明らかに落胆した澪に笑いを堪えながらもう一度唇をなぞる。
初々しい態度になったかと思いきや、大胆になったり本当に変なやつだ。
亜蓮はおでこにキスを落とした後、ゆっくりと唇が重なる。
「え、今?」とでも言いたそうな表情の澪がまた落胆しないように、左の頬を抱え込んで角度を変える。
ゆっくりと唇を離すと大きな瞳と目が合った。
気恥ずかしくなり頬をかくと、澪は満足そうにニヤリと笑った。
「亜蓮げっと」
「ポケモンじゃねんだわ」
「ふへへ」
こんな時でもやっぱりちょっと変なやつ。
そんな所が可愛いなと柄にもなく考えながら、亜蓮はもう一度唇を重ねた。
