短編
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午後の光がカーテン越しに差し込んで、部屋をやわらかく照らしていた。
休日の昼下がり。
世界は静かで、ただふたりだけの時間がゆるやかに流れている。
「……なんか、最近あったかくなってきたな」
ベッドに寝転ぶ俺の隣で、銀時がぽつりとつぶやく。
パジャマのシャツのボタンを半分だけ外してだらしなく寝そべる姿が、なんだか妙に色っぽい。
「春だからね。もうすぐ桜、咲くんじゃない?」
「ふーん。じゃあ、俺も咲いていい?」
「なに?」
「咲いちゃおっかな〜、澪の上で」
「…………バカじゃないの」
そう返しても、笑ってるだけ。
ほんと、こういうとこだけはブレない。
ふと目が合って、銀時が身を乗り出す。
「ちゅーしたろ」
唇が触れ合う。
軽いリップ音がして、すぐ離れるかと思えば銀時は名残惜しそうにまたゆっくりと重ねてくる。
「……ん、ちょ、銀時……」
「澪、さっきからえっちな顔してる」
「してないっ……」
「してる。嘘つくと、今年はサンタさん来ねぇかもなぁ?」
「サンタは大人には来てくれねぇの、っ……そういうの、ずるい」
「んー?」
耳元で低い声で名前を囁かれた後に、耳たぶを舌で撫でられた。
ざり、と舌の感触と、生々しいダイレクトな音で背筋が小さく震える。
そうこうしているうちにシャツの裾に指が潜り込み、体温の違う手が肌に触れた。
「だめっ、昼だし……」
「夜ならいいの?」
ささやかれた言葉に、心臓が跳ねた。
甘い口づけを落とされながら、銀時の手がそっと指先をなぞる。
焦らすように、確かめるように。
じんわりと熱が灯っていく。
「なァ、どうなんだよ」
「っ……外明るいから、昼はダメ」
「なーに照れてんの。もう何回も抱いてんのに」
頬を染める俺に、銀時はにやりと笑う。
でもその瞳の奥は、どこまでも優しくて、俺をちゃんと“だいじにしてる”目だった。
「……もっと、キスして」
「うん。いくらでも」
触れ合うたびに、世界の輪郭がやわらかくほどけていく。
昼下がりの部屋で、銀時と俺は、ふたりだけの甘い時間に微睡んでいった。
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