酔って候!
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「はいこれ」
薄暗い路地裏で銀時から冷たい瓶ビールを受け取って乾杯をする。
ガラスからカチンと高い音が鳴り涼しい音でまとわりつく様な暑さが少しだけマシになった様な気がした。
「これお店のじゃないん?」
「何個か無くなっててもバレねーだろ」
「偉い人は在庫見てるねんから普通にバレるやろ」
「細けえ事は良いんだよ」
深夜2時。
仕事終わりの銀時はだるそうに首を回して同じく瓶ビールを飲んでいた。
すっかり私服に着替えてあの変わった着こなし方の着物を身につけている。
あれから店長の目を盗みこっそり待ち合わせの約束をしてから閉店まで粘り営業終わりに落ち合った現在に至る。
「てか銀さん俺の事覚えてたんや。ベロベロやったから忘れてると思ってた」
「奢ってくれた恩は忘れねえよ。銀さん情には厚いから」
「覚えてるのそこなん?」
冷えた瓶ビールを飲む。
少し強い炭酸がヒリついた喉を潤した。
「で、警察様が何やってんのよこんな所で」
「それも覚えてたんや…。逆に聞くけど銀さんも何やってんの?バイト?」
「俺は依頼があってあの店を調査中。バイト代も貰えるし一石二鳥だろ」
「依頼?」
銀時はふわふわの頭をかいてくあっと欠伸をする。
「オイオイ俺たちまだ会うの2回目だぜ?そう簡単に教えてちゃ仕事にならねえよ」
「今からちょっと飲みに行かん?全部奢るよ?」
「なんでも聞いてねヤマダ君!」
「名前は覚えてないんかい!」
……
「おやアンタかい。銀時も一緒か。アンタちゃんとこの子にお礼言ったんだろうね!」
店に入るとお登勢が煙草を吸いながらカウンター席に座っていた。
営業時間はとっくに終わっているので店内には誰も居らず片付け作業を終えており照明が少し明るい。
銀時が仕事の話をするから飲ませろと無茶を言うとお登勢は文句を言いつつも渋々酒の準備を始める。
「で?何が聞きてえの」
以前開けた澪のボトルをちびちびと水割りで飲みながら銀時に問いかける。
「あの店でバイトしてるんやったら未成年を客として入れてるの知ってるやんな?そんな店に調査しに行く依頼ってどんな?」
「その様子じゃ大体検討付いてんじゃねえの」
「んー?」
「…行方不明の捜索依頼だよ。最後の目撃情報があの店だっつーからウチで調査してる。居なくなった本人はまだ15のガキで、自分の子供がバーに出入りしてる事を世間体を気にして警察に相談出来ねえ親がウチに依頼してきた」
「なるほどね」
「警察が動くって事はいよいよ摘発か?なら見たまんまガキばっか入れてるぞ」
銀時は水割りを飲み干しお登勢にお代りを頼んだ。
瓶から注がれる酒はトクトクと音を立ててグラスに入っていく。
「実は俺も行方不明者の件で調査中やねん。やから情報交換出来たら嬉しいなあって」
「事件になってんだな」
「うん。何人も若い子が行方不明になってるし」
澪はため息を吐いた。
今日1日だけでは特に情報を入手出来なかったからだ。
銀時曰くもう1人いた従業員は店長らしく、1週間店に潜入してもオーナーの中村は店に現れなかったらしい。
毎日店に通うのも苦労する為捜査の協力を求めたいのが正直な所だ。
「じゃ取り引きしねぇか?」
「取り引き?」
「そう。取り引きだ」
銀時はニヤリと笑った。
口角を上げにんまりと悪人さながらの表情で頬杖をついている。
「俺も行き詰まってたからなぁ。澪チャンが仕入れた情報と俺の情報を交換するってのはどうよ?」
銀時は手に持ったグラスを澪に向ける。
少しだけ溶けた氷がカランと鳴った。
澪も同じくグラスを持ち上げてカチンとグラスを交わす。
「いいやんそれ。名案やわ」
「契約成立だな。毎週金曜日のこの時間のこの店に集合な」
「待てそれ酒奢ってもらいたいだけちゃうやろな」
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