ツキウタ。
バレンタインデー【陽新】
この日は期待してなくてもソワソワする。
ファンの女の子からはすでに大量に送られてきていて、ダンボール箱がいくつか置いてあるのが目に入る。
始さんのが一番多いな。
これだけあると食べ切る前に腐らせてしまいそうで申し訳ない。
「新…?そんなにソワソワするなら作ればいいんじゃない?俺も今から作るから一緒にどう?」
「…失敗したらあいつ絶対笑う」
「そんなことないと思うよ?陽にあげるんだよね」
「葵の保証があるなら大丈夫だな。うん、分かった、やる。普段食べる側だからな。たまには珍しいことやってみても罰は当たらないだろ」
葵の言葉に乗せられて一緒にキッチンに立つ。
すでに慣れないことをしていて汗が出る。
あいつが喜ぶなら…。
・
・
・
「出来た…!」
「いいんじゃない?新らしいよ。初めてにしては上出来だしね!」
「葵が褒めるなら大丈夫だな、よし」
「俺基準なの?笑」
「…行ってくる」
「うん。行ってらっしゃい」
笑顔で送られてプロセラルームに行けば隼さんと海さんが優雅(?)にお茶会をしてる最中だった。
「おや、新。いらっしゃい。ハッピーバレンタイン♪夜がクッキー焼いてるみたいだよ」
「あ…ちょっと今日は陽に用があって。夜のクッキーはその後に強請りにいきます!!」
「おやおや…ふふ、なるほど…陽は部屋で音楽を聞いていたよ、行っておいで」
相変わらず鋭い…。そそくさとそこから離れ、陽の部屋をノックせず開ける。
言われた通り、ヘッドフォンを耳に当て鼻歌なんか聞こえちゃって…なんて無防備な。
「よ、う、くーん」
後ろに回って、がばっと抱きつく。
「はっ!?誰、何!?…新かよ」
「その言い草なに~?嬉しくないの、陽くんは」
「え?いや…嬉しい、けど…え?」
「お前、今日何の日か知ってる?」
「今日?…あ、バレンタイン?」
「そう」
「だから何。…あ、もしかして」
「愛を込めておいた。味は…葵が保証してる」
「…え!?お前が作ったのか!?」
「何だよ、悪いか」
「え、いや、全然…むしろすげぇ嬉しい。さんきゅ新。今食べたい」
「…食べるの何ていつでもいいだろ…誤魔化さなくてもいい」
陽の硬くなったそこに触れる。
「ちょっ…新///」
「なぁ、俺はずっとお前のこと考えてた。我慢できない」
「…ったく…煽った新が悪いんだからな。文句は聞かない」
ベッドに倒され、上から降ってくるキスに身を委ねた。
「ん…陽くん、キス甘い」
「甘くしてんだよ」
甘くて、甘くて、こんなのとろけちゃう。
俺じゃないみたいで、怖い。
「新、可愛い。…俺だけ見てろよ。余計なこと考えてるからだろ、泣くな」
優しいことは心をきつく縛る。
最近、正直仕事に詰まってて、嫌になってた自分がいたのも否定できない。
陽は凄い。
俺のちっぽけな悩みもプライドも飛び超えて入ってくる。
それは雑ではなくて、的確に丁寧に、寄り添うみたいに。
陽がアイドルらしいと言われる由縁だろうか。
俺はまだまだアイドルらしさが足りないと自分で思ってしまうから。
「陽…っもう…いいから…!」
「分かってる」
あぁ…陽の熱がお腹を満たすようだ。
身体を揺さぶられながら、思考はいつの間にか出来なくなっていて、陽がくれる愛情だけが俺にふりかかって、どうしようもなく涙が出た。
「新…愛してる」
「俺も」
陽の熱が、中で弾け、これ以上ないほどに満たされた気分になる。
「陽…俺があげたやつ、夜のより先に食えよ」
「分かってるって。本命が一番いいに決まってるだろ」
END
この日は期待してなくてもソワソワする。
ファンの女の子からはすでに大量に送られてきていて、ダンボール箱がいくつか置いてあるのが目に入る。
始さんのが一番多いな。
これだけあると食べ切る前に腐らせてしまいそうで申し訳ない。
「新…?そんなにソワソワするなら作ればいいんじゃない?俺も今から作るから一緒にどう?」
「…失敗したらあいつ絶対笑う」
「そんなことないと思うよ?陽にあげるんだよね」
「葵の保証があるなら大丈夫だな。うん、分かった、やる。普段食べる側だからな。たまには珍しいことやってみても罰は当たらないだろ」
葵の言葉に乗せられて一緒にキッチンに立つ。
すでに慣れないことをしていて汗が出る。
あいつが喜ぶなら…。
・
・
・
「出来た…!」
「いいんじゃない?新らしいよ。初めてにしては上出来だしね!」
「葵が褒めるなら大丈夫だな、よし」
「俺基準なの?笑」
「…行ってくる」
「うん。行ってらっしゃい」
笑顔で送られてプロセラルームに行けば隼さんと海さんが優雅(?)にお茶会をしてる最中だった。
「おや、新。いらっしゃい。ハッピーバレンタイン♪夜がクッキー焼いてるみたいだよ」
「あ…ちょっと今日は陽に用があって。夜のクッキーはその後に強請りにいきます!!」
「おやおや…ふふ、なるほど…陽は部屋で音楽を聞いていたよ、行っておいで」
相変わらず鋭い…。そそくさとそこから離れ、陽の部屋をノックせず開ける。
言われた通り、ヘッドフォンを耳に当て鼻歌なんか聞こえちゃって…なんて無防備な。
「よ、う、くーん」
後ろに回って、がばっと抱きつく。
「はっ!?誰、何!?…新かよ」
「その言い草なに~?嬉しくないの、陽くんは」
「え?いや…嬉しい、けど…え?」
「お前、今日何の日か知ってる?」
「今日?…あ、バレンタイン?」
「そう」
「だから何。…あ、もしかして」
「愛を込めておいた。味は…葵が保証してる」
「…え!?お前が作ったのか!?」
「何だよ、悪いか」
「え、いや、全然…むしろすげぇ嬉しい。さんきゅ新。今食べたい」
「…食べるの何ていつでもいいだろ…誤魔化さなくてもいい」
陽の硬くなったそこに触れる。
「ちょっ…新///」
「なぁ、俺はずっとお前のこと考えてた。我慢できない」
「…ったく…煽った新が悪いんだからな。文句は聞かない」
ベッドに倒され、上から降ってくるキスに身を委ねた。
「ん…陽くん、キス甘い」
「甘くしてんだよ」
甘くて、甘くて、こんなのとろけちゃう。
俺じゃないみたいで、怖い。
「新、可愛い。…俺だけ見てろよ。余計なこと考えてるからだろ、泣くな」
優しいことは心をきつく縛る。
最近、正直仕事に詰まってて、嫌になってた自分がいたのも否定できない。
陽は凄い。
俺のちっぽけな悩みもプライドも飛び超えて入ってくる。
それは雑ではなくて、的確に丁寧に、寄り添うみたいに。
陽がアイドルらしいと言われる由縁だろうか。
俺はまだまだアイドルらしさが足りないと自分で思ってしまうから。
「陽…っもう…いいから…!」
「分かってる」
あぁ…陽の熱がお腹を満たすようだ。
身体を揺さぶられながら、思考はいつの間にか出来なくなっていて、陽がくれる愛情だけが俺にふりかかって、どうしようもなく涙が出た。
「新…愛してる」
「俺も」
陽の熱が、中で弾け、これ以上ないほどに満たされた気分になる。
「陽…俺があげたやつ、夜のより先に食えよ」
「分かってるって。本命が一番いいに決まってるだろ」
END
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