【ンズラド】ふわふわふわんず!
瞼を照らす眩い光と、若干の頭痛で意識が浮上する。鼻についたのは血の臭いと微かな焦げ臭さだった。昨夜、どこまで行動したんだっけ、確かワイルドハントを封印しようと潮印石に触れようとしたら突然頭痛がして——それで——。
「ッ!! フリンズ!!」
ラドヴァンは勢いよく半身を起こした。目に飛び込んでくる景色は夜明かしの墓の地下室ではなくて、夜明けを迎えたナド・クライの景色だった。辺りを見回してみると、ワイルドハントの気配は完全に消えたのは確認できたが、相棒と腰から動かなかったはずのふわんずが消えているのも確認した。
心臓が跳ねた。
自分だけが別の場所に取り残されたような寂寥感と、手からこぼれ落ちてしまったのではという恐怖だけが胸の内を埋めていく。無意識に地面をなぞると、自分のすぐそばに何かが落ちていることに気がついた。
フリンズのランプだ。
「……フリンズ……?」
そっと拾い上げて覗くと、弱々しい炎がゆらめいていた。炎の様子とこれだけが残されている状況を鑑みるに、人の姿を保てないほどには弱っているのだろう。思わず、ランプをぎゅっと抱きしめた。こころなしか、つめたい。
頭の中を埋め尽くしそうになる自責の念をすんでのところで止めて、ラドヴァンは立ち上がった。たいせつなひとを守れなかったことへの罪悪感は拭えない、が、それを理由にどん底で泣き喚いている場合ではない。自分のすべきことは理解しているつもりだ。
フリンズの反応を見ながら、ふわんずを探す。最悪の場合は——一つに戻すことも検討しなければ。
あれから元素資格とフリンズの反応を駆使してふわんずの行方を追いかけたが、気がついたら妙に新しい施設にまで辿り着いてしまった。それに、フリンズの反応もかなり良い。炎がいつもの勢いに戻りそうなくらいの燃え方だ。きっと、ここにいてくれるはず。
しかし、それと同時にある問題まで浮上した。それは、ふわんずがここに自然にたどり着いたのではなく、何者かに誘拐されたかもしれないということ。ローエンから密猟組織の話を聞かされたことは覚えている。おそらく、それに該当する施設だろう。
「——なら、別にコソコソする必要ねぇよな」
フリンズを左手に移し、片手剣を握りしめた。
ローエンはこういう時、奇襲で徹底的に潰しに行くのが最高だとかなんとか話していたが、ラドヴァンはそうは思わない。悪人相手であれば、頭を使う必要すら時間の無駄だ。真っ向正面から、ぶった斬る。
正面の見張りは二人。それだけを確認して、ラドヴァンは地を蹴った。
「ん……? なんだ!?」
「止まれ!! ここから先は立ち入り禁止だぞ!!」
「うるせぇ退けッ!!」
警告のつもりだろうが、怒鳴る程度で止まるつもりは毛頭ない。もちろん、武器を取り出されても同じことである。
さらに速度を出すためにブレードを取り付けて加速する。見張りの一人が銃をこちらに向けてきたが、ラドヴァンは減速することなく扉へと直走る。耳元で何かが掠めるような衝撃が通り過ぎていった。心臓を狙えていない時点で極度に恐る必要などないのだ。
一人を回し蹴りで吹き飛ばし、もう一人は反動を利用して肩口から胸にかけて一度斬り払った。肉を裂く音と水のように噴き出す鮮血だけで、ラドヴァンにとっては軽症とも言える致命傷を負わせられたと確信する。そのまま施設の中へと急いだ。もう一人はまだ生きているが、鳩尾に蹴りを命中させたのでしばらくは起きることなど叶わないだろう。
「ッ!! フリンズ!!」
ラドヴァンは勢いよく半身を起こした。目に飛び込んでくる景色は夜明かしの墓の地下室ではなくて、夜明けを迎えたナド・クライの景色だった。辺りを見回してみると、ワイルドハントの気配は完全に消えたのは確認できたが、相棒と腰から動かなかったはずのふわんずが消えているのも確認した。
心臓が跳ねた。
自分だけが別の場所に取り残されたような寂寥感と、手からこぼれ落ちてしまったのではという恐怖だけが胸の内を埋めていく。無意識に地面をなぞると、自分のすぐそばに何かが落ちていることに気がついた。
フリンズのランプだ。
「……フリンズ……?」
そっと拾い上げて覗くと、弱々しい炎がゆらめいていた。炎の様子とこれだけが残されている状況を鑑みるに、人の姿を保てないほどには弱っているのだろう。思わず、ランプをぎゅっと抱きしめた。こころなしか、つめたい。
頭の中を埋め尽くしそうになる自責の念をすんでのところで止めて、ラドヴァンは立ち上がった。たいせつなひとを守れなかったことへの罪悪感は拭えない、が、それを理由にどん底で泣き喚いている場合ではない。自分のすべきことは理解しているつもりだ。
フリンズの反応を見ながら、ふわんずを探す。最悪の場合は——一つに戻すことも検討しなければ。
あれから元素資格とフリンズの反応を駆使してふわんずの行方を追いかけたが、気がついたら妙に新しい施設にまで辿り着いてしまった。それに、フリンズの反応もかなり良い。炎がいつもの勢いに戻りそうなくらいの燃え方だ。きっと、ここにいてくれるはず。
しかし、それと同時にある問題まで浮上した。それは、ふわんずがここに自然にたどり着いたのではなく、何者かに誘拐されたかもしれないということ。ローエンから密猟組織の話を聞かされたことは覚えている。おそらく、それに該当する施設だろう。
「——なら、別にコソコソする必要ねぇよな」
フリンズを左手に移し、片手剣を握りしめた。
ローエンはこういう時、奇襲で徹底的に潰しに行くのが最高だとかなんとか話していたが、ラドヴァンはそうは思わない。悪人相手であれば、頭を使う必要すら時間の無駄だ。真っ向正面から、ぶった斬る。
正面の見張りは二人。それだけを確認して、ラドヴァンは地を蹴った。
「ん……? なんだ!?」
「止まれ!! ここから先は立ち入り禁止だぞ!!」
「うるせぇ退けッ!!」
警告のつもりだろうが、怒鳴る程度で止まるつもりは毛頭ない。もちろん、武器を取り出されても同じことである。
さらに速度を出すためにブレードを取り付けて加速する。見張りの一人が銃をこちらに向けてきたが、ラドヴァンは減速することなく扉へと直走る。耳元で何かが掠めるような衝撃が通り過ぎていった。心臓を狙えていない時点で極度に恐る必要などないのだ。
一人を回し蹴りで吹き飛ばし、もう一人は反動を利用して肩口から胸にかけて一度斬り払った。肉を裂く音と水のように噴き出す鮮血だけで、ラドヴァンにとっては軽症とも言える致命傷を負わせられたと確信する。そのまま施設の中へと急いだ。もう一人はまだ生きているが、鳩尾に蹴りを命中させたのでしばらくは起きることなど叶わないだろう。
