ひまわり/mt
「ねぇ、タカ」
「うん、どしたの?」
「あのさ、ペアリング……ほしくて」
「ペアリング?」
あの出来事があってからすっかり仲直りした俺らは、休日をお互いの家で過ごすようになった。けれど俺は一つだけどうしても解決しきれてないことがあって、それが、このペアリング。シゲにおすすめされたときに、喧嘩中だったから結局流れてしまったんだけど、俺はあれ以来どーーーーーしてもこのペアリングが気になって気になって仕方なかった。まるで俺たちのために作られたんじゃないかってくらい、タカのイメージそのまんまそっくりで、一度見たときの衝撃は今でも覚えてる。タカの誕生石のルビーに黄色の石(名前はよく覚えてない)のやつと、俺の誕生石のトパーズにピンクの石(こちらもよく覚えてない)がセットになっている。これ、つけたらめちゃめちゃオシャレだしめちゃめちゃ幸せになりそうじゃん!って思ったのは秘密なんだけどね。
「ふーん、いいじゃん、これ」
「だよね!?…ねね、買お?一緒に」
「ん、いーよ、俺らに似合いそう」
「やった!うれしい!」
思わず素直に喜んでしまって、あ、しまった、と思う。どんなこと言ってからかわれるんだろうって身構えると、タカは俺の予想に反して、すごく優しい目で俺に笑いかけていた。なんかこう、いかにも幸せです、って言葉が似合うような顔で。
「…えと、たぁか?」
「ん、なんでもないよ、…ほんとに手越のこと大好きだなって思っただけ」
「…は、は!?なんだよそれ、恥ずかしい」
タカは、不意打ちでこんなキュンキュンすることを言ってくるからすごく心臓に悪い。優しくて可愛らしい顔に似合わず、大きな背中に大きな手。彼はその手をゆっくりと俺の背中にまわした。
「ずっと一緒にいよっか。」
「…へ」
「俺さ、手越となら永遠も重いもんじゃないよ」
「…………なんだよそれぇ……」
「あーーーほらほら、もう、泣きすぎ笑」
泣き虫は卒業するって決めたのに、彼の言葉ひとつでこんなにも抑えきれなくなってしまう自分がいる。その言葉があまりにも嬉しくて、重みがあって、心の底から幸せだって思えた。俺やっぱり、この人じゃなきゃダメなんだわ。
「うん、死ぬまでそばにいろよっ…」
「もちろんだよ、ずっとだいすき」
「おれも、」
だって、こんなにも彼が愛おしい。
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