ドレスコードと夜の海

諦め半分で、ヒールを脱ぎ、海に足をつける。

夜の冷たい海水がミーアの足を冷やしていく。

「うひょー!気持ちいいー!!」

冷たさで、酔いが冷めていく。
くるくると軽やかに足を動かす様は、まるで、赤いドレスを纏った妖精の水上ダンスのようだった。

ゾクッ、、
「またか、、、っ、なんだよ、この変な感情はっ、、クソッ」
咄嗟にミーアから目を逸らした。

その時、水中の何かに足を取られてバランスを崩してしまうミーア。

「おっとっ、、うわっ」

ばしゃっ

海水でぐっしょりと濡れてしまう、赤いドレス。

「あちゃ、、、」

「、、なにやってんだ、お前、、、、」

月明かりに照らされて、水に濡れたミーアがいつもと違う女性に見えた。

「コケちまった、、へへ、、このドレス、弁償かな、、あーあ、、」

濡れたせいでドレスが体にピッタリとひっつき、体のラインがハッキリと出てしまっていたが、暗いせいでミーアは気が付いていなかった。

「、、、、」

バサッ

「うわぷっ!?な、なに!?」

何かが飛んできて目の前が真っ暗になる。

「??ゼブラの上着?、、」

「、、、また、目の前で風邪ひかれて、看病すんのはごめんだからな」
「へへっ、サンキュー!大丈夫大丈夫!こないだより寒くないから!」

自分の体より遥かに大きなゼブラの上着はまるで大人の服を着た子供のようだった。

砂浜に座り、しばらく黒い海を眺める2人。

「、、そろそろ戻る?」
「、、、めんどくせぇ」

「そもそも、あんたは、何しに海まで来たんだよ」
「るせぇ。あの会場が騒がしくて耳が痛かっただけだ」

「ふーん、、、」

どちらかが喋らずとも、なんとなく空気でわかる。
心地の良い沈黙。

「ふぁ、、ねむ、、」
しばらくして、酔いから来る眠気がミーアを襲った。

、、、、
こてん。
軽い衝撃を体に感じて見てみると、ミーアが自分に身をかたむけて眠ってしまっていた。

「こいつっ、、まじかよ、寝やがった、、っ、、、おい!こら、起きろ!」

「すぅ、、すぅ、、むにゃむにゃ、、、」

「、、、ったく、、しゃーねぇ 、めんどくせぇけど、戻るか、、はぁ、、」

眠るミーアを少し乱暴に抱えると、パーティ開催中の屋敷まで、ゆっくりと歩いた。

、、、、
一方パーティ会場では。

「ねぇ、そういえば、ミーアは?」
リンが気が付き、陽輝に聞く。
「あれっ?そういえば、酔い覚ましてくるって行ったっきり、帰ってきてない、、、」

キョロキョロと会場を見渡す。

「陽輝、どうした?誰か探してんのか?」
サニーが気が付いて陽輝の元へと来た。

「ミーアさんが、見当たらなくて、、」

その時、向こうからトリコが来た。
「なぁ、ゼブラ、知らねぇ?」

「トリコ達と食事してたんじゃないの?」
それには、リンが答える。
「それが、食事が来るのが遅いって厨房に文句言いに行くっつってそれっきりで帰ってきてねぇんだよ」
、、、、、
、、、、、
、、、、、
、、、、、

「まさか、あの2人!!ここ、抜け出した!?!?」
4人の考えが見事に一致した瞬間だった。

「2人一緒だといいけど、ゼブラはともかくミーアがもし1人だったら、、」
リンが少し慌てる。
「あいつの事だから、多少は平気だと思うが、たしか酒入ってたよな!?大丈夫なのか!?」
それぞれが心配になる。

「あ!!噂をすれば、ほら、2人とも戻ってきたよ!」
ココが長い廊下の先を指さした。

びしょびしょに濡れた眠っているミーアに上着を巻き付けて、肩に担いでこちらに歩いてくるゼブラ。

「ゼブラ!何やってたんだよ!」
トリコが詰寄る。
「というか、これは、どんな状況なんだ、、?」
サニーが首を傾げる。
「なんで、ミーアさん、濡れてるんですか?」
不思議な顔の陽輝。
「てか、なんで、眠ってんの?まったく意味がわかんないしっっ!」
意味不明すぎて絶叫するリン。

「ギャーギャーうるせぇなぁ、、とりあえず、、こいつ起こしてどうにかしろ」

「むにゃむにゃ、、、」

近くにいた理解のできていないメイドにそう言うと、ミーアを渡した。
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