ドレスコードと夜の海

、、、
「トイレ行くのも一苦労だな、、部屋数多すぎだっつーの、、漏れるかと思った、、、」
そう呟きながらミーアはテラスに出る扉を開けた。

潮の香りですぐそこが海だと言うことがわかった。
潮風まじりの夜風が火照った顔をくすぐっていく。

「あのシャンパン、一体いくらすんだよ、、久しぶりに酒飲んだ、、顔、熱いし、頭いてぇ、、、」

パタパタと顔を手で仰ぎながら、ふぅ、と深く息を吐く。

、、、
しばらく何も無い外の暗闇をボーッと眺めて酔いを覚ますミーア。

ガチャ。

「ん?」

廊下からテラスへと繋がる扉が開いた音がして振り返る。

「くそっ、厨房どこだよっ!扉が多すぎてわかんねぇじゃねぇか!調子に乗りやがって!!」

「ゼブラ!?」

「、、、お前、ここで何やってんだ?」

「酔い覚まし。ゼブラは何?道に迷ってんの?ここ、部屋の数半端ないもんな!私もさっきトイレの場所めちゃくちゃ探した」

へへへ、と笑うミーア。

「料理が足りねえから厨房に文句付てやんだよっ」

「やめとけやめとけ。お嬢様に叱られるぞー」
酔いのせいで少し呂律が回らない。

「るせぇっ」

「まぁまぁ、それより、ちょっとここ来てみろよ」

「あ?、、んだよ、、」
面倒くさそうにミーアの隣に来るゼブラ。

「潮の香り、しないか?近くに海、あるんだろうな?泳いだら気持ちいいかもな~~~」


「、、、」

「ゼブラ?どうした?」

「、、、行くか」
小さく、静かに呟く。

「ん??」
「料理もこねぇし、厨房の場所も分かんねぇ、もう、めんどくせぇから、ここを抜け出すっていってんだよ」

「はぁ!?冗談だろっ」

「おら、行くぞ」

「わっ!!えっ、私も!?ちょっっ、、!うわぁっっ?!」
狼狽えるミーアをひょいと軽々抱えると、そのままテラスから飛び降りて、近くにあるだろう海へと繰り出して行ってしまった。

暗い道を、波の音を頼り歩いていく。

、、、
「ねぇ、、」
「、、、」

「ねぇって!!」
「なんだよ、耳元で騒ぐな、うるせーな」

「なんだよ、じゃねぇ!降ろせ!!スリットが深いから足が出るんだよっ」

ゼブラに肩に担がれたままさすがに顔を赤くするミーア。

「、、普段から同じような格好してんだろ。何を今更。おら、着いたぞ、お前の言ってた海だ、、、意外と近かったな」

ようやく降ろされたそこは、紛れもない海。

波の音と、潮風が肌をくすぐる。
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