サンタと星の夜

「でも、なんでまた、私にヤキモチなんか妬いたんだよ。私なんかしたっけ?」
「、、、それは、、、今は言えねぇ」
ゼブラは言葉を濁した。
「えぇー!気になるだろ!?ヤマトの事言った時に怒った顔したからヤマトも関係あるよな、、?」
「うるせぇな、それ以上考えるな。考えるともう店には行かねぇぞ」
脅しをかけてくるゼブラ。早く話を切り替えたい。

「今度は脅しかよ、、、気になるけど、、来なくなるのは困るから、、わかったよ、、」
ミーアは素直に言うことを聞いたふりをした。


そして、頭の中を一旦整理する。

私はゼブラがほかの料理人の作った料理を食べている顔を見て、独占欲からヤキモチを妬いた。

ゼブラもなにかしらの理由で私に嫉妬したと言っていた。

ジーナさんやリンは、ヤキモチはイコール好きだと言う事だと、、、

ん?
いや、待てよ?

ミーアはとんでもない事を思い出そうとしていた。

違う違う!待って!
少なくとも私の嫉妬は、食べることへの嫉妬だもんな。
うん、違う。
違う、、、よな?
え、そういう事?
待て待て待て。
理解が追いつかない。

「、、、お前、さっきから何やってんだ?」
ゼブラは一人何かを考え、首をかしげたり、激しく横にふったりするミーアを怪訝そうな顔で見ていた。


「あっ!?い、いや、なんでもないっ!そっ、それより、ほら、これ!!」
何やら酒瓶のようなものを慌てて出されてゼブラは思わず目を丸くした。
「?」
「今日!なんの日か知ってるだろ!?」
分かってない顔のゼブラに少し怒った口調でミーアが言った。
「、、、知ってるよ、、だから、ヤマトにそれ、貰ったんだろ?」
さっきからキラキラして鬱陶しいそのヘアアクセサリーを今すぐはずして投げ捨てたい衝動に駆られる。
「私からのクリスマスプレゼント!」
「お、俺にか?」
「ここにお前以外に誰がいるんだよ」
呆れた顔のミーア。
受け取ってよく見てみる。
「、、、酒?」
「うん!お前好きだろ?探すの苦労したんだぞ」
ふふん、と誇らしげな顔をするミーアをゼブラは横目で見ていた。
だからさっき、店出る時、準備するっつったのか、、。これの事だったんだな。

「、、、ヤマトにも、、、なにかあげたのか?」
「え?いや、、料理は作ったけど、特別何もあげてはないよ」
即答だった。

勝った

と思ってしまった。
いつかヤマトが張り合ってきた時、意味が分からなかったが、今ならわかる。
悪いが今日は俺の勝ちだ。

グッとミーアに分からないようにガッツポーズをした。

「今飲む?一応グラス持ってきたけど、、」
「、、、お前も飲むのか?」
何度かミーアが酔ったところは見たことがあった。
ほんの少し口にするだけで、目がとろんとして、少しだけ陽気になり、無邪気な子供のようになる。
そして、ちょっとだけ面倒くさくなるのだ。
「あー、、、、私はいいや、、コーヒー飲む」
ミーアはそう言って熱いコーヒーの入った水筒をゼブラに見せた。
酔うと絡みが面倒くさいが、でも、一緒に飲めるのかと思ったゼブラは少しだけ残念そうな顔をした。
「それ、貸して」
1度渡した酒瓶を寄越せと手を出すミーア。
このまま口をつけて飲もうと思っていたゼブラは少し不思議な顔をして酒瓶をミーアに渡す。
「ほら、グラス、ついでやるから出して」
そう言って代わりにグラスをゼブラに渡した。

トクトクトクッ

美味しそうな音がしてグラスに注がれる薄い茶褐色の酒。

「この香り、、かいだことがあるな、、?」
はじめてじゃない香りに記憶を探った。

ミーアは、早くも思い出そうとしているゼブラの顔を見てさすがだな、とニヤニヤ笑っていた。

ごくっ

度数の高い酒。1口含んでみると、すぐに思い出した。
「これ、、、あの時の酒か」
「お!思い出したか!さすがだな」

2人の記憶は同じなようだった。
バレンタインの日、ブランデーをたっぷりと染み込ませたチョコレートケーキ。
一口食べるとじゅわっと口の中にブランデーがしみだしてくる。
あの時のものと同じだった。

「これ、なかなか手に入らねぇって言ってただろ」
このブランデー、ミーアには言わなかったがまた味わいたいと思っていた。
なんで、こいつは言わなくてもわかるんだよ。

「まぁまぁいけるじゃねぇか」
少しご機嫌な様子をゼブラをみてミーアは嬉しそうに顔を赤らめて笑った。
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