確かめたいこと

「だからっ!ヤキモチ妬いた相手が!ゼブラ、お前だって言ったんだよ!!、、、あぁ、、もぅ、、!だから言いたくないって言ったんだ、、!」
両手のひらで顔を隠しているが、真っ赤になっているのが指の隙間からわかった。
「、、、、いつ?なんの時だ?」
まさかのミーアの解答に気持ちが追いつかない。
思い当たる節もない。
いつそんな事があったのか。
思い出せなかった。
人違いじゃないかとも思った。
「、、、少し前。リン達と出かけた時に、陽輝が職場に忘れ物したっつって、ホテルグルメに行ったことがあってさ、、。陽輝を待っている間に厨房覗こうと思って行ったら、お前が食事してるのが見えて、、、」
小さな声で少しずつ話すミーアの言葉を一言一句逃さないように耳を澄ました。
「声、かけようかと思ったんだけど、食べてるところ見てたら、なんか、モヤモヤして、そのままリン達のとこに戻った事があって、、、」
「モヤモヤ?なんでだよ、俺が小松の料理食ってただけだろ」
それのどこにヤキモチの要素があるのか、と考えながらミーアに言った。
「リンと陽輝にモヤモヤするって話をしたらさ、自分じゃない人の料理をゼブラが食べてる姿見て、ヤキモチやいたんじゃないか、って言われて、、」
「なんだそれ、、」
そんな事で?と思ったことが口に出てしまった。
「その時に、妙に納得しちゃって、これがヤキモチなんだって、わかった。小松の料理には敵わないなって。それくらい美味そうな顔して食べてたから。だから、、ますますゼブラに美味いって言わせたいって思ったんだよ」
「、、俺、そんな美味そうな顔してたのか、、、?」
赤い顔でコクリと頷く。
それだけで充分だった。悩んでいた冷たい部分が暖かくなり溶けていく。
距離を置く必要なんてなかったと。

「ねぇ、私の料理、美味い?正直に答えて」
ミーアが身を乗り出して聞いてくる。ストレートな問いになんて答えようか迷ってしまった。
正直に答えれば喜ぶだろうが、何かがひとつそこで終わりそうな気がして、終わりにしたくなくて、ずっと伸ばしてきた解答。
「、、、、まぁまぁだ、っていつも言ってんだろ」
悪いなミーア。まだ終わりたくねぇんだ。
「、、、、そっ、かー、まだ、まぁまぁかぁ、、」
悲しそうに笑うミーア。
「でも、また、食いに来る。前と同じくらい来てやるよ」
「そうか!よかったぁ、、、っ、態度もかえんじゃねーぞ」
今度は少し嬉しそうにミーアは言った。
「わかったよ、、、悪かったな。さっきの事も、、、」
そう言って無意識にミーアの頭に手を置いた。
「お、おぉ、、、」
まさかのゼブラの謝罪と行動に驚いた顔のミーア。レインも2人の顔を交互に見て少し安心した顔をした。
少ししてミーアの目がうるみ始めた。
「、、、、あれ?、、、」
テーブルにポタポタと何かが落ちる。
「ぇ、、あ、あれれ?なに、、?」
指で拭うと、濡れていた。
「止まらない、、っなんで?なんだこれ、、、」
声が震える。顔が熱いし、目からいっぱい涙がこぼれ落ちた。
「お、おい、、、大丈夫か?」
いつになくゼブラも少し慌ててしまう。

俺のせいだ。
俺の行動のせいでミーアが泣いている。
後悔しても、もう遅い。

「だっ、大丈夫大丈夫!ごめん、なんでだろ、、っグスッ」
「、、、、」
触れてもいいものなのか。
さっきのせいで怖がられたりしないか。
俺のせいでもあるから、なんとかしてぇけど、、、

「わ、、悪かったって、、っ泣くなよ」
とりあえず、言葉で伝えてみる。
「ちがっ、ゼブラのせいで泣いてるんじゃねぇよ、、多分」
泣きながら笑っている。
無理をしているのが嫌でもわかった。
「多分ってなんだよ、多分って、、」
ホントならここで抱きしめてやれりゃいいんだろうが、自分のせいで泣いているミーアに対して、それをすると、また、傷つけてしまいそうで、ただ黙って泣き止むのを待つしかなかった。
窓の外はすでに夜が明けかけている。

「、、、でもさ、、グスッ」
しばらくしてミーアが涙を拭いながら何かを話し出した。
「私が寝言でヤキモチやいたって、言ったから店に来るの少なくなったり態度変わったりしたのか?なんで?」
「、、、お前、ヤキモチ=好きって話しただろ。もし、お前が誰かにヤキモチやいてたんだとしたら、そいつに惚れてるんだと思って。だったらもう客以上のことをするのは、ちげぇと思ったんだよ」
「ふぅん、、そっか、、、」
本当は少し違うけど、今はこれでいい。ミーアも納得したし。
「でも、、さっき、なんでヤマトって名前出した途端にあんなに怒ったんだよ、ヤマトと喧嘩でもしてんのか?そのあともヤマトヤマトって、、」
こいつの勘の悪さに助けられるとは。
「、、まぁ、そんなところだ」
そう答えると、ミーアは腑に落ちた顔をしていて、ゼブラは今度こそホッと胸を撫で下ろした。

ミーアは何か物凄く大事なことを見落としている気がしたが、ゼブラが自分が何かしたせいで店に来なかったのではないとわかって、ホッとしたのか、考えるのをやめてしまった。

そう、物凄く大事なこと。

こいつ、、自分で堂々と俺にヤキモチ妬いたって言っておいて気が付いてねぇのかよ。
必ずしも、それとイコールじゃねぇとは思ってはいるが、こいつの頭ん中どうなってんだ?

そうだと思っていいのか、それとも、こいつのヤキモチはそうではないものなのか、、?

ゼブラはミーアの質問に答えながら少し怪訝そうな顔でミーアを見た。

「つーか、さっき、ヤマトかって言った時、いつからだって、言ったのなに?なんの事?」
「、、、なんでもねぇ、言葉の綾だ、気にするな」
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