雨上がりの先に

「マンサム所長!連れてきたし!」
「おぉ!来たか!さ、入りなさい」
グルメ研究所。
その広い部屋に入るとスキンヘッドの体格のいい男が待っていた。

「この人が研究所の所長か、、、でかいな、、」
ミーアは小さく呟きゆっくりと部屋の真ん中にあるソファに腰をかけた。

「話はリンから聞いてるぞ、そいつが例のバロンタイガーの子供か」
ミーアの腕の中で怯えて震えるバロンタイガーを覗き見た。
、、、ビクッ!!!
マンサムを見ると、直ぐに何かを察してミーアの腕の中に隠れようとした。
「おっと、失礼。びっくりさせちまったな」
マンサムはそう言うと少し離れたソファに座り直した。

、、、バロンタイガーは、自分より強い者に遭遇すると瞬時に逃げる危機管理能力があるという、、、この、マンサム所長ってのは、強いのか、、?

そんな事を考えていると、リンが口を開いた。

「連絡した通り、この子はハンターに襲われて傷ついてるし。今のところミーアにしか懐いてなくて傷の治療が思うようにできないし。ちょこまか動くから私のフレグランスもなかなか効かないし、ミーアはこの子にあまり手荒な事をして欲しくないって。、、どうにかできない?」

「うーん、、そうだなぁ、ここは主にあらゆる食材の新規開発や品種改良の研究をするところではあるが、研究に必要な医療器具も揃っておる。それなら、、、」

、、、、

「これでほんとにいいのか?」
ガラスの向こうで眠るバロンタイガーを見て不安そうにリンに尋ねた。
「大丈夫だし!ここなら目が覚めてもケージに入ってるから私のフレグランスで混乱も防げるし、言ってたように色んな医療器具も揃ってるから、あの子の体に負担もかからない、安心して治療が終わるのを見てるし!」
そう言ってミーアの肩を叩いた。
ミーアはホッと胸をなでおろしバロンタイガーを見つめた。

数時間後。

「はぁー、、はぁー、、、こ、、これ以上は、、、この子の体力も考えて無理です、、麻酔もこの小さい体では、もう使えませんし、応急処置のおかげで止血と消毒はできたので、命の危険は無いのですが、、、」
処置を終えたスタッフが肩で息をしながらボロボロの状態で処置室から出てきた。
「話が違うじゃねぇかっ」
ミーアは呆れた顔でリンと所長に叫ぶ。
「おかしいな、、目が覚めた傍から縫合した箇所を自ら開いちまう、、、これじゃあ口が半分避けたままになっちまうな、、」
「おかしいな、じゃないし!!どうすんだし!!」
不穏な空気が流れる。
何度目かの処置の失敗のあと、ふと、ミーアが静かにバロンタイガーに近付いた。

「、、お前、このままじゃ、裂けたままになっちゃうぞ、それでいいのか?綺麗に治してくれるっていうのに、、なんでだよ、そんなに嫌なのか、、?よっぽど怖い思いをしたんだな」
優しく、そして寂しげにバロンタイガーに語りかけ頭を撫でた。
ミャオ、、クルルルル、、、
さっきまで目が覚めてはフレグランスもあまり効かず暴れていたバロンタイガーがミーアには甘えて喉を鳴らす。

「ほーんと、、ミーアにしか甘えないし、、、治療の事は一旦置いといて。最後の課題だし、この子、これからどうする?」
その様子を見ていたリンがミーアにたずねた。
「どうするったって、、住み慣れたバロン諸島に返すのが1番いいんだろうけど、、、」
ミーアが、少し心配そうな顔をする。

「けど、返したところでまた、ハンターに追われる可能性もあるんじゃない?」
もっともだった。

「だったら、、君がパートナーにするのはどうかね?」
リンとミーアの会話を聞いていたマンサムが口を開いた。
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