ただならぬ客

~♪

鼻歌交じりに鍋をかきまわす。
少し味見して、調味をする。

今日は快晴。
5番目の客の後、少し間があき、ミーアはその間に試作をしたり、無くなりかけた料理の追加を作ったり、と気ままなひとり時間を過ごしていた。

ガチャッ
「やっとるかのぉ?」

「!?」
6番目の客か、といそいそとフロアへと向かう。
1人の初老の男が立っていた。
「いらっしゃー、、、っっ」
金髪と派手なシャツと派手なネクタイ。
スーツを着ているが体格はかなりいい。
最初に聞こえた少し間の抜けた声とは裏腹なその客の佇まいに只者ではないと察したミーアは、少し躊躇した。

「まだ定食とやらは、食えるかのぉ?」
ニッコリと笑う口元には長い髭がたくわえられていた。
少し気構えたが、その必要は無さそうだ、と接客を続けた。
「うん、まだあるよ!好きなところに座りな」
ミーアは他の客と同じ接客で迎え入れるとグラスに水を注いでその者の前に差し出した。

「1つ、大盛りで頼めるかい?」
「了解、ちょっと待ってな!」

、、、、

厨房が動き出す。
火をつけて鍋の中身を温める。
フライパンに肉が乗り音を立てて焼かれていく。

「、、、しっかし、、なーんかどっかで見た事ある顔してたなぁ、、、うーーーん、、誰だっけ、、?」
ミーアは、大きな茶碗にご飯を大盛りに盛りながら首を傾げた。

、、、、

誰もいないフロアをゆっくりと見渡す。
「ほぉ、、なかなかに、いい店じゃな」
窓から入る日の光が木製のテーブルと椅子を照らす。
その男はうっすらと満足そうに微笑んだ。
しばらく他の客の来る気配はない。
窓の外を眺めているといい匂いが鼻をくすぐった。
「ん~腹がますます減ってくるわい」
そう呟いてまだかまだか、と期待しつつ厨房へと続く廊下を見ていた。

、、、、

「はーい、お待たせ!1人前、大盛りねー!」
どかっ、と置かれた定食。
「それじゃあ、さっそく頂くとするかのぉ」
いただきます、と丁寧に手を合わせると箸を持った。
「おかわり、あるから遠慮なく言ってな、ゆっくりどうぞ」
半分に減っていた水を足しながらミーアは笑った。

もぐっ

「ん!んまい!」
細めていた目がカッと見開いたかと思うと、途端に箸が物凄い速さで動き、口に放り込まれていった。

「すげぇ、、、」
それを見たミーアが思わず声を漏らす。

「すまんが。おかわり、貰えるかい?」
「も、もちろん!」

差し出されたからの茶碗を預かるとまた、大盛りにし、手渡した。
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