初めて見た顔

「そういや、さっき、、」
食べ終わってまた、歩き出し、ゼブラが不意に口を開いた。
「ん?」

「俺の攻撃、初めて見るような事言ってたが、お前、見た事なかったのか?」
「え?ないよ?」

「少し前に美食會の奴が襲って来たことがあったが、あの時に見てるはずだろ」
「あぁ、、あの時ね。見てないよ。私、、、気絶してたもん」

いつかの戦い。
少し忘れていた。
ミーアをさらおうと店に来た美食會の男に厨房をめちゃくちゃにされたあの時。

その後、眠りこけていた自分の頬に謝礼のキスをしてきたミーア。
「、、、、」
記憶が一気に蘇り、思わず自分の頬を指で撫でていた。

「、、、ゼブラ?なんだよ、急に黙って」
「!!、、、いや、、なんでもねぇ、、」
「??」

少し歯切れの悪い返事に怪訝そうな顔で見上げるが、いつもの事か、と、ミーアはまた前を向いて歩いた。

「そんな事より!次こそは今日の定食のメイン食材の捕獲頼むぞ!!開店時間も迫ってるんだからな!」
「うるせぇな、わかってるよ」
乱暴に答えるゼブラ。

、、、、

「、、この辺、か、、」
また、ゼブラの足が止まる。
「おっ、次の獲物、来たか?」
ワクワクとゼブラが見据える方向をミーアも見た。
耳も塞ぐ準備も出来ている。

遠くで獲物が鳴く声が聞こえた。
「、、この声、今やっと私が聞こえてるけど、、ゼブラはずっと前からすでに聞こえてるんだよな、、、すげぇ、、」
ほぼ初めて見るゼブラの捕獲に改めてミーアはそう思った。
どんな獲物を前にしても余裕の表情を変えることは無い。
自信に満ちた顔。
放つ攻撃の凄さ。

言い表せない安心感。

あっという間に倒れてしまう獲物。

自分ならもう少し時間がかかっていたかもしれないし、もしかしたら、倒せなかったかもしれない。
「これが四天王ってやつか、、、ゼブラって、すげぇんだな、やっぱ、、」
構えることを忘れ、ただぼーっとゼブラを見つめ、そんな事を考えていた。

そして獲物が倒れた際、その拍子に振りあがった尾がこちらに落ちてくるのが見えていなかった。
「ミーア!!!上!!!」
「!?」
ゼブラの大きな声にすぐさま反応したが、少しだけ遅いと察した。
「や、やばっ、、間に合わな、、っっ」

どっ、、、

思わず目をつぶった瞬間、体に衝撃が走る。
「、、、!?」
しかし、あの振りあがった尾をまともに受けた衝撃ではなかった。

体が何かに包まれている感覚。
「ゼ、ゼブラ!?」
自分の体を抱きかかえ、すんでのところでよけていた事がようやくわかった。
「、、、アホかお前は、、死にてぇのか」
耳元でゼブラの声がした。
受身を取り、抱きしめていたミーアの体を離してゆっくりと身を起こす。
「ご、、ごめん、、、、」

「、、、、」
「ゼブラ?、、い、痛いんだけど、、、」
倒れたあと身を起こした時に、無意識にミーアの腕を押さえつけていた。
第三者から見ればそれは、ゼブラがミーアを押し倒したような体制だった。

初めてその角度からミーアを見たゼブラは、何故かものすごく、官能的に感じてしまった。

「、、、っっ」
「い、痛いって言ってんだろっ、、」

ミーアがそう言ったと同時に我に返ったゼブラは咄嗟にその手を離した。
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