初めて見た顔

今日も今日とて開店準備。
椅子とテーブルを綺麗にふきあげて、キリのいいところでコンロの火を消し、今日のメイン食材の捕獲へと向かうミーア。

「今日もいい天気だなぁ!よっしゃ、行きますか!」
勢いをつけて店を飛び出す。

「んっ!?」
「あ"?」

珍しくこの早朝に店の外に人がいた。

「うっわわわー!!!」
勢い付けて店を出た為、そのままそこに立つ者に突っ込んでいってしまうミーア。

どんっ

「ぉぶっ、、っ」
ぶつかった衝撃が顔面に返ってくる。
相手は微動だにせず、そこに立ったままだった。

「いってて、、、、なんだよ、ゼブラ、、こんな朝早くにぃ、、」
その相手はこの早朝に珍しいゼブラだった。
鼻を押さえながら体制を整えるミーア。

「、、、捕獲に出んのか?」
「え?、、そうだけど、、、手伝ってくれんの?」
涙目でゼブラを見上げる。

「ちょうど暇してたところだ。いいだろう、ついて行ってやる」
「やった!デッカイ上物が捕れそうな予感っ」
ぴょんと無邪気に飛び跳ねて喜びを表すミーア。

「そのかわり、、、」
「朝飯食わせてやるよ!」
「わかってんじゃねか」
アイコンタクトを交わすと2人は並んで歩き出した。

、、、、

「しかし、、なんでこんな朝早く店に来てたんだ?いつも客が帰った夜にしか来ないのに、、、」
山道を歩きながらミーアがゼブラに聞く。
「、、、、たまたまだ」
「ふぅん」
ゼブラの返答に特に疑問に思うことも無く、ミーアは気の抜けた声を出した。

そして、しばらく歩いた先でゼブラの足がピタリと止まった。
「どうした?」
急に止まったことを不思議な顔で聞くミーア。
「ちょっと離れてろ」
「?獲物でも見つかったか?」
少しゼブラから距離をとる。
その瞬間。

バキバキバキッっ
深い森の奥から木々が倒れる音がした。
「!?なにか来る、、っ」
ミーアがそう思った瞬間。
大きな口を開けた獲物が襲いかかってきた。

ゼブラは微動だにせずそれを見つめて息を深く吸い込んだ。

「ボイスバズーカァァ!!!!」
「!?」
爆音と共に口から放たれた音の塊が獲物にヒットすると、叫び声をあげて地面に崩れ落ち、動かなくなった。
ニヤリとした笑みをこぼしてその獲物の前に立つゼブラをあっけに取られた顔でミーアは見あげた。

「耳、、いってぇ、、、、」
少しクラクラする頭と奥で疼く耳を押さえながらゼブラに歩み寄った。
「離れてろ、もいいけど、耳も塞げ、くらい言えよ、、」
そう言って睨むと小さな拳でこづいた。
「そりゃ、悪かったな、次はそうしろ」
軽くそう言うとその獲物を掴んでズルズルと引きずり、目の前でさっさと焼き始めた。
「ちょっ!何すんだよ!」
焦ってゼブラを止めようとする。
「あ?何がだよ」
「私の店で使う食材なんじゃねぇのかよ!?手伝ってくれるっつーから一緒に来たのに!」
「これは、小腹満たしだ。お前のは、このあと獲ってやる」
そう言うと焼けた端から口にしていく。
「小腹満たし、、って、、、なんだよ、、ったく、、」
呆れた顔で食べ終わるのを待つミーア。
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