1杯のお粥は敗北の味

「私もさ、ちょっと前に体調崩したことあったろ?」
もぐもぐと食べ進めるヤマトを見ながらミーアはあの日のことを思い出しながら話し始めた。
「、、あ、あの寒い日の、、俺たちにお弁当持たせてくれた日のことっすね」
「そうそう!あの日、ゼブラもいたの、覚えてるか?」
ぼーっと熱っぽい頭で思い出す。
「あ、、そうだ、めちゃくちゃ怖かったの覚えてるっす、、っ」
苦笑いでそう返すヤマト。
「あのあと、小松が作って持ってきてくれたお粥がほんとにうまくてさ、、あー、私はひとりじゃないなって思って、、心がポカポカ暖かくなったのを覚えてる、、弱ってる時って、人の優しさがぐっと身に染みるよな、、今回は私がそうする番かな、って。小松もお前が休んで戦力がーって、困ってたしな」
「ミーアさん、、、っ!小松シェフ、、、!」
「だから、早く元気になれよ!」
「グスッ、、、はいっす!!」

「ま、あのあと、ぶっ倒れてさ、気が付いたら、冷えた私の体を温めるためにゼブラが添い寝してくれてたんだけどな、、起きてビックリしてさ、思わず平手打ちしちまったよー、ははは!」
「、、、え、、?」
頭の中が真っ白になっていくのを感じた。
思わず気が遠のく。
「そ、、添い寝、、っすか?」
「そ!私はぜんっぜん覚えてないんだけどな」
あ、もしかして、この間ゼブラさんが言ってたのって、、この事だったのか、、、
「ミーアさん、、そ、それ以上は聞きたくないっす、、ますます熱が出そうになるっす、、」
「え?あ、う、うん、、、わ、わかった、、??」
ヤマトの気持ちも知らずにミーアは不思議そうな顔でそれ以上話すのをやめた。

「よし、飲み込めたなら、次いくぞー」
ひとさじの粥がヤマトの口元へと持っていかれる。
「あーーん。ぱくっ」
もぐもぐ、、、
気持ちは複雑だが、ミーアの作った食事は、やっぱりうまくて、優しくて、何故か少し泣きそうになった。

差し出されるスプーンの粥を食べる度にホッとした優しい顔を見せるミーアを見ると、やっぱり好きだと認識させられる。
勝ち目のない勝負だと言うことは100も承知と自分であの時言ったはずなのに、諦めきれないのはどうしてなんだ、と自分が悔しい。

今日だけは邪魔が入らないと分かっているからこそ、この時間が永遠に続けばいいのに、と胸の奥で祈らずにはいられなかった。
3/4ページ
スキ