1杯のお粥は敗北の味

、、、、
「ご馳走様でしたっす!!」
「、、しかし、よく食べたな、、作り置きしてた分までおかわりするとは、、、ほんとに風邪ひいてんのか?」
全て完食し終えたヤマトがニコニコと薬を飲むのを呆れた顔でミーアが見ていた。

「もう、大丈夫みたいだな」
「はいっす!ミーアさんが俺のために作ってくれたお粥で元気になれたっす!」
「そりゃ、よかった。んじゃ、私はそろそろ帰るな!」
そう言って帰り支度を始めるミーア。
「えー、、、もう帰るんすか、、、」
「帰って明日の仕込みしないと!薬飲んだら寝るんだぞー」
そう言って玄関に向かう。それを慌てて追いかけるヤマト。
そして、思い余って口を開いた。
「、、、ミーアさんは、小松シェフに頼まれて来たって言ってたっすけど、断ることもできたっすよね?なんで、わざわざ来てくれたんすか?」
改まった態度で話し始めるヤマト。
「なんで、って、、、そりゃぁ、、、」
キョトンとした顔で答えようとするミーア。
続きの言葉に期待して高揚するヤマト。
「、、、ヤマトは私にとって、、、」
心臓が張り裂けそうになる。間違えてでもいい幻聴でもいいから自分が期待する言葉が欲しいと思った。
「、、、弟みたいなもんだからな!」
「お、、弟、、?」
その答えに間の抜けた声を出すヤマト。
「うん!」
何のよどみもない笑みで笑うミーア。
「弟、、かぁ、、、まぁ、、そうっすよね、、、」
期待とは違う答えにガックシと肩を落とした。
「ちなみにー、、、今日俺にしてくれたみたいに誰かにご飯、食べさせたことって、今までにあるっすか?」
頼むから無いと言ってくれ、せめて、、と心の中で唱えながらミーアの返事を待った。
「、、、食べさせたこと?あるよ!つい最近だな」
「つい最近!?」
「うん、ゼブラに」
「ゼブラさんに!?」
聞いてしまったことへの後悔と、そして、またしても敗北がヤマトを襲う。
「腕を怪我しててさ、まともに食事出来なかったみたいだったから、、」
「そ、そうなんすね、、、」
青い顔でなんとか答える。
「何でそんなこと聞くんだ??」
不思議そうな顔でヤマトを見るミーア。
「いや、、なんでもないっす、、、変なこと聞いてすいませんっす、、、」
「そか。早く復活しないと、小松が困ってたぞ!夜の分の食事も作り置きしなおしてあるから、食欲があればちゃんと食べるんだぞ!じゃあな!」
「あ、ありがとうございましたっす!!」
がちゃん。

無情にも閉まる玄関のドアの音がヤケに虚しく感じた。

「、、、行っちゃった、、、俺がゼブラさんだったら、まだ傍にいてくれただろうか、、、」
ぽつりと呟きながらリビングへと戻る。
作り置された消化の良い料理が鍋に入っている。
「、、、食べるの、、もったいないなぁ、、」
寂しさを紛らわすように1人つぶやいた。

「あーぁ、、、今回は俺の勝ちだと思ったのに、、また、ゼブラさんに負けちゃった、、、1回でも勝てる日、くんのかな、、、」
体の辛さからなのか、敗北からなのか、自然と涙が零れたのだった。
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