大事な手

握られた小さな手が暖かく、少し震えていた。
なんとなく痛みが引いていく気がする。
"手当て"とは、本当はこういう事をいうのかもしれない、と祈るように目を瞑るミーアの顔を見ながらゼブラは思った。

、、、こいつ、意外にまつ毛長いんだな。こんなに肌の色、白かったか?、、、腕には料理による小さな傷や火傷の跡。
こんなに間近でちゃんとこいつを見たのは、初めてかもしれねぇ。

、、、、
しばらくして、パッとミーアの手が離れた。
慌てて目をそらすゼブラ。
「よーし!これですぐ治るぞ!」

「、、、ほんとかよ、、」

「ほんとほんと!!その顔は信じてねぇな!?」
ムッとした顔でゼブラを睨む。
「ふんっ」

「まー、、紅茶でも、入れてやるよ!待ってな!」


、、、
厨房まできて、急に恥ずかしくなり顔が熱くなった。
「思わず手握ってあんなことしちゃったけど、、、私なにやってんだろ、、ゼブラだって困るよな、、余計なことしたな、、、」
ミーアもまた、顔と心が熱くなる感覚に戸惑っていた。
「早く回復して欲しい」
そう、単純に願った上での自分の行動ではあったが、思ったより高鳴る鼓動に、焦る他なかった。

「、、、」
ブランチが言っていたように、そろそろ確かめないといけないタイミングなのか。
しかし、この心地の良い関係が終わるかもしれないと思うと少し怖い気もする。
湯が沸く僅かな時間、ぼーっとそれを見ながら顔の熱が下がっていくのを待っていた。

「はぁ、、、」
切ないため息1つ吐いて、紅茶を入れるとトレーに2つ並べてゼブラの待つフロアへと向かう。

、、、、

「はーい、お待たせ~、って、別に待ってないか、私が勝手に持ってきただけだしな」
「、、待ってたぞ」
カチャンッ
トレーの上の紅茶が動揺で波打った。
「、、、え?」

「お前が待ってろって言ったんだろうが、なんで言った本人が驚いた顔してんだよ、お前、なんか今日変だぞ、どうした?熱でもあるのか?悪いが今日は看病はできねぇぞ」
痛む腕を擦りながらゼブラは言った。

「っば、ばかっ、熱なんてねぇよ!別に変じゃねぇし、私はいつでも通常運転だっ!お前が珍しく、待ってた、なんて言うからビックリしただけっ 」
そう言い返しながらテーブルに紅茶を置いた。
「ったく、、いつもと違う事言ってくるな!調子狂うだろっ」
ブツブツと文句を言いながら改めてゼブラの前の椅子に座る。
「いつもと違うのはお前の方だろ」
「違うくないっ!」
心臓のドキドキがまだ落ち着かない。
ゼブラに聞かれないように、突っ込まれないようにハラハラしながら紅茶をすすった。

、、、心拍数が上がったな、、こいつ、今何考えてんだ、、、?
心の声も、この耳に聞こえればいいのに。

そう思いながら目の前の紅茶のカップをなんとか動く手で口へと持って行った。

「あ。手伝おうか?」
「いい、これくらいはできる」

「ふぅふぅしてやろうか?」
「てめえ、、わざと言ってんな?調子に乗るな」

「へへっ」

子供のようにふざけて笑うミーアを盗み見ながら、熱い紅茶をゆっくりとすすった。
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