大事な手

「普段怖いもの無しのゼブラが、そんな弱々しい顔してここに来りゃ、何かしてやりたくなるって事。ほら、お喋りはいいから、口開けて!」

、、、ぱくっ
「そんなに弱々しい顔してたかよ?」
「してたしてた。それはもう、死にそうな顔!、、看板CLOSEに変えたし、お客さんももう来ないから、安心して口開けて、モグモグしてろ!私しか見てないんだから」
思い切り笑いながらスプーンをこちらに向けてくる

「子供扱いするんじゃねぇ、調子に乗るなっ」
「えへへ、バレたか」
ミーアはイタズラがバレた子供のようにペロッと舌を出して笑った。
、、、、

もぐもぐもぐ、、ごくんっ、、、

しばらくミーアの介助で食事をし、程よく腹も満たされた。
口の中のものを飲み込んで、ふぅ、と一息。

「水、飲む?手伝おうか?」
「、、うるせぇ、それくらいはできる」

ゆっくりと腕をあげて、グラスを掴むと水を1口含んだ。

それを見て安心した顔で空になった食器を厨房へと下げるミーア。

、、、、

「で。それ、いつ治るんだ?」
食器を片付け、エプロンをはずしたミーアがフロアに戻るなり真っ暗になった窓の外を見つめるゼブラに話しかけた。

「知るか、むしろ俺がしりてぇよ」
「ふーん。不便だな。つーか、ゼブラともあろう者がそんな大怪我するなんて、なにやらかしたんだよ」
「、、、、言いたくねぇ」
少し不貞腐れたように目も合わせずそう答えた。
「ふーん、まぁ、言いたくないなら私も聞かないけどさ、、私もゼブラも手とか、腕って、職業上?大事だから、それがうまく使えないとイライラするよなー、私もさ、1回利き手をやった事があって、しばらく店休みにした時、焦りとかイライラでどうしようも無かったなぁ、、そん時は店、はじめたばっかで今みたいに頼れる仲間もいなかったし、、」
「、、、」
信頼できるやつの共感というものは、こんなにも安心感が生まれるものなのか。
ゼブラは肩の力がふ、と抜けるのが分かった。

「、、いつか、この借りは返すからな」
「借りってっ!大袈裟だなー、いいよいいよ!そんなの!ただいつも通り食事作って、少し介助しただけだし!」
ケラケラと笑いながらミーアは顔の前で手のひらをブンブンと振った。
「こいつはほんとにいつも見返りを求めねぇ、、」
心の中でそう思いながらいつもより明るく接してくれるミーアを見た。

そして。
「ねぇ、、手、貸して、、」
そう言って怪我をした方の手を指さした。
「、、何をする気だ」
「いいからいいから!」
包帯だらけのゼブラの手をミーアの小さな手が包み込む。
「早く良くなるように、おまじないかけてやるよ!」
ぎゅっと両手で握りしめて、
「早く良くなって、また、沢山美味しいご飯が思い切り食べられますように、、、」
と祈りを込めるように、額を当てた。
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