食いしん坊のおばけ

定食を置いたテーブルにさっきの客の姿はなく、湯気の立つ食事だけが置かれたままだった。

「トイレかな、、?」
「気配がねぇな、ほんとに来たのか?どんな客だった?」
食事が置いてあると言うことはやはりミーアの言う通り客は来ていたのであろう。
しかし、気配がさっきからしない。
そもそも、ミーアがあと1食と呟いてから"誰とも"会話をしてないのは、ゼブラの耳が知っている。
そうでないと店には来ていない。

「髪が長くて白いワンピースを着た小さな女の子だったんだけど、、、ど、どこいった?」
「だいたい、そんなちいせぇガキがこんな日も暮れた時間に1人で来るかよ」
「た、、確かに、、でも、ほんとにいたんだって!」
ゾワッと背筋が寒くなるのを感じた。
その瞬間、フロアの灯りが一気に、何の前触れもなく消えた。

「!!な、なんだ!?」
「、、、」

暗闇が2人を包む。

「なんだなんだ、、真っ暗で何も見えない、、電気!スイッチ、、どこだっけ!?」
急に真っ暗になった事に不意打ちが苦手なミーアが慌てて手探りであちこち動き回る。
「おい、落ち着け、暗闇に目を慣らすんだよ」
「慣らす!?どうやって!?、、スイッチスイッチ、、」
「うるせーな!転ぶぞ!チョロチョロ動くな!」
ゼブラもまだ暗闇に慣れては無いが、気配でミーアがどこにいるのかだけは分かっていた。

「急に電気が消えるなんて、初めてだし、、っえーと、えーと、、スイッチスイッチ、、、あーもう!何も見えないぃ!!どうなってんだよっ!?」
バタバタと動き回るミーア。
「、、、、落ち着けって言ってんだろ!!」
ぐいっ
「ぅわっっ!?ばかっ、どこ触ってんだよ!」
腰の辺りを掴まれた感覚。
「うるせぇな、ちょっと大人しくしてろ」
ミーアを捕まえて小脇に抱えたゼブラが静かにそう言った。

、、、、
パチッ

しばらく息を潜めているとまた、ふいに灯りがついた。

「あ、、、電気、ついた、、、」
「なんだったんだ?、、、」
抱えていたミーアをゆっくり降ろす。

2人がフロアを見渡すと、ある気配を感じた。
「!?」
「あれ、あの子、戻ってきてる、、、」
視線の先に白いワンピースの少女。

「、、、おかわり、もらえますか?、、、」
いつの間にか定食は完食されている。
掠れるような声でそう言うとミーアを見た。
「え、あ、、うん、ちょ、ちょっと待ってな、、、」

その少女は、青白い顔でニコリと笑ってまた、前を見据えてじっと待っていた。

「なんだこいつ、、血液の流れを感じねぇな、、生身の人間じゃねぇってことか、、?」
ゼブラが考え込んでいるとちょんちょんと自分をつつくミーアに気がついた。
「なんだよ」
「ちょっと、一緒に厨房に来て」
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