食いしん坊のおばけ

「今日もあと1食だなー」
少し日の落ちてきた夕方。
いつもの様にそう呟きながら厨房で鍋の中身をかき回すミーア。
スルスルと味見をして、
「うんっ!」
と、納得のいく顔をした。

ガチャっバタンッ

「ん?」
突然、フロアの扉が音を立てた。

「ゼブラか?」
そう言いながらフロアに向かうが、誰もいなかった。
薄暗くなりかけたフロアに気がついて電気をつける。
「あれ?今扉が開いたような気がしたんだけど、、、気のせいか?」
怪訝な顔でフロアと扉を交互に見る。

再び厨房に戻りまた鍋の前に立った。
その時。

ガチャっバタンッ
「!?」

「なんだなんだ?ついに扉が壊れたか??」
独り言を言いながらまた、フロアへと行くが、やはり人影はない。

「ゼブラのせいで壊れちゃったか?修理代請求しなきゃ、、、」
「、、、定食、ありますか?」

「!?!?」
小さく聞こえた、か細い声に驚いて背後を見た。

白いワンピース姿の髪の長い少女がいつの間にか立っている。

「え、、、い、いつの間に、、?」
「定食、、ありますか?」

幼く小さな声。
「う、うん、、、あるよ、食べてく?」
少し躊躇したが、お客さんだと思い、ミーアはそう返事を返した。

「ひとつ。お願いします」
「わかった、準備してくるから、座って待ってな」

ミーアはそう言うとグラスに水を注いでひとつのテーブルに置いて案内した。


、、、
グツグツ、、、
「不思議な子だなー、、どこから来たんだろ、、」
煮える鍋を前に考えても答えは出てこない。
とりあえずミーアは1人分の定食を準備してフロアに向かった。

フロアは電気もついているはずなのに何故か少し薄暗い。
そこに少女はじっと前を見据えて座っていた。

「はい、お待たせ、おかわりもできるから、たくさん食べていきな」

「いただきます」
丁寧に手を合わせると箸を持ち小さな口に頬張る。

その時だった。

ばぁぁんっっ!!
薄暗いフロアに大きな影。
「ゼブラ、、、」
ミーアを見るとフロアに入り、どっかりと座り込む。
「あのさ、、悪いんだけど、、、最後の1食、、僅差で今、終わっちゃったんだよな、、、」
苦笑いでそうゼブラに告げるミーア。

「あ?お前があと1食と呟いてから誰も客はきてねぇだろ、くだらねぇ嘘つくんじゃねぇ」
、、というものの、心拍数からもミーアに嘘をついている感じはない。
「お前、そこにいる客に気がついてないのかよ?」
「はぁ?どこにいんだよ!?」
「ほら!そこ!小さいおきゃ、、くさ、、、あ、あれ?」

いない。
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